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令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

坂上郎女編(18)斎瓮(いわいべ)据ゑつ

2010年03月23日 | 坂上郎女編
【掲載日:平成22年5月21日】

草枕 旅行く君を さきくあれと
           斎瓮いはひべゑつ とこ


天平十八年〈746〉 
家持に 越中のかみの任が下った
政界で重きをすには 
地方での長官修行が習いだ 
遅すぎたきらいはあるものの
坂上郎女いらつめの 中央への働きかけが 功を奏したか

妻を都に置いての赴任 
家持への 家としての面目めんぼく
一人旅の娘婿への 憂慮ゆうりょが胸をよぎる 

草枕 旅行く君を さきくあれと 斎瓮いはひべゑつ とこ
《赴任旅 どうか無事でと とこに 陰膳かげぜんえて 祈っておるで》
今のごと  恋しく君が 思ほえば いかにかもせむ するすべのなさ
《今更の  ようにあんたが 思われる どしたらえんか わからへんがな》
旅ににし 君しもぎて いめに見ゆ が片恋の 繁ければかも
《旅った あんたしょっちゅう 夢に見る 一人思いが 激しいからか》
道のなか 国つ御神みかみは 旅行きも らぬ君を 恵みたまはな
《越中の  国の神さん 守ってや この子あんまり 旅知らんから》
                         ―大伴坂上郎女―〈巻十七・三九二七~三〇〉 

赴任後の 家刀自いえとじの 気遣い 越の地迄追う
常人つねひとの 恋ふといふよりは あまりにて 我れは死ぬべく なりにたらずや
《恋しさは  普通のもんと 違うんや この恋しさは 死んでまうほど》 
片思かたおもひを 馬にふつまに おほて 越辺こしべらば 人かたはむかも
《この思い  馬の背中に 全部乗せ 送れば誰ぞ 知ってくれるか》
                         ―大伴坂上郎女―〈巻十八・四〇八〇~一〉 

心配りの  嬉しさ
家持も  おどけ応える
天離あまざかる ひなやっこに 天人あめひとし かく恋すらば 生けるしるしあり
《越にる わしをこんなに 恋慕う 天女おるんや 嬉しいかぎり》
常のこひ いまだまぬに みやこより 馬に恋ば になへむかも
《恋心  募ってるのに 更にまた 馬の恋荷で 潰れてしまう》
                         ―大伴家持―〈巻十八・四〇八二~三〉 

あかときに 名告なのり鳴くなる 霍公鳥ほととぎす いやめづらしく 思ほゆるかも
《朝やでと うて鳴いてた ホトトギス 常より一層 うるわし思う》 
                         ―大伴家持―〈巻十八・四〇八四〉 
郎女の心を察し  
なんとは無しの歌をも添える  家持の優しさ




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