令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

坂上郎女編(6)長くし言へば

2010年05月07日 | 坂上郎女編
【掲載日:平成22年4月6日】

押し照る 難波なにはすげの ねもころに 君がきこして 
                   年深く  長くし言へば・・・



麻呂との恋  遠ざかり 消える
ほぞむ 坂上郎女いらつめ

押し照る 難波なにはすげの ねもころに 君がきこして 年深く 長くし言へば 
まそ鏡 ぎしこころを 許してし その日のきはみ 波のむた なびく玉藻の 
かにかくに 心は持たず 大船の 頼める時に 

こまやかな 心づかいで 声掛けて ずっと長うに 付きおと
 言うた言葉に 警戒心けっしんを ゆるめてしもた その日から
 あんた一人と 心決め 頼りに仕様しょうと 決めたのに》
ちはやぶる 神やくらむ うつせみの 人かふらむ 
かよはしし 君も来まさず 玉梓たまづさの 使も見えず なりぬれば

《神さん見放みはなし 世間ひと邪魔し てたあんたも 遠離とおざかり 使いの人も ん始末》
いたもすべみ ぬばたまの よるはすがらに 赤らひく 日も暮るるまで 
嘆けども しるしみ 思へども たづきを知らに
 
《どう仕様しょうて 夜は夜 昼は日中ひなかを 泣き暮らす
 嘆いてみても らちあかん 思案をしても 手弦てづる無い》
幼婦たわやめと 言はくもしるく 手童たわらはの のみ泣きつつ 
たもとほり 君が使を 待ちやかねてむ 

《か弱い女  そのままに 子供みたいに 泣き続け
 うろたえしつつ あんたから 使い来んかと 待ち続けとる》   
                         ―大伴坂上郎女―〈巻四・六一九〉 
初めより 長く言ひつつ 頼めずは かかるおもひに 逢はましものか
《ずっとやの 言葉まともに 受けんときゃ つらい思いは せんかったのに》
                         ―大伴坂上郎女―〈巻四・六二〇〉 

まそ鏡 ぎし心を ゆるしなば のちに言ふとも しるしあらめやも
《張り詰めた 警戒けいかいごころ 緩めたら 後でいても もう遅いがな》
                         ―大伴坂上郎女―〈巻四・六七三〉 
真玉またま付く をちこち兼ねて ことは言へど 逢ひて後こそ くいにはありと
心地ここちえ 言葉並べて 口説かれて 許して仕舞たら 悔い残るだけ》
                         ―大伴坂上郎女―〈巻四・六七四〉 
ほうけたようなうつろな日が 続く





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