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令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・青春編(二)(27)降れる白雪

2010年09月03日 | 家待・青春編(二)内舎人青雲
【掲載日:平成22年12月7日】

大宮の 内にもにも 光るまで
           降れる白雪  見れど飽かぬかも



家持は 安堵あんどの新年を迎えた
よろこばしい 招請しょうせいであった
天平十八年〈746〉正月 
平城宮  大雪
これぞ吉兆きっちょうと 橘諸兄たちばなのもろえ筆頭に 重臣諸王
元正上皇御座所ござしょへ 雪掻き参上
直ちに 諸卿大夫たゆう招請しょうせい
新年の宮中大宴会となった 
席には 確執かくしつ二派の頭首 
中立諸公も こぞって居並んでいた

上皇寿歌ことほぎうた要請での 歌披露が うたげを盛り上げる

降る雪の 白髪しろかみまでに 大君に 仕へまつれば 貴くもあるか
《降る雪の 白い頭に なるまでも お仕え出来て 勿体もったないです》
                         ―橘諸兄たちばなのもろえ―〈巻十七・三九二二〉
あめの下 すでにおほひて 降る雪の 光りを見れば 貴くもあるか
《この地上 全部おおって 降る雪の 輝き見たら 有り難いです》
                         ―紀清人きのきよひと―〈巻十七・三九二三〉
山のかひ 其処そことも見えず 一昨日をとつひも 昨日きのふ今日けふも 雪の降れれば
山谷やまたにが 何処どこか分からん 一昨日おとついも 昨日きのうも今日も 雪降ったんで》
                         ―紀男梶きのをかぢ―〈巻十七・三九二四〉
あらたしき 年のはじめに とよの年 しるすとならし 雪の降れるは
《新しい 年の初めに 雪降って 豊年ほうねんなるん 間違まちがいなしや》
                         ―葛井諸会ふぢゐのもろあひ―〈巻十七・三九二五〉
大宮の 内にもにも 光るまで 降れる白雪 見れど飽かぬかも
《大宮の 内外うちそとともに 輝いて 降る白雪は 見飽きしません》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻十七・三九二六〉

諸兄もろえ欣快きんかいを見 家持も 心を軽くしていた
しかし  上皇要請の歌披露には及んだものの
家持の「さとし」堅持けんじの用心 
なおもゆるまぬ日々が続く
―――――――――――――――
聖武天皇しょうむてんのう彷徨五年の経緯】
藤原きょう 亡きあとは 橘諸兄もろえ 牛耳ぎゅうじ取る
反発広嗣ひろつぐ 乱起こす 意気込みあれど 腰砕け
帝はうろたえ 関東へ 彷徨ほうこう果ての 行き着きは 
諸兄所縁ゆかりの みかの原 これが改め みやこ 
えにし平城なら宮 捨てられて 藤原再興おこし 影が差す
知恵者仲麻呂 行基ぎょうきもち 天皇すめらみことに 取り入りて
紫香楽しがらき宮を 造営し 大仏ほとけ造立ぞうりゅう みことのり
紫香楽しがらきの 宮造り 費用ついえ莫大ばくだい 民疲弊ひへい
の造営 中止なり 紫香楽みやこ 実現か
そうはさせじと 諸兄もろえ卿 反撃期して 策を練る
元正げんしょ上皇 策受けて みかど安積あさかを 共に連れ
難波宮への 行幸ぎょうこうは 安積あさか天皇 画策か
事の成就じょうじゅを 前にして 皇子おうじ亡くなり 策挫折ざせつ
仲麻呂ていを 紫香楽しがらきへ 都ここぞの 示威しい示す
難波残りし 諸兄らは 皇都こうと難波の ちょく下す
紫香楽宮で 大仏の 芯柱はしらが出来て 建立こんりゅう
元正招かれ  紫香楽へ これで決着 思えしが
紫香楽宮で 火事しきり 日照り地震の 頻発ひんぱつ
災害元凶もとは 悪政と 人心揺れて 世はみだ
何処いずこの 諮問たずねには 平城なら帰るべし 一色ひといろ
ついにみかどは 平城なら帰還 彷徨ほうこう五年 ここに止む

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