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令和・古典オリンピック

令和改元を期して、『日本の著名古典』の現代語訳著書を、ここに一挙公開!! 『中村マジック ここにあり!!』

家待・青春編(二)(17)木(こ)の間(ま)立ちくき

2010年10月12日 | 家待・青春編(二)内舎人青雲
【掲載日:平成22年11月2日】

あしひきの 山れば
      ほととぎす 立ちくき 鳴かぬ日はなし



恭仁くにきょうでは 新都の建設が進んでいた
内舎人うちとねり家持 恭仁に 仮居やしき構えて 帰らず

書持ふみもち 庭での 草花手入れに余念がない
心優しい書持ふみもち 幼少よりの 花で心
家持留守の 鬱屈うっくつ
ごもりの 歌作りばかりではと
庭いっぱいの草花世話に  精を出す

遷都令明けての 天平十三年〈741〉四月
恭仁京家持に 書持ふみもちからの歌が届く

たちばなは 常花とこはなにもが ほととぎす 住むとかば 聞かぬ日けむ
《橘が 年中ねんじゅうばなで あって欲し 鳴くほととぎす 毎日聞ける》
                         ―大伴書持おおとものふみもち―〈巻十七・三九〇九〉
たまく あふちを家に 植ゑたらば 山霍公鳥ほととぎす れずむかも
薬玉たま作る 栴檀せんだんばなを 植えたなら 山ほととぎす ずっと来るかな》
                         ―大伴書持おおとものふみもち―〈巻十七・三九一〇〉

書持ふみもちが 季節を教えてくれたか
 彷徨さまよい続ける みかどに従い 
 その挙句あげくが 恭仁遷都
 山深い地での生活くらし
 なるほど  花とほととぎす か〉
鬱屈中うっくつなかの 歌便り 
ほっとの家持  その日のうちの返し歌

あしひきの 山れば ほととぎす 立ちくき 鳴かぬ日はなし
《山裾で 暮らしてるんで ほととぎす くぐって 毎日鳴くよ》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻十七・三九一一〉
ほととぎす なにの心そ 橘の たまく月し 来鳴きとよむる
《ほととぎす どんな積りか 花時期どきと ごて実時期みどきに 来て鳴くのんは》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻十七・三九一二〉
ほととぎす あふちの枝に 行きてば 花は散らむな 珠と見るまで
《ほととぎす 栴檀せんだん枝に 居ついたら 花散るやろな 玉散るみたい》
                         ―大伴家持おおとものやかもち―〈巻十七・三九一三〉

自らの 気鬱きうつに沈む家持に
書持ふみもちの訴えは 届かない

たちばなは 常花とこはなにもが ほととぎす 住むとかば 聞かぬ日けむ
《兄上が 年中ねんじゅうばなで あって欲し 傍にったら 毎日逢える》
                         ―大伴書持おおとものふみもち―〈巻十七・三九〇九〉
たまく あふちを家に 植ゑたらば 山霍公鳥ほととぎす れずむかも
薬玉たま作る 栴檀せんだんばなを 植えたなら 兄上ずっと てくれるかな》
                         ―大伴書持おおとものふみもち―〈巻十七・三九一〇〉


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