本の迷宮

漫画感想ブログです。「漫画ゆめばなし」(YAHOO!ブログ)の中の本の感想部分だけを一部ピックアップしています。

藤子・F・不二雄 (ミノタウロスの皿)

2008-11-07 10:00:37 | 漫画家(は行)
出版社からのコメント
藤子・F・不二雄の、ちょっと変わった味わいの作品を集めた異色短編集。
SF的手法と鋭い風刺精神を存分に発揮し、大胆かつ繊細な構成で不可思議世界を描き出す。「藤子美学の世界」に、どっぷりと浸かれる作品集!


SFというかブラックユーモアというか社会風刺というか人間風刺というか・・・まあ、そんなものがぎっしり詰った短編集です。
「ドラえもん」の明るい世界とは真逆の世界。
大人になって読むと、ギクッとしてしまう話ばかり。



この文庫版の中に「劇画・オバQ」が収録されています。
15年ぶりに再会した正ちゃんとオバQ。
オバQは昔のまま変わってないんだけど、正ちゃんはすっかり大人になって奥さんのいるサラリーマン。



ラスト・・・オバQがつぶやく。
「正ちゃんは
もう子どもじゃないってことだな……
……
な……」そして、ひとり飛び去って行くオバQ。



大人になってしまった元少年少女たちが読むと胸にずきーっとくる話だと思います。



「コロリころげた木の根っ子」
出版社 / 著者からの内容紹介より
遅筆で知られる小説家・大和のもとへ、原稿の催促にやってきた新米編集者の西村。外で偶然に出会った2人だったが、大和の家に着くなり、大和は妻を殴り飛ばした! 実は、大和は編集者の間でもうわさの家庭内暴君だったのだ。そして大和の妻は何もいわずに、それに耐えているのだったが……(第13話)。


これはかなり怖い。
勿論、幽霊や怪物が出て怖いと言ってるわけではない。
人間の心理が実に怖いのだ。
夫の暴力に耐えている妻が考えてることは・・・。
こういう事はあり得るかもしれないから怖い。
しかし・・・最近は暴力に耐えかねて実際に相手を殺したというニュースをよく耳にする。
自分が手を下さずに相手が死ぬのを待つっていうより、実際に手を下す方が手っ取り早いのは確かだけどね。。。