本書はNHKの動画配信サイト「FACES How I survived being bullied (
FACES Project/NHK)から生まれたものだ。掲載されているのは20人の実例。いかにいじめをうけて、それを乗り越えたかという物語だ。本書を読むと、いじめは日本だけの問題ではなく、世界中にあると言うことが分かる。NHKのプロジェクトということもあるのだろう、本書に登場するのは日本人が多いが、外国の人も結構いる。また、日本にカウントされている人の中にも外国出身で、そちらで被害にあっていた人が入っている。
一つ疑問がある。どうして「いじめ」なんて曖昧な言葉を使っているのだろう。もしその国の法律に触れるようなものがあれば、はっきり「犯罪」と言えばいい。「いじめ」なんて言葉を使うのは、問題をあやふやにする恐れがあるだけだろう。そして、犯罪に対処するのは学校ではなく警察なのだ。そして、そんないじめに加担するものは、犯罪の共犯者なのである。これを曖昧にしてはいけない。
それにしても、どうして人間は少しの差異を見つけて、人を排斥したがるのだろう。「これからは個性の時代」といいながら同調しない者をはじき出す。正しいことに(何が正しいかというのは議論対象になるが、誰が見ても間違っているだろうと思えるものはある)同調するのならまだわかるが、おそらく声の大きい者、そのグループのボス的な者の言うことを聞かなければいじめられるのだろう。
本書に出てくる人たちはいじめをのりこえているが、おそらくその後ろには乗り越えることが出来たかった人たちが沢山いると思うと痛ましい。金子みすゞの「みんな違ってみんないい」という言葉をもっとかみしめて欲しいものである。
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