「あばばばば」、何とも変わったタイトルである。芥川は時折ヘンな作品を書くので、これもそんなものだろうと思って読んでみた。
内容は「保吉(やすきち)シリーズと呼ばれるもののひとつらしい。名字の方は出てこないので分からない・このネーミングに時代を感じるのは私だけだろうか。だって「保吉」だよ「や・す・き・ち」。今時こんな名前を付ける親はまずいないだろう。(いたらゴメン)
ところで、内容の方だが、保吉は海軍の学校へ教師として赴任してきた。海軍の学校としかないのだが、海軍兵学校のことだろうか。
作品の舞台となっているのは、安吉が通勤の途中で寄っている店。タバコ、缶詰、ココア、マッチと色々なものを売っているようなので、よろず屋(某時代劇スターのことではないよ)のようなものだったのだろう。よろず屋というと今の若い人は分からないかもしれないが、色々なものを売っている店。今で言えばコンビニのようなものだと思ってもらえば当たらずといえども遠からずといったところか。
ここの勘定台に若い娘が座るようになった。この娘、なんとも初々しいのだ。商品知識はいまひとつだし、妙におどおどしている。ある日この娘が見えなくなる。次に見たときは、赤子を抱いていた。タイトルの「あばばばば」と言うのはご想像の通り、赤子をあやす言葉だ。それも顔も赤らめず、人前にでも恥じずにだ。
私は最初この話を読んで、BLものではないが「やおい」という言葉を連想した。すなわち山なし、落ちなし、意味なしである しかし最後の方を読んで「母は強し」と言いたいのだろうと思った。
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