文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

書評:失敗を生かす仕事術

2018-06-29 09:32:11 | 書評:ビジネス
失敗を生かす仕事術 (講談社現代新書)
クリエーター情報なし
講談社

・畑村洋太郎
・講談社現代新書

 本書の名前を一言で言えば、「失敗に学べ」もしくは、「失敗を活かせ」ということだろうか。もちろん致命的な失敗をしてはいけないが、致命的ではない失敗の中には、多くの学ぶべきことがあるという。

 今までは「成功例」に学んでいた。しかし、それが行き過ぎると極度に失敗を恐れるようになり、前例踏襲ばかりをやって、新しいことにチャレンジしなくなる。これでは世の中の発展は望めない。

 失敗をしないように作られるのがマニュアルだ。マニュアルを別に否定するわけではないし、何事も初期段階においては、マニュアルに従うというのも重要だろう。しかしどこまでもマニュアル通りでは、創意工夫もないし、進歩もしない。本書にはこのマニュアルに関して面白いことを言っている。対象は某ファーストフード店だ。

<そこにはレストランで働く料理人に観られるような工夫、創造、仮想演習などはないに違いありません。想像力などは必要とされないので、当然〇〇〇〇〇〇でハンバーガーを何万個焼いても料理人になれません。(〇部は評者置き換え)>(p175)

まあ、ファーストフード店で働いている人で、料理人になろうと思っている人は、そもそも少ないだろうが・・・。

 それはさておき、最近は、昔に比べて、失敗に許容性が無くなってきたように感じる。とにかく社員は失敗しないようにするという前提で教育が行われる。しかし、人は失敗してこそ大きく成長するのだ。もちろん致命的な失敗はしてはならないが、そうでないような失敗は、その原因を自分で考え、同じ失敗を二度としないように工夫する。これこそが、何かを確実に身につけるための最も効果的な方法だろう。そして小さな失敗に対する創意工夫の積み重ねが、致命的な失敗の予防にも繋がるのである。しかし現在はそういった余裕が日本社会から失われている。一度失敗すればそれっきりなのだ。まるでどこかの悪の組織化が進んでいるようである。

 また、本書には次のようなことも書かれている。

「組織に属していると、ときに上司から法律違反のような不正を半ば強制されることもあるから困りものです。「いざとなったら会社が全部責任を負うから」などと言葉巧みに説得され、実際に問題が発覚したときは、「下の者が勝手な判断をした」と偽ってトカゲのしっぽ切の問題解決が行われることも珍しくはありません。」(p119)

 典型的な例は、時折テレビなどで報道されている談合問題だろう。談合は完全な独禁法違反なのだが、業界によっては、またかと思うくらい摘発される。あれで逮捕されるのは大体が直接関係したもの(せいぜいが担当役員クラスまで)で、社長まで逮捕されたというのはあまり聞かない。でもあれは絶対にトップ層まで関係しているのではないか(もしくは黙認している)と思うのだが。

 本書に紹介されている「思考展開図」というのは、なかなか興味深い。シナリオを分かりやすく図の形に展開していくものだが、色々応用が多そうな気がする。

☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。


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後発性白内障のレーザー治療

2018-06-27 22:48:28 | その他
 今日は、病院の眼科で、左目の後発性白内障のレーザー治療を受けてきた。2012年に黄斑円孔という病気で左目を手術した際に、白内障の対策として、水晶体を人口水晶体に変えてはいたが、それを包んでいる袋が濁って、見えが悪くなるらしい。

 両目で見ているときはいいのだが、左目で本を読むと文字が書いてあるのは分かるのだが、文庫本の文字の大きさだと、何の文字だか識別できなくなっていた。理屈はよく分からないが、レーザーを当てると、その濁りが散るらしい。治療を受けて家に帰り、ひと眠りしたあとに本を読んでいると、左目でも何が書いてあるか分かる。そういえば、人工水晶体に変えた直後は、それまで近視がかなりあったのだが、ものすごくよく見えることに感動したものだ。そこまでとはいかないが、レーザー治療を受ける前とは明らかに左目の見え方が違う。次は1ヶ月以内に、どのくらい回復したのかを検査しないといけないそうなので、次回の予約をして家に帰った。
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書評:野草の力をいただいて 若杉ばあちゃん食養のおしえ 改訂版

2018-06-27 10:51:47 | 書評:その他
野草の力をいただいて 若杉ばあちゃん食養のおしえ 改訂版
クリエーター情報なし
五月書房新社


・若杉友子

 俳優の岡本信人さんのように、野草をなんでも天ぷらにして食べちゃう人はそう珍しくはないのだろう。もちろん野草の中には、毒のあるものがあるので、十分気を付けなくてはならないが、食べられる野草というものは意外に多い。そういえば、麒麟の田村氏なんかも、公園生活をしていた時は雑草を食べていたらしい。

 私も、田舎育ちなので、食べはしないが、スイバやツバナなどを噛んでいた覚えがある。野イチゴや野生のグミ、天然の山芋、アケビなど、山に行けば結構食べられるものはあった。

 ということで、本書のタイトルを見て、いかに野草を食べるかというような内容だと思っていたのだが、読んでみると少し違った感じを受けた。確かにレシピはいろいろと載っているのだが、野草だけでなく普通の野菜も結構ある。

 食べられる野草というのは結構多いものだが、思ったほどの種類は紹介されていない。どちらかといえば、著者の生活ぶりや主張の方が目立ってしまうというのは気のせいか。

 ちょっと違和感を感じるのは、どのくらいの根拠があるのかわからないが、とにかく決めつけているような内容が多いということだ。目次に「陰陽」とあったのが、少し気になってはいたが、どことなくスピリチュアルな香りがして、科学の子を自認する私とはあまり相いれないなという気がする。

☆☆

※初出は、「本が好き!」です。


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広島ガスの株主総会に出席してきた

2018-06-26 15:08:02 | その他
 今日の午前中は、広島ガスの株主総会に出席してきた。株主といっても、株主優待がもらえるギリギリしか株を持っていないのだが、ここは、株主総会に出るとお土産をくれるので、出席してみたというわけだ。

 実は、本日もうひとつ株主総会が重なっていたが、こちらはお土産をくれるというのが分かっていたので、優先したという次第だ。それほどたくさん種類を持っているわけではないのに、なぜか同じような日に株主総会が開かれている。

 これが東京とかなら仕方ないのだろうが、広島で株主総会を開く会社というのはそれほどないのだから、もっと開催する日にちについて、考えて欲しいものである。

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書評:血

2018-06-25 10:35:54 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
クリエーター情報なし
中央公論新社

・新堂冬樹

 本書の内容を一言で言えば、あるサイコパスの物語ということだろうか。この作品は、主人公の本庄沙耶という女子高生。しかし、どこでもいるという女子高生ではない。自分に流れる血を憎み、同じ血が流れる人間を消し去ろうとする。

 父方の祖父母は無理心中、両親は目出し帽の男に刺殺される。沙耶はこの後、母方の祖父母、父方の叔父、母方の伯母に引き取られていくが、行く先々で、自分の血筋に当たるものを殺害していくのである。その方法が、デス・ストーカーである猛毒サソリを使ったり、車に爆弾を仕掛けたりというものだが、どのように沙耶がこれらの方法を考えるのかというところがこの作品の一番の読みどころかもしれない。

 出てくる人物のほとんどはクズと言ってもいい人物。例えば、沙耶の両親や母方の祖父母だが、自分の保身のことばかり考えているし、叔父は、ワイルドを気取った小心者、その息子で従兄に当たる旬は、沙耶やそのクラスメートの果歩をレイプしようとする。伯母の夫である亨は、実の娘をレイプし、伯母の律子はまったく無関心だ。娘の香織にしても、夫が家出したということになっているが、実は「処分」したようだ。

 これだけろくでもない人間をこれでもかこれでもかというほど出す作品はめったにないと言っていいだろう。世の中には「イヤミス」という言葉がある。読んだら嫌な気持ちになるミステリーというものだ。そういった意味では、本書も十分にイヤミスの資格があるが、残念ながらミステリー的な要素はほとんどない。全編がどうすれば沙耶が対象を「処分」できるかということに費やされており、そのやり方にアイデアがつぎ込まれているような気がする。それにしては、最後の終わり方はあっけなかったのだが。

☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

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金融セミナー受講

2018-06-24 20:13:54 | セミナー、講演会他
 昨日は、サテライトキャンパスひろしまで行われた金融セミナーを聴講してきた。これは、広島銀行創立140周年記念として行われるもので、今回と、次週の土曜日の2日に分けて行われるものだ。

 1日目に行われたのは、「ライフプランに基づいた金融の知識」と「ライフサイクルに応じたローン・クレジットカードの上手な使い方」の2テーマだ。

 金融の知識の方は、大体知っていることだった。ローンは使う予定はないが、クレジットカードは署名がないものを他の人が使っても損害は補償されないということだ。もし、手持ちのカードに署名がない場合は、すぐに署名することをお勧めしたい。

 セミナーに先立ち、近くのサンマルクカフェで写真のようなランチを食べた。しかし、店によってシステムが違うので、初めて入った人には戸惑ってしまう。その店のシステムを大きく誰もが分かるように張り出して欲しいものである。

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書評:猛獣性少年少女1,2

2018-06-23 10:52:43 | 書評:その他
[まとめ買い] 猛獣性少年少女
クリエーター情報なし
メーカー情報なし

・中田ゆみ

 本作の主人公宇佐美亨は、草食系の高2の生徒。身長156cmと、背の低いのがコンプレックスだが、同じクラスの長身美少女・綾部玲里とひょんなことから付き合い始める。彼女の身長は176㎝もあり亨より20㎝高い。

 綾部はかなり変わった娘で、実は黒豹の性質を持った猛獣系の娘なのだが、亨の幼馴染。あるショッキングな事件がきっかけで、彼の記憶は封印されていたらしいが、目の前のとびっきり可愛い美少女の前では過去のショックもなんのその。二人はそのまま付き合うことになるのだ。

 この二人、いわゆるバカップルといってもいいくらい相思相愛でいつもいちゃいちゃしているのだが、二人が通う高校には他にも猛獣系の娘がいて、どれも美形。やはり幼馴染の江田島天乃(フクロウ)やギャルぽい伊勢崎蘭佳(狼)といった美少女が、なぜか亨に魅かれて、いろいろとちょっかいを出してくる。

 うらやましいこともたくさんやらされるのだが、さすがに最後まではいかない。でも、かなりきわどいところまではいっているかな。でも絵柄がとっても綺麗だから、それほどエロい感じはしないのだが。

☆☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。


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アメフトの危険タックル問題に思う

2018-06-21 12:53:15 | オピニオン
 最近、マスコミでアメフトの危険タックル問題がよく報道されている。世間一般の論調は、悪いのは指示した監督・コーチの方で実際にタックルをした選手には同情的な声が多いように感じる。

 しかし、へそ曲がりの私としては、本当にそうだろうかと思ってしまう。そもそも事件が起きたのは、仮にも大学と銘打った組織の中である。そして大学生というからには、自分の頭で考えることが期待されるのである。いくら指示されたとしても、実際にやったのは選手自身である。仮にも大学生である以上は、善悪の判断は自分で行わなければならないのだ。それができないようなら、大学生とは言えないだろう。本人も所属する組織も大学の名は返上した方が良いのではないだろうか。


 
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書評:知的戦闘力を高める 独学の技法

2018-06-21 09:20:50 | 書評:ビジネス
知的戦闘力を高める 独学の技法
クリエーター情報なし
ダイヤモンド社

・山口周

 知的戦闘力を高めるためと副題付きの本書。私も何かを学ぶのなら基本的に独学しかないと思う。人から教えられたことはなかなか身につかないし、応用も効きにくいのである。自分で勉強して徹底的に考えたことこそ、真に自家薬籠中のものとなるのである。

 本書で面白いと思ったのは、本書で紹介されている2つの本の読み方。すなわち、メタファー的読書とメトノミー的読書である。前者は初学者向けの本から初めて、横にどんどん読書領域を広げていくという幅の読書であり、後者は、次第に専門的なものを読んでいくという深さの読者である。
 
 しかし私は第3の読み方があるのではないかと思う。特に何かを独学するにあたっては必要になるのではないか。それは一冊を徹底的に読み込むのである。何かを学び始めた際に、基礎になることをあたかも塗り物を何度も塗り重ねるように読み込んでいくのだ。これは、一種のフレームワークを身に着けるということであり、これによって基礎的な知識を身に着けたうえでないと著者の言うような読み方をしても効果は薄いだろうと思う。もちろん基礎となるものなので、あまり通俗的なものは避けた方がいいだろう。

 最後に知的戦闘力を高めるためにリベラルアーツの各分野なるものが紹介されている。自然科学も一応掲載されてはいるものの、なんだか生物学関係に偏っているような気がしないでもない。まあ著者の経歴を見るともともと哲学系の人みたいだし、根っからの文系人が入るには生物学関係が敷居が低いのかもしれない。工学関係のものは一冊も入っていないし、そもそもジャンルさえ設定されていないというのはかなり気になるところだ。

 そもそも文系人にとって、一番敷居が高いのは物理学なんだろうか。そのこともあって明らかな間違いが書かれている。なんでもファラデーがマクスウェル方程式を導いたとか。

<典型例が物理学で、たとえばファラデーは電磁気学の研究において流体力学からの類推を用いてマクスウェル方程式を導いていますし・・・>(p172)

 ファラデ-が偉大な科学者であり電磁気に関する各種法則を見出したことは間違いないが、彼は高等教育を受ける機会がなかったこともあり、数式の扱いといったことはあまり得意ではなかったようだ。これを定式化してマクスウェル方程式を導いたのはもちろんマクスウェルである。こういった記述を読むと、文系人が自然科学を軽視している実例を見るみたいでちょっとがっかりする。

☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

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一般社団法人広島県発明協会総会記念講演会聴講

2018-06-20 19:35:18 | セミナー、講演会他
 今日は、一般社団法人広島県発明協会の実施する総会記念講演会を聴講してきた。場所は、広島市工業技術センター。聴講したことを一言で表せば、日本の企業はもっと知財戦略を持たなければならないということだろうか。

 なにしろ、知財戦略を経営会議で議論しているような会社はほとんどないらしい。それもそのはず、知財に対するちゃんとした知識を持っていないと、議論なんかできるはずがない。よく知らない人間だけで議論してもまともな議論にはならないだろう。しかし、日本の経営者に知財に関する正しい知識をちゃんと持っている人がどれだけいるだろう。社内政治ばかりに精を出し、勝ち抜いてボードに入ったとしたら、知財戦略がおろそかになるのもある意味当然だろう。

 ところで、知財に含まれるものには、特許・実用新案、意匠、商標、ノウハウ、著作権の5種類ある。知財戦略においては、これらをうまく組み合わせて権利を守ることが必要だという。全部を使う必要はないが、一つでは権利を守ることは困難である。だからきちんとした知財戦略が必要なのだ。

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