表題にある須美ちゃんとは、浅見家のお手伝いさん吉田須美子のことである。浅見光彦シリーズ番外とついているように、浅見家というのは故内田康夫が生んだ名探偵浅見光彦の実家である。
ただ、本編のように殺人事件が出てくるわけではなく、須美ちゃんが日常のちょっとした疑問を解き明かすというもの。
このタイトルにある四重想というのは、浅見家の面々、ただし光彦と兄の陽一郎を除いた4人、すなわち光彦にとっては兄で警察庁刑事局長の陽一郎の子供で姪、甥にあたる智美(さとみ)、雅人(まさと)、陽一郎の妻和子、陽一郎と光彦の母親である雪江が抱いたちょっとした疑問を澄ちゃんが解決していくというもの。
なお四重想と名付けられている通り、この作品は4つの短編から成り立っている。そして、どれも上記の4人の名前が短編のタイトルにつけられている。
1.雅な悩みごと
俳句の盗作騒動。これは雅人の話。
2.智は愛されし
智美がラブレターをもらった。智美の話。
3.和を繋ぐもの
和子が昔の友人との絆を取り戻す話。
4.雪に希いしは
雪江が見かけた二人の少女。見かけたときは片方が目をつむっていたので目が不自由かと思ったら、次のときは目をつむっている少女がいれかわっていた。次に須美ちゃんが見かけたときは二人とも目を開けていた。
浅見光彦シリーズ、私のお気に入りのシリーズだったので、全話を踏破していたのだが、内田さんが亡くなられて、新作が読めなくなったのが残念であるが、新作は読めなくても番外という形で登場人物が出てくるのはなんとも楽しい。
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