皆さんはこんなことを思ったことはないだろうか。同じことを言っているのに、Aさんはすんなりと受け入れられるのに、Bさんだと反発を招く。そう内容も大事だが、話し方も大事なのである。
何かを相手に伝えようと思ったら、相手に信頼され、興味を持たれて、受け入れてもらうことが不可欠だろう。そうでないと、いくら言っても、拒否感の方が先に立ち、話がうまく伝わらないことも多い。本書は自らの体験をもとに、どのような話し方をすればよいのかについてのヒントが詰まっているように思える。
ただ幾つか気になることがある。著者の東大コンプレックスのようなものが透けて見えるのである。例えば次のような記述だ。
「偏差値30台→偏差値70超→東大の入試よりも難しい採用試験を最年少合格」(p120)
それに東大院で研究をしているということは巻末の著者略歴に書かれているのに、どうして出身大学(ネットで調べると立教大学らしい)については書いていないんだろう。
これも気になる。言い過ぎているのだ。
「私は予備校講師として、これまで東京大学に500人以上、医学部には2000人以上合格させてきました」(p61)
著者は予備校で化学の講師だった。私は京大だが、入試の配点で理系は理科は2科目なので、化学は、900点のううち100点しかない。いくら化学だけ得点しても、他の科目でも点が取れないと合格できないだろう。
また、あたかも偏差値と言う絶対的なものさしがあるような記載がされているのも気になる。私は、偏差値とは同じ母集団内で比べることができるもので、私大と国立大の偏差値なんて比べられるわけがないし、個人の偏差値なんて試験の都度変動して当たり前だと思っている。
☆☆☆
※初出は、「風竜胆の書評」です。