ネットで、消費税をめぐる議論がアゴラなどを中心に活発化しているようだ。
小飼弾氏は、彼のブログ
「404 Blog not found」で
「より高収入の人の方が貯蓄にまわす率が高められるので、消費性向は高収入な人ほど下がる」ために消費税は逆進的だと述べている。(H22.10.30 一文字ミスプリ修正)
これに対して、池田信夫氏は
「アゴラ」で
「人々が合理的に消費すると仮定すると、死ぬまでに所得をすべて使い切るので、生涯所得に対する消費税の比率は同じ」であると反論している。
この池田氏の反論に対して、小倉秀夫氏は、
「la_causette」で、国税庁のデータによれば、
「ざっと計算して、一人あたり2億2〜3000万円の遺産を残してなくなって」おり、どこにも合理人なんていないと指摘している。
しかし、私にとっては、これらの議論は、物事の一面だけを強調し過ぎているように思える。
まず、弾氏の主張であるが、これは課税のレンジをどう見るかということだろう。1世代で考えれば、貯蓄の割合が増えるほど、確かに当面の消費税の支払いは少なくなる。しかし、貯蓄は、いつかは出ていくものである。それが子孫による場合もあるだろうし、銀行の信用創造機能を使って、第三者である場合もあるだろう。その意味ではフラットな税制といっても間違いではないだろう。もちろんフラットだからいいと言っているわけではないので、誤解のないようにしてほしい。
次に、池田氏の主張であるが、小倉氏の言うように、まさに仮定の世界である。経済学の人間はよく理論を構築するためにモデルを仮定する。しかし、それを絶対視するのも、また経済学系の悪い癖でもあるだろう。もうひとつ付け加えれば、たとえ、
「平均的」にこのことが成り立ったとしても、問題になるのは、平均から外れている部分であるということを指摘しておきたい。
小倉氏の主張については、確かに合理的な経済人と言う仮定に意味がないことは、上に述べたとおりだが、逆進性うんぬんというのは、私が弾氏の主張に対してコメントしている通りだ。
もっとも、私が消費税増税に賛成しているわけではないのは、本ブログ過去記事
「消費税の増税は本当に必要か」でも述べた通りである。要は、消費税が逆進的かどうかを決めつけることは、それほど本質的なことではないということである。
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