文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

風立ちぬ

2019-04-14 08:45:10 | 映画・ドラマ
風立ちぬ [Blu-ray]
(原作)宮崎駿/堀辰雄
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社

 ゼロ戦の設計者として有名な堀越二郎をモデルに、堀辰雄の小説「風立ちぬ」の話をミックスしたアニメーション映画。

 主人公の堀越二郎は、子供のころから飛行機に憧れていたが、近眼だったことからパイロットとなることは諦めていた。ところが、少年のころ、飛行機の設計者であるカプローニ伯爵が夢に出てきて励まされたことから飛行機の設計者を目指すようになる。

 関東大震災で乗っていた列車が脱線した時に助けた、里見菜穂子と次女のお絹。この時は、彼はまだ東京帝大の学生だったが、やがて航空機メーカーの技術者として就職し、菜穂子と再会する。しかし菜穂子は、当時死病だった肺結核を患っていた。

 この物語の柱は2つ。飛行機の設計に情熱を傾けた堀越二郎の話と次郎と妻の菜穂子の愛情の物語。堀越次郎は実在の人物だが、前述のように二つの話がミックスされているので、菜穂子という妻はいないし、子孫に当たる人もいるようだ。

 二郎の上司の黒川さん。人相は悪いが、とってもいい人だ。奥さんといっしょに、二郎と菜穂子の祝言までやってくれたし。こんな上司ならいいという人も多いのでは。

 この映画の主題歌、荒井由実の「ひこうき雲」は、リリースされたのが1973年だという。この映画ができたのが2013年ということなので、よくぞ発掘したという感じだ。まるでこの映画のために作ったように思える。

 ところで、この映画、計算尺が大活躍(計算をするという本来の使い方の他、骨折の添え木代りとか)している。私の学生時代はもう電卓の時代だったが、第1種無線技術士試験を受験する際に使ったことを思い出し、懐かしい感じがした。今は、計算尺を見たこともないという人が結構いるんだろうな。そんな人が計算尺を使っている場面を見て、何をしているんだろうと思わないかな。でも、カプローニ伯爵がいろいろな場面で出てくるが、本当に必要だったのだろうか。ちょっと疑問だ。

☆☆☆☆

 

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ドラマレビュー:「ドラマスペシャル 帝都大学叡古教授の事件簿

2016-05-22 13:32:16 | 映画・ドラマ

 昨日のテレビ朝日系列で放映していた「ドラマスペシャル 帝都大学叡古教授の事件簿」。原作は門井慶喜の「東京帝大叡古教授」だが、大学名が変わっていることから想像がつくように、中身はほぼ別物。

 文系の天才というふれこみの帝都大学教授・宇野辺叡古が学内で発生した猟奇的な連続殺人事件を解決に導くという内容だ。

 時代も原作とは違っている。原作では日露戦争が起こったころの明治の日本が舞台だったが、ドラマではこれが現代に置き換えられている。阿蘇藤太も旧制五高から東京帝大入学を目指していた若者だったところが、こちらでは叡古教授の助手。原作ではかなり重要な役を果たしていたのだが、ドラマではかなり軽い役どころだった。助教ではないので、あまり学問の道を目指しているわけでもないようだ。また叡古教授自身もなんだか原作より軽い。

 原作との一番の違いは、ストーリーに警察が大きく関わっているところだろう。南波陽人という警視庁刑事が叡古の相棒役のようである。この南波刑事、階級は警部補らしいが、ドラマ中で「ダメキャリ」と罵られる場面があったので、一応キャリア警察官なのだろう。母親が国家公安委員長という設定からもそれが推測できる。しかし、キャリア警察官なら、警部補は最初の1年間だけ。すぐに警部に昇進するはずだ。難波を演じている田中直樹は、年齢的にとても入庁1年目の新人には見えない。母親が国家御公安委員長なら、降格処分を受けたということも考えにくい。

 彼の上司に当たる警視庁捜査一課の係長とその腰ぎんちゃくのような刑事が出ていたが、その二人の態度の横柄なこと。その腰ぎんちゃくのほうが南波の頭を叩いているシーンがあったが、係長が警部だからその部下なら警部補か巡査部長というところだろう。階級社会の警察で、同格以上の階級のキャリア警官を、いくら「ダメキャリ」と思っていても、頭を叩くようなことがあるのだろうか。

 捜査一課長が、やたらと国家公安委員長のところに行っているというのも気になる。行くのなら、刑事部長か警視総監のところではないのか。なかなか突っ込みどころの多いドラマだった。

 ところで、叡古教授をわざわざ「文系の天才」と銘打ったのは、帝都大学には、理系の天才であるガリレオこと湯川准教授がいるからなのか(笑)。テレビ局は違うが、この二人がコラボしているドラマを作ったら面白いかなと思った。


○原作
・東京帝大叡古教授(門井慶喜)
東京帝大叡古教授 (小学館文庫)
クリエーター情報なし
小学館


○出演
・藤木直人(宇野辺叡古)
・清水富美加(宇野辺さくら子)
・白洲迅(阿蘇藤太)
・田中直樹(南波陽人)他

☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。

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ドラマレビュー:浅見光彦シリーズ35 風のなかの櫻香

2016-03-29 11:46:56 | 映画・ドラマ

 TBS系「月曜ゴールデン」の最終回を飾る「浅見光彦シリーズ35 風のなかの櫻香」。速水もこみち版の光彦は、これが4作目となる。なお、「月曜ゴールデン」は、4月から「月曜名作劇場」にリニューアルされるということだ。

 このドラマは、奈良の尼寺「尊宮寺」で育った孤児櫻香(さくらこ)の出生に関係した、親子3代にわたる悲しみの物語を描いたものである。

 「尊宮寺」のモデルは、原作では法隆寺の隣にある「中宮寺」だったが、ドラマの方で使われたのは、東京青梅市の「安楽寺」という寺のようだ。ただ、猿沢の池や興福寺五重塔、平城宮祉なども出ていたので、奈良でも撮影は行われている。

 尊宮寺で、厳しくも大切に育てられた櫻香だが、寺に、「櫻香を出家させるな」という謎の手紙が届く。それまでは平穏に暮らしていた櫻香だが、そのころから彼女の運命は大きな転機を迎えることになる。光彦は取材で尊宮寺を訪れたのだが、母の雪江が寺の慶尊御前と古い知り合いだったことから、櫻香の出生の秘密を調べることになるのだ。

 原作では櫻香は中学生だったが、これではさすがに若すぎる。ヒロインと光彦との絡みも、このシリーズの魅力の一つなのだが、相手が中学生ではただのロリコンになってしまうだろう。そのせいか、ドラマでの櫻香は、年齢が大きく引き上げられ、おそらく女子大生だと思われる設定となっている。ちょと面白い性格の女性のようだが、役を演じる志田未来の好演が光る。

 しかし、櫻香が何度も秋波を送っているのに、にぶちんの光彦は気が付かない。結局櫻香は、得度して尼さんになることになったようだが、光彦はまたしても嫁とりの大きなチャンスを逃したようだ(笑)。

 刑事が光彦をさんざん容疑者扱いして横柄な態度をとっていたのに、刑事局長の弟だと分かると、急に掌を返したようになるシーンはいつもの通り。今回は、光彦が所轄で容疑者扱いされているときに、洋一郎が、そこの署長が同期だということで現れるのだが、陽一郎は刑事局長で階級は警視官、所轄の署長だと階級は警視正か警視であり、これが同期ということがあるのだろうかと疑問に思った。

○原作:内田康夫「風のなかの櫻香」
風のなかの櫻香 (徳間文庫)
クリエーター情報なし
徳間書店



○出演
・速水もこみち(浅見光彦)
・佐久間良子(浅見雪江)
・風間杜夫(浅見陽一郎)
・志田未来(櫻香)
・石野真子(七原聖子)
・前田吟(荒井元博)ほか

☆☆☆☆

※本記事は、書評専門の拙ブログ「風竜胆の書評」に掲載したものです。





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ドラマレビュー:視覚探偵日暮旅人

2015-11-22 10:02:49 | 映画・ドラマ
 20日に、日本テレビ系列の「金曜ロードSHOW」で放映された、「視覚探偵日暮旅人」。山口幸三郎の「探偵・日暮旅人の探し物」を原作としたドラマである。

 主人公の旅人は、五感のうち、視覚以外はすべて失っているが、人の目には見えないものが見えるので、それを活かして、探し物専門の探偵をしている。彼としっしょに暮らしているのが、弟分の雪路と血のつながらない娘の灯衣だ。

 灯衣の通う保育園で保育士をしている山川洋子は、一人で帰った灯衣を心配して、後をつけ日暮の事務所に行きついたことから、何かと彼らの世話を焼くようになる。これは、そんな日暮と洋子の、ラブコメめいた話のようだ。

 大変なのは、日暮が寝てしまったとき、何しろ、読んでも聞こえないし、触っても分からないから、起こす方法がない。自然に目が覚めるのを待つしかないのである。

 全体の話の中に、幾つかのエピソードが織り込まれた作りになっているが、子供の虐待の話は無くても良いのではないかと思う。最近は、リアルの世界でも、ひどい話が多く報じられ過ぎている。いくら最後をいい話風にまとめても、どうもこの手の話は、好きにはなれない。

 灯衣が誘拐されたとき、その犯人が東大卒という設定というのも、なんだかなという感じだ。あれだけ学生がいれば、悪いやつが出てきても、統計的には当然なのだが、こういったドラマで、そういう設定があると、なんだかやっかみのようなものが入っているような気もしなくはないのだが。ところで、その犯人が指摘していた、領収書水増し事件の方は、結局どうなったんだろう?

 ところで、日暮が本気を出すとき、赤い目薬をさしている。すると彼の黒目が青く変わって、色々なものが見えてくるのだが、あのシーン、どう見てもアブナイ人だ。あの目薬の中に、何かヘンなものが入っているのだろうか。


(原作)
・山口幸三郎:探偵・日暮旅人の探し物

探偵・日暮旅人の探し物 (メディアワークス文庫)
クリエーター情報なし
アスキーメディアワークス



(演出)
・堤幸彦

(脚本)
・福原充則

(出演)
・松坂桃李(日暮旅人)
・多部未華子(山川洋子)
・濱田岳(雪路雅彦)
・小南晴夏(小野智子)
・住田萌乃(百代灯衣) ほか

※本記事は、書評専門の拙ブログ、「風竜胆の書評」に掲載したものです。






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ドラマレビュー:100の資格を持つ女(9)

2015-01-19 18:28:42 | 映画・ドラマ

 100以上の資格を持つ、警察署の事務職員が、事件解決のためにその資格を活かして潜入捜査を行うというあり得ない設定のドラマシリーズ、「100の資格を持つ女」の第9弾。今回は、会津若松の老舗漆器店へ潜入捜査だ。17日に、テレビ朝日系列の土曜ワイド劇場で放映された。自分も90以上の資格保持者である以上、このドラマは外すわけにはいかない。

 主人公の西郷美千花は、渋谷中央署に勤務する事務職員。バツイチで子供が二人だ。いつリストラされても大丈夫なように、たくさんの資格で武装を図る毎日である。このシリーズは、オープニングで、美千花が何かの資格を取る場面を入れるのが恒例になっているようだ。今回は、色彩技能パーソナルカラー検定というやつだった。ただし、事件の解決と直接結びついていると言う訳ではない。

 事件は、マンションで女が殺害されていたことから始まった。いつもなら、このシリーズ、最初の事件は前菜のようなもので、本筋の事件とは関係なく、美千花が資格の勉強で得た知識を活用して解決に導いて一件落着だったのだが、今回は、いきなり本筋の事件から始まっているのがいつもと違うところだ。事件現場には、会津若松の老舗漆器店「ふじわら屋」で作られたとみられる漆器があったために、美千花が潜入捜査を命じられると言う訳である。そこに潜んでいたのは、地方の嫁不足に付け込んで婚活詐欺を卑劣な連中。

 ところで、このシリーズ、美千花が何らかの知識を披露する度に、「私○○の資格持ってるんです」と言うのだが、その資格の殆どが、聞いたことも無いようなものだと言うのはご愛敬。そもそも、資格と言っているが、ほとんどが民間の検定試験で、広義には民間の検定試験も含めて資格と言っているが、狭義では資格とは言えないものだ。しかし、国家資格をいくら持っていても役立てる機会がないということは往々にしてあるものだ。一方、民間の検定試験合格を武器に、ビジネスをしている人もいるのだから、要は使い方次第である。

 それにしても、「私○○の資格持ってるんです」というセリフが、今回はいつもより多いような気がしたのは気のせいか?それとも、いろんな民間資格団体とタイアップを増やしたということなのか。また、このシリーズ、2008年の第1作目から「100の資格を持つ女」だ。この6年間で、たくさん資格が増えているはずだから、そろそろ「200の資格を持つ女」くらいにはしても良いのではないかと思うが(笑)。

(監督)
・吉川一義

(出演)
・渡辺えり(西郷美千花)  
・雛形あきこ(藤原奈緒子)   
・川上麻衣子(市田英恵)    
・笹野高史(栗林中道)   
・草刈正雄(小山田雄策) ほか 


資格取り方選び方全ガイド 2016年
クリエーター情報なし
高橋書店


☆☆☆☆

※本記事は、姉妹ブログと同時掲載です。

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