孔雀王シリーズ、言わずと知れた故荻野真さんの代表作である。この作品では、孔雀が戦国時代で大暴れ。タイトルは転生となっているが、厳密に言えば転移だろう。孔雀王ライジング(小学館)と共に荻野さんの最後の作品となったものの一つだ。
この作品の特徴を言えば、出てくる戦国武将が人外の者ばかりということだ。なにしろ徳川家康はヴァンパイアだし、今川義元も斎藤道三も怪しげな術を使う。織田信長の正妻である濃姫は実は式神。その信長も、異人の血をひく超絶美少年。その母親がどうも阿修羅らしい。妹の市も美少女だが、別の異人の血をひいているようだ。
実はこの作品の誕生には裏話があるらしい。このころ荻野さんは孔雀王以外に漫画を描きたかったらしいのだが、リイド社の担当者の熱心な誘いに、切れた荻野さんは、冗談半分で「出てくる戦国武将がみんな妖怪でタイムスリップ SF・・・・・・「何でもアリ」孔雀王なら!!」(3巻)とOKしたらしいが、これが意外に受けたらしい。
孔雀は、阿修羅を救うために戦国時代にやってきたという。この3巻までは、黒幕の悪徳太子の影、西洋悪魔の出現、そして阿修羅は丑寅の金神として登場する。荻野さんは病床でこの作品と孔雀王ライジングの両作品を完結させたというが、果たしてどんな結末が待っているのだろうか。
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※初出は、「風竜胆の書評」です。