道教の始祖と呼ばれる老子。本書は、その老子が書き、一般に「老子」と呼ばれているが、正式名「老子道徳経」の全文を紹介したものである。全部で81章からなり、各章の翻訳文、漢文の読み下し文、原文、注釈という形になっている。だから書かれていることに対する講義のようなものはない。そこは自分で考えろということだろう。
気の向いたときに、どの章でも読んでみるといい。おそらく共感できるところとそうでないところがあるのではないだろうか。共感できないところは、なぜ共感できないのか考えてみるといいと思う。それこそが読書の醍醐味なのだ。
孔子のように、どこか上から目線で押し付けがましくないところがいい。孔子は嫌いだが、老子は好きだという人は結構昔の科学者には多かった。(最近は孔子、老子、それ食べれるのといった人も多くなってるだろうが) 我が国最初のノーベル賞受賞者である湯川秀樹博士も、老子に親しんでいたのは有名だ。
老子の正体は謎につつまれている。候補は何人かおり、最も有力なのは老聃だという。ただ、正体が誰にせよ、この老子道徳経を書いた人物がいたのは間違いないだろう。儒教嫌いにもぜひとも勧めたいと思う。
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※初出は、「風竜胆の書評」です。