文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

書評:血

2018-06-25 10:35:54 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)
クリエーター情報なし
中央公論新社

・新堂冬樹

 本書の内容を一言で言えば、あるサイコパスの物語ということだろうか。この作品は、主人公の本庄沙耶という女子高生。しかし、どこでもいるという女子高生ではない。自分に流れる血を憎み、同じ血が流れる人間を消し去ろうとする。

 父方の祖父母は無理心中、両親は目出し帽の男に刺殺される。沙耶はこの後、母方の祖父母、父方の叔父、母方の伯母に引き取られていくが、行く先々で、自分の血筋に当たるものを殺害していくのである。その方法が、デス・ストーカーである猛毒サソリを使ったり、車に爆弾を仕掛けたりというものだが、どのように沙耶がこれらの方法を考えるのかというところがこの作品の一番の読みどころかもしれない。

 出てくる人物のほとんどはクズと言ってもいい人物。例えば、沙耶の両親や母方の祖父母だが、自分の保身のことばかり考えているし、叔父は、ワイルドを気取った小心者、その息子で従兄に当たる旬は、沙耶やそのクラスメートの果歩をレイプしようとする。伯母の夫である亨は、実の娘をレイプし、伯母の律子はまったく無関心だ。娘の香織にしても、夫が家出したということになっているが、実は「処分」したようだ。

 これだけろくでもない人間をこれでもかこれでもかというほど出す作品はめったにないと言っていいだろう。世の中には「イヤミス」という言葉がある。読んだら嫌な気持ちになるミステリーというものだ。そういった意味では、本書も十分にイヤミスの資格があるが、残念ながらミステリー的な要素はほとんどない。全編がどうすれば沙耶が対象を「処分」できるかということに費やされており、そのやり方にアイデアがつぎ込まれているような気がする。それにしては、最後の終わり方はあっけなかったのだが。

☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

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金融セミナー受講

2018-06-24 20:13:54 | セミナー、講演会他
 昨日は、サテライトキャンパスひろしまで行われた金融セミナーを聴講してきた。これは、広島銀行創立140周年記念として行われるもので、今回と、次週の土曜日の2日に分けて行われるものだ。

 1日目に行われたのは、「ライフプランに基づいた金融の知識」と「ライフサイクルに応じたローン・クレジットカードの上手な使い方」の2テーマだ。

 金融の知識の方は、大体知っていることだった。ローンは使う予定はないが、クレジットカードは署名がないものを他の人が使っても損害は補償されないということだ。もし、手持ちのカードに署名がない場合は、すぐに署名することをお勧めしたい。

 セミナーに先立ち、近くのサンマルクカフェで写真のようなランチを食べた。しかし、店によってシステムが違うので、初めて入った人には戸惑ってしまう。その店のシステムを大きく誰もが分かるように張り出して欲しいものである。

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書評:猛獣性少年少女1,2

2018-06-23 10:52:43 | 書評:その他
[まとめ買い] 猛獣性少年少女
クリエーター情報なし
メーカー情報なし

・中田ゆみ

 本作の主人公宇佐美亨は、草食系の高2の生徒。身長156cmと、背の低いのがコンプレックスだが、同じクラスの長身美少女・綾部玲里とひょんなことから付き合い始める。彼女の身長は176㎝もあり亨より20㎝高い。

 綾部はかなり変わった娘で、実は黒豹の性質を持った猛獣系の娘なのだが、亨の幼馴染。あるショッキングな事件がきっかけで、彼の記憶は封印されていたらしいが、目の前のとびっきり可愛い美少女の前では過去のショックもなんのその。二人はそのまま付き合うことになるのだ。

 この二人、いわゆるバカップルといってもいいくらい相思相愛でいつもいちゃいちゃしているのだが、二人が通う高校には他にも猛獣系の娘がいて、どれも美形。やはり幼馴染の江田島天乃(フクロウ)やギャルぽい伊勢崎蘭佳(狼)といった美少女が、なぜか亨に魅かれて、いろいろとちょっかいを出してくる。

 うらやましいこともたくさんやらされるのだが、さすがに最後まではいかない。でも、かなりきわどいところまではいっているかな。でも絵柄がとっても綺麗だから、それほどエロい感じはしないのだが。

☆☆☆☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。


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アメフトの危険タックル問題に思う

2018-06-21 12:53:15 | オピニオン
 最近、マスコミでアメフトの危険タックル問題がよく報道されている。世間一般の論調は、悪いのは指示した監督・コーチの方で実際にタックルをした選手には同情的な声が多いように感じる。

 しかし、へそ曲がりの私としては、本当にそうだろうかと思ってしまう。そもそも事件が起きたのは、仮にも大学と銘打った組織の中である。そして大学生というからには、自分の頭で考えることが期待されるのである。いくら指示されたとしても、実際にやったのは選手自身である。仮にも大学生である以上は、善悪の判断は自分で行わなければならないのだ。それができないようなら、大学生とは言えないだろう。本人も所属する組織も大学の名は返上した方が良いのではないだろうか。


 
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書評:知的戦闘力を高める 独学の技法

2018-06-21 09:20:50 | 書評:ビジネス
知的戦闘力を高める 独学の技法
クリエーター情報なし
ダイヤモンド社

・山口周

 知的戦闘力を高めるためと副題付きの本書。私も何かを学ぶのなら基本的に独学しかないと思う。人から教えられたことはなかなか身につかないし、応用も効きにくいのである。自分で勉強して徹底的に考えたことこそ、真に自家薬籠中のものとなるのである。

 本書で面白いと思ったのは、本書で紹介されている2つの本の読み方。すなわち、メタファー的読書とメトノミー的読書である。前者は初学者向けの本から初めて、横にどんどん読書領域を広げていくという幅の読書であり、後者は、次第に専門的なものを読んでいくという深さの読者である。
 
 しかし私は第3の読み方があるのではないかと思う。特に何かを独学するにあたっては必要になるのではないか。それは一冊を徹底的に読み込むのである。何かを学び始めた際に、基礎になることをあたかも塗り物を何度も塗り重ねるように読み込んでいくのだ。これは、一種のフレームワークを身に着けるということであり、これによって基礎的な知識を身に着けたうえでないと著者の言うような読み方をしても効果は薄いだろうと思う。もちろん基礎となるものなので、あまり通俗的なものは避けた方がいいだろう。

 最後に知的戦闘力を高めるためにリベラルアーツの各分野なるものが紹介されている。自然科学も一応掲載されてはいるものの、なんだか生物学関係に偏っているような気がしないでもない。まあ著者の経歴を見るともともと哲学系の人みたいだし、根っからの文系人が入るには生物学関係が敷居が低いのかもしれない。工学関係のものは一冊も入っていないし、そもそもジャンルさえ設定されていないというのはかなり気になるところだ。

 そもそも文系人にとって、一番敷居が高いのは物理学なんだろうか。そのこともあって明らかな間違いが書かれている。なんでもファラデーがマクスウェル方程式を導いたとか。

<典型例が物理学で、たとえばファラデーは電磁気学の研究において流体力学からの類推を用いてマクスウェル方程式を導いていますし・・・>(p172)

 ファラデ-が偉大な科学者であり電磁気に関する各種法則を見出したことは間違いないが、彼は高等教育を受ける機会がなかったこともあり、数式の扱いといったことはあまり得意ではなかったようだ。これを定式化してマクスウェル方程式を導いたのはもちろんマクスウェルである。こういった記述を読むと、文系人が自然科学を軽視している実例を見るみたいでちょっとがっかりする。

☆☆

※初出は、「風竜胆の書評」です。

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