文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

脳内メモリ最弱の僕が東大合格した人生が変わる勉強法

2023-12-30 10:06:34 | 書評:ビジネス

 

 著者は暗記が苦手だという。実は私も暗記が大の苦手である。だから理屈の分からないものは嫌いだ。高校の時は化学が得意だったが、大学に入ると電気工学専攻ということもあり、化学からは完全に足を洗った。無機化学は割と理屈が分かっていれば何とかなる部分が多かったが、有機化学になると、あの複雑な化学式を覚える自信がなかったからだ。

 著者が高校生のとき、柔道の授業で、脳震盪を起こし、MRIを撮ったところ、海馬が無いと言われた。海馬とは脳の一部で記憶をつかさどる部分だ。だから自分は記憶力が悪いのかと思った著者だが、実は後年再度調べたところ「くも膜のう胞」があり、それが海馬を圧迫して、記憶力に悪影響を与えている可能性があるという。

 本書は、そんな記憶力に自信のない著者が東大合格した勉強法を紹介したものだ。いわゆる勉強ができる子というのは、それぞれ自分なりの勉強法を持っており、共通する部分も多い。だが、中には違う方法をやっていることもあるので、その方が優れていると思ったら取り入れてみたらいいと思う。

 著者は、レベルの違う参考書・問題集を用意し、だんだんとレベルを上げていき、仕上げの1冊を何周も繰り返すことを勧めている。しかし、1冊目で良書に巡り合った場合には、その本を繰り返してもOKだという。この繰り返すということは私も賛成だ。私自身も古文は1日15分ときめて、例文入りの単語集を何度も繰り返した。それ以外は殆ど勉強した覚えはないのに、いつの間にか古文が大の得意になり、国語の大きな得点源となった。(今はどうか分からないが、昔は国立理系でも古文をやらないといけなかった。)

 また、著者は音読を勧めているが、漢字や英語のスペルは書いて覚えるべきだとも言っている。私もこれには賛成だ。私もこれらを覚えるときは、声に出すだけでなく、実際に手で書いて覚えていた。要するに手に覚えさせるのである。どうして自転車に乗れるかは説明できないが、一度乗ることができれば、それからは少々時間が経っても乗ることができるのといっしょである。同級生がbelieveとreceiveのどちらが、ieでどちらがeiかなんて言っていたが、私の場合は手が覚えているので、迷うことはなかった。

 ただいくつか疑問もある。全体像をつかめというが、その学問の全体像なのかそれともその本の全体像なのか。学問の全体像だとすると、英語や古文の全体像とはなんだろう。物理の全体像ってニュートン力学のことだろうか?その本の全体像だとすれば、レベルがあがるにつれよりレベルの高いものに変えていくのはどうだろうか。どのような本にも書いてあるような基本的なことを理解せよというのなら分かるが。

 暗記する時に青マーカーを勧めているのも良く分からない。実は私も本を読むときはマーカーをよく使う。確かにマーカーを使うとより記憶に残りやすい気がする。ただし私の遣うのは黄色の蛍光マーカーである。青だと読みにくくなるが黄色だと目に優しく読むのにも邪魔にならない。

 さらに著者は論理構造を「具体と抽象の論理」と「直線的な論理」と名付けているが、どうしてよく知られた帰納法、演繹法という用語を使わないのだろう。

☆☆☆

 

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イジラナイで、長瀞さん 18

2023-12-20 08:43:26 | 書評:その他

 

「イジラナイで、長瀞さん」の現在のところ最新刊。内容は、美術部の草食系男子八王子直人(通称センパイ)と1つ年下の肉食系ギャル長瀞早瀬(直人の呼び方は長瀞だが、友人からはハヤっちとかトロちゃんと呼ばれている)の織りなすラブコメである。

 ただしこの長瀞さん超ツンデレでウザ可愛い系のヒロインである。だから最初はツンの方が目立っていて、まるで幼稚園の子供が、自分の好きな子にちょっかいを出すという感じだったのだが(大体は男の子の方がやるものだが、なぜかこの作品では長瀞さんがその役柄である。)そしてウザ可愛い系のヒロインといっても宇崎ちゃんのように巨乳というわけではない。

 この巻ではツンデレのデレの面が目立っている。何しろセンパイのために長瀞さんがお弁当を作ってくるくらいだから。センパイが通っている美術予備校の仲間から「お前ら それで付き合ってないとか・・・言うな―」と突っ込まれるくらいだ。

 センパイにこれからも長瀞さんを描いていたいと言われて、長瀞さんは「プロポーズすかそれ!!」と真っ赤だ。センパイは、今度の模試で1位になったら長瀞さんに告白するつもりだったようだ。でも残念ながらダークホースがいた。約束は次の模試までおあずけのようなことを言うセンパイに、長瀞さんは、今度は自分の方からガンガン行く宣言。もうこれ殆ど付き合っているようなものだと思うのだが、果たして二人のこれからの展開は?

☆☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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おりたたぶ(1)

2023-12-14 11:52:35 | 書評:その他

 

 なんか変わったタイトルだが、一口で言えば自転車好きの女子たちの話である。なぜこんなタイトルがついたかというと、その自転車が折り畳み式だからだ。調べてみると、「折りたたみ自転車倶楽部」の略らしい。

 主な登場人物は、鳴嶋ゆうみと滝沢奈緒の二人。自転車大好き少女の鳴嶋ゆうみが引っ越してきたところは、場所的には便利だが、駐輪場がない。自転車をおいていいところは雨ざらしなので錆だらけになってしまう。

 そんなゆうみが、たまたま奈緒と知り合い、折り畳み式自転車のことを知る。これなら部屋に置いて置ける。ちなみに、この巻ではよく分からないが、ゆうみは美大生、奈緒はまだ女子高生のようだ。だからゆうみはめちゃめちゃ絵がうまい。この第1巻はゆうみと奈緒の出会いの物語。

 ゆうみは、奈緒からOLDDAHON(30年前のモデルで奈緒とその父が再生させた)を譲ってもらう。二人で折り畳み式の自転車に乗っていろいろなところに行って、どんどん距離が近くなる。そんなゆるふわ自転車ライフを描いた物語だ。なお、おりたたぶのメンバーはこのあと増えるようだが、いったいどんな娘が加わるのかな。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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どんどん変わっていく義理の兄と妹(3)

2023-12-12 21:07:33 | 書評:その他

 

 私が今注目している漫画家の一人TATSUBONさんの作品。前作で兄貴(藤崎かずゆき)を好きな女子として登場した三輪さんだが、この巻では、もっぱら痩せた兄貴に「かっこいい」と夢中。でも兄貴の方は、過去に太っていることをデブゲロンと呼ばれていじめられたことがトラウマウになって、なかなか一歩踏み出せない。でも感心なことに毎日走って、痩せた体系を維持している。ちなみに三輪さんは兄貴のことを「かずにい」と呼んでいる。

 そんな二人だがとうとうデートすることに。もちろん妹のミキちゃんの強力なプッシュがあった結果だ。ちなみに、兄貴、太っているときと痩せた時と変わりすぎだろうと思う。この巻では兄貴の過去のトラウマとなった事件の真相もわかり、過去の呪縛から解放される。なお痩せた兄貴と三輪さんは、ちょっと目を引くカップル(ある人曰く、マフィアみたいな男と謎の女らしい。)だが、実はかなりオタクな二人。とにかくオタクな会話で盛り上がる。ミキちゃんはおしゃれなカフェにでも行けばいいのにと思うのだが、二人が行ったのはゲーセン。

 でも二人の仲はどんどん進展しているようで、ミキちゃん一安心。どうも次で終わりのようだが、果たしてどんな結末になるのだろう。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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銭形平次捕物控 306 地中の富

2023-12-10 09:24:58 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 今回の話は、インチキ修験者の話だ。名前を大膳坊覺方という。火事と喧嘩は江戸の華という位、昔の江戸は火事が多かった。銀行制度もない。だからお宝があれば地中に埋めて隠したはずだ。金なら錆びることはないので、地中に埋めて小判などを隠すのはそれなりに理にかなっているといえる。金持ちの大町人は、財産を地中に隠したに違いない。だから江戸の街の地中には、沢山の金が埋まっているはずだ。

 そこで出てきたのがを大膳坊覺方という怪しげな修験者。なにしろ、金がかくしてあれば分かるという触れ込みである。事実これまでもたくさんの金を掘り出した実績があるらしい。おまけに出た金の1/3は大膳坊覺方の取り分で、彼はそれをすべて貧しい人々への施しにするという。

 今回の事件の舞台は、傳馬町にある両替屋の越前屋。なんと大膳坊は1万両の金があるというのだ。うさん臭さを感じた平次だが、この事件は八五郎に任せる。八五郎に手柄を立てさせてやろうという親心だ。

 結果は、大膳坊と越前屋の内儀が殺されるといったものだ。しかし、大膳坊はインチキながら、最初に金を掘り当てたときに、どんなトリックを使ったのかよく分からない。人が掘ったのか、それとも自分で掘ったのか?

 もうひとつ、なんだかこの話はホームズの「赤毛クラブ」を連想してしまったのは考えすぎか。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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トーコーキッチンへようこそ!

2023-12-04 08:53:41 | 書評:ビジネス

 

 トーコーキッチンとは、神奈川県にある渕野辺駅周辺で、1800室の賃貸物件の管理や仲介をやっている、地域密着型の不動産業である東郊住宅社が運営している物件関係者のための食堂である。

 このトーコーキッチンは鍵がかかっているので、カードキーを持っている人でないと入れない。このカードキーは東郊住宅社の管理物件入居者、管理物件のオーナー、協力関係業者でないと所有できないらしい。

 面白いのは、カードキー所有者に同行すれば何人でも、何回でも利用できるし、初めて利用する場合に限り、カード所有者の同行なしでも利用できるというところだ。

 そして値段を聞いてびっくり。なんと朝食100円、昼と夜は500円というのだ。いや絶対に100円朝食なんて赤字確定だろうと思ったが、やはりこれは単体で見ると赤字のようである。ただ、神奈川県の入居率が64.46%に対して、東郊住宅社の管理物件は入居率98.5%(ともに2016年の数字)だそうだ。オーナーの負担は求めてないというから、おそらくこの入居率の高さで、赤字がカバーできるのだろう。

 もっともトーコーキッチンを始める前から入居率は95%~96%あったらしいので、先代社長のときからやっている「礼金、敷金共ゼロ、退室時の修繕義務なし」というのも結構入居率の高さに寄与しているのだろう。

 それにしても面白いビジネスモデルだと思った。顧客から選ばれるには他との違ったところが必要だ。不動産屋が関係者のための食堂を運営するというのはなかなかいいアイデアだと思う。ただ、実際にやるのは大変だろうなあという気がするが。

 本書中にビジネスモデル特許を取らないかと人から言われるという話があった(pp183-184)。私は特許に関する仕事もしたことがあり、本書を読む限りは、特許を取るのは難しいような気がする。なぜならビジネスモデル特許をとるためには、第一に発明であることが求められるからだ。

 そして発明とは、特許法に明確に定義されており、第2条第1項に「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。」と規程されている。世に言う、ビジネスモデル特許とは、あるビジネスモデルをコンピュータシステムを活用して実現することで発明としているのである。だから、トーコーキッチンでやっていることを発明と見做すのは困難だろうという気がする。

 ともあれ、1頁程度の分量であり、この記述がなくとも、別にビジネスモデルとしての面白さは変わらないので、この話はなくても良いのではと思う。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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