文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

落日のパトス 13

2022-10-30 12:01:47 | 書評:その他

 

 漫画家の藤原秋が、高校の時あこがれた美人巨乳教師仲井間が偶然アパートの隣の部屋に夫婦で引っ越して来たという設定のこの作品も1,2巻は読んでレビューしたが、いきなり最新巻の13巻のレビューだ。別冊ヤングチャンピオンに連載されている。

 まだ先生と生徒の関係のころ、藤原には保健室で休んでいる仲井間の巨乳を触ってしまったという黒歴史がある。それがアパートの隣人として再会し、夫婦生活の場面ものぞいてしまったのだから、もう藤原君も大興奮。

 なにしろ、仲井間という元女教師、結婚相手はかなりの年上。アレは旦那だけしか知らないが、ちょうど女の喜びに夢中になり、もっと旦那とがんばりたい時期である。しかし、この13巻では、久しぶりに夫婦の営みにチャレンジするものの肝心の旦那が中折れとなり、仲井間さんは欲求不満。

 これは欲求不満な元女教師が、元生徒と、あんなことやこんなことをくりひろげるという物語だ。ただし、この巻まで、いろいろとやってはいるが、肝心?の1線は超えていない。艶々さんの作品は、結構引っ張るのだが、これもその路線か? ただ結構ぎりぎりのことはやっている。これは、要するに、いつ1線を超えるか、それとも超えないのか、読者に妄想させる作品だろう。

 デフォルメされた絵柄で、最近主流の、割とリアルな画風とは違うのだが、なんだか変にエロいんだよなあ。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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セカイの千怪奇 (1) 幽霊屋敷レイナムホール

2022-10-28 09:36:49 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 よくテレビで、怪奇現象やUMAが出てくる番組をやっている。うさんくさいなあと思いながらもつい視てしまう。この作品も様々な怪奇現象をモチーフにしている。

 主人公は、中学1年生の世界未知人という少年。彼には、母親を、不思議な光に攫われた過去がある。大学の考古学教授だった父世界豪とともに母親を探すというのが基本的なストーリーだ。

 収録されているのは、モアイ、レイナムホール、人魚、チュパカプラ、ホィア・バキュー・フォレストに関する5つの話。

 この作品の特徴としては、実際に存在するものをモチーフにしていることだろう(ただしチュカチャプラだけは存在が確かめられてはいない)。レイナムホールはイギリスにある有名な幽霊屋敷だし、ホィア・バキュー・フォレストはルーマニアに実在する呪いの森と言われるところだ。

 この手の作品には、敵役というかライバルというかにぎやかしというか、そういう役割の人物が出てくる。この小説においては、アンナ・フィッツジェラルドという大金持ちのお嬢様がその役割を果たしている。

 さて続巻にはどんな怪奇現象が出てくるのか。アンナとの関係はどうなるのか。そして未知人の母親が行方不明となった現象はストーリーにどのように絡んでくるのか? 色々と今後の展開が気になる。

☆☆☆☆

 

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最強呪族転生 ~魔術オタクの理想郷(ユートピア)~ 1

2022-10-26 12:12:39 | 書評:その他

 

 主人公であるマーレン族のアベルは転生者である。手品師だった父親(故人)の影響で魔法オタクになり、前世では廃部寸前の黒魔術研究部に属していたが、異世界もののテンプレでトラックに轢かれて、異世界に転生してしまう。

 なんと、この世界にはあれだけ前世であこがれていた魔法がある。そして彼にも抜群の魔法の才能があった。マーレン族は、その魔力を使って、オーテムという魔術人形をつくる。オーテムというのは、木でつくられたゴーレムのようなものだ。そして、この世界の住人は普通に魔法を使う。アベルはオーテム狂と言われるくらい、このオーテムづくりが大好きなのである。

 マーレン族では16歳が成人年齢のようだ。そして儀式で使われる嗜好品は香煙草(タバコのようなもの)成人の儀では自分で栽培した香煙草を吸おうとするが、ここにお邪魔虫が現れる。香煙草の栽培・流通を事実上独占しているカルコ一族である。

 アベルが村の実力者に一泡吹かせるのは痛快だ。でも、年齢差5歳以下なら兄が成人したら妹と結婚するのが一族のきまりだとか、わが国でも昔は兄弟婚はあったが、あれは同母でないという制約があった。古代エジプトでは同母でも結婚していた。いや妹のジゼルは可愛いんだけどね。でもちょっと違う。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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トコトンやさしいSCMの本 (B&Tブックス―今日からモノ知りシリーズ)

2022-10-24 10:25:18 | 書評:ビジネス

 

 今の若者には信じられないと思う人も多いだろうが、かって、日本の技術力は世界のお手本だった。どうして日本の製品はあんなに質が良いのかと研究の対象だった。今でもその残り火は残っているものの、次第に沈下していくことは避けられないだろう。

 その原因は色々あるが、端的に言えば、無能な文科省が社会環境の変化についていけないというところがあるのではないか。少子化の進展により、優秀な学生の数は少なくなった。昔は家が貧しければ国立へ行くという選択肢があったのだが、しかし、国立大の授業料を大幅に値上げした結果、その選択肢は事実上なくなった。大学進学率は上がってはいるものの、多くは奨学金という美名の借金をして、勉強よりはアルバイトに励むということになった。

 時代についていけないのは、企業の無能な経営者連中もいっしょである。これまで科学技術者を「やりがい詐欺」で縛り付けて大事にしなかった結果、優秀な人は国内にいても仕方がないと、頭脳流出に拍車がかかった。若者の権利意識は昔より高まり、海外へ移住するというハードルはずっと低くなっているのだ。

 さて、本書の内容だが、タイトルの通り、SCMについて分かりやすくまとめたものだ。SCMとはサプライ・チェーン・マネジメントの略で、生産・流通のプロセスを情報という糸で結んで管理し、効率化を図ろうとするものだ。その源流はトヨタのかんばん方式、ザ・ゴール(ダイヤモンド社)などで知られるイスラエルの物理学者エリヤフ・ゴールドラット博士の制約理論などと言われる。

 本書には、SCMとはどんなものかという紹介から、そのメリット、実例、導入にあたっての課題、将来展望などを簡潔にまとめたものだ。ひとつのテーマ毎に、見開きで、右に文章による説明、左側に図による説明が掲載されている。

 それでは、SCMは万能で打ち出の小槌的なものだろうか。そんなことはない。SCMは単なるツールなので、使いかた次第なのだ。つまり、うまく使えば成功につながるが、無理につかっても弊害の方が大きいだろう。以前いた会社で、SCMのコンサルタントが、SCMで何でも改善ができるようなことを言っていた。そんな訳はない。明らかにコンサルタントのセールストークなのだが、やとった部署の人間はコンサルタントを奉っていた(心の中では何を思っているかは分からないが)。そりゃ、無理やり適用すればできないこともないだろうが、必ずしも効率的なものができる訳ではないだろう。

 今は第3版まで出ているようだが、私の持っているのは第1版なので、それをレビューの対象としている。ただ、SCM自体は年とともに大きく変わるようなものでもないだろうから、古い版を持っている人は、あわてて買い替える必要はないと思う。これから買おうという人は最新版を買う方がいいだろうが。まあ、この班を読むだけでもSCMの概要は身につくものと思う。だから、自分の業務で改善したらメリットの大きいような部分は適用すればいいと思う。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ウルトラセブン1

2022-10-22 10:36:16 | 書評:その他

 

 故桑田次郎さんが8マンの作者(原作は平井和正)だというのは知っている人も多いだろう。しかし、桑田さんはウルトラセブンもコミカライズしている。もちろんあのウルトラシリーズの一つである。

 8マンが警視庁捜査1課の8番目の男7からきているようにウルトラセブンのセブンは、ウルトラ警備隊7番目の男ということから来ているようだ。

 この第1巻に出てくる記念すべき敵の怪獣第1号はエレキング。カプセル怪獣のミクラスも登場し、テレビ放映をリアルタイムで視ていた世代からは、とにかく懐かしいだろう。今読むと、絵柄が古い感じもするが、それほど違和感も大きくない。このカプセル怪獣というアイディアがアニメにもなった某人気ゲームの先祖にあたるのだろうか?

 しかし、ウルトラマンはラーメンタイマーと揶揄されるカラータイマーによる3分間の時間制限があったが、ウルトラセブンの場合はどうなんだろう。額についているのがカラータイマーかと思ったが、あそこから光線を出して攻撃しているし、どうも違うようだ。

 それにしても、あのアイスラッガーという技、モヒカンのような頭の部分を武器にして飛ばすというものだが、某漫画ではモヒカンを飛ばしていたなあ。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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ホーンテッド・キャンパス 幽霊たちとチョコレート

2022-10-20 09:39:33 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 

 本書は、ホーンテッド・キャンパスシリーズの2作目となる。ホラーな事件に雪越大(モデルは新潟大と思われる)オカルト研究会の面々が挑むというものだ。

 霊は当然のように出てくるが、オカ研のメンバーにはそれを払うような能力はない。この時点ではいわゆるみえる人が2人いっるだけだ。じゃあどのように事件を解決するのか。ホラーの起きた原因を突き止め、場合によっては霊を説き伏せるのだ。収録されているのは次の5編。

〇シネマジェニック
 映画研究会がコンペに出すためにとった作品に、いるはずのない女が移っていた。その女の正体は分かったものの元気に過ごしており、来週には結婚するという。

〇彼女の彼
 法学部2年の綿貫は、二年前失踪した岸本美織の幻が急に家のあちこちで見るようになったという。

〇幽霊の多い居酒屋
 光桐学院御用達の居酒屋に「幽霊居酒屋」と呼ばれているものがあるが、なぜか気味悪がられたりせずに、よく打ち上げや飲み会で使われていた。

〇鏡の中の
 非常勤講師の矢田の紹介で訪れた2年生の新藤という男は、鏡に映らないようになった。

〇人形花嫁
 雪大OGの松原鞠花は、夫の家に伝わる活き人形の不気味な現象に悩んでいた。

 このオカルト的な部分を縦糸とするなら、横糸は八神森司と灘こよみのラブコメだろう。傍からみれば明らかに相思相愛なのだが、なかなか二人の仲は進展しない。特に森司の方は、自分が灘のような美少女にモテるはずがないと思い込んでいるというヘタレぶりである。なおこよみは、森司のことを八神先輩と呼んでいる。確かに高校のころは森司が1学年上だったが、1浪して大学に入っているのに対して、こよみの方は現役で合格しているから、二人は実は同級生なのだ。でも、これは男子にとってはちょっと辛いかも(笑)

 どんな事件が出てくるかより、二人の仲はどうなっていくのかの方が気になる、気になる。しかし、森司君、無事にこよみちゃんからチョコレートをもらえたようで。ちなみにこよみのタイプは火盗改めの長谷川平蔵らしい。これは森司君、大丈夫か?

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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警視正 椎名啓介(1)

2022-10-18 08:43:34 | 書評:その他

 

 本作は「警察署長」の続編となる作品らしい。原案がたかもちげんになっているのは、「警察署長」を描いているときに、たかもちががんのために逝去したために一旦連載終了となったが、その後たかもちのアシスタントだったやぶうちゆうきが引き継ぐ形で「警察署長」の連載が再開されたからだ。

 主人公は、椎名啓介という東大出のキャリア警察官。昼行燈と揶揄され、キャリアなのに、冷や飯を食わされ、10年以上も出身地にある本池上署の署長をやっている。ただし、本池上署の署員からはものすごく慕われている。

 この続編では、椎名が親友の堂上の後任として警視庁第一方面本部長として異動するところから始まる。堂上がガンに侵され、その跡を継ぐ形になったようだ。どうも椎名が冷や飯を食わされているのは、警察内部の闇のようなものが関係しているらしい。公安といえば、警察ドラマなどでは悪役として描かれることが多いが、この作品でも、同じ警察官の椎名を公安が見張っている。それには、警察トップが関わているようだ。本来なら第一方面本部長は1階級上の警視長なのだが、どうせ中継ぎだからと、椎名は警視正のまま据え置かれている。

 果たして、椎名が冷遇されているのはなぜか。どんな闇が出てくるのか。色々気になる作品だ。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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魔弾の射手 :天久鷹央の事件カルテ

2022-10-16 09:31:31 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 西東京市という地にそびえる時計山病院と呼ばれる廃病院。そこは自殺の名所として有名だった。そこが廃病院になったのは11年前の医療ミスに端を発する。そして10人以上の人が、時計台から飛び降り自殺を行っているのだ。そして時計山病院の院長だった、時山剛一郎の娘、恵子と兄の文太が時計台から飛び降り自殺をする。果たしてそれは本当に自殺だったのか。

 本書の魅力は2つあると思う。一つ目は小鳥遊優とその天敵たる鴻ノ池舞との掛け合いや小鳥遊と鷹央の掛け合い、鷹央とその姉の真鶴との掛け合いなどいろいろあるが、どれもユーモラスなのだ。特に面白いのが小鳥遊と舞との掛け合い。舞は研修医なのに、小鳥遊をからかうのが生きがいのようだ。だから小鳥遊と鷹央の恋バナには熱心である。そしてちょっちゅう彼に関節技を決めている。そう舞は合気道女子なのだ。

 鷹央と真鶴との関係も面白い。傍若無人な鷹央だが、唯一恐れる人物がいる。それが姉の真鶴なのだ。でも単に厳しいだけではない。、鷹央がインフルエンザで倒れたときなど、傍で看病するという妹思いの一面もあるのだ。

 もう一つの魅力は、作者が現役の医師らしく、医学的な知識を駆使してトリックを考えているところだ。現にこのトリックも、相当医学に詳しくないと解けないだろう。そういった意味で医療ミステリーらしいといえよう。

 ただこの部分はいただけない。

「その扉に高圧電流が流れていて感電したか・・・」(p342)
「高圧電流」というのは俗語として、すっかり広まった観があるが、電気工学を多少なりとも学んだものなら、まず使わない言葉だ。私なら「高電圧がかかっている」と書く。「高圧電流」というのは、電流の大きさについては何も言っていないのだ。ついでに言うと電流は常時流れている訳ではない。そもそも電流の通り道が確立されないと電流は流れることができない。このあたりに同じ理系でも数物系と医学・生物系の間には大きな谷のあることを感じてしまう。

☆☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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銭形平次捕物控 290 影法師

2022-10-14 09:33:30 | 書評:小説(ミステリー・ホラー)

 

 本書も銭形平次捕物控の中の話のひとつだ。前半はホラー風味で、後半は完全にミステリーとなっており、前半で出てきた不思議なことの謎解きも含まれている。八五郎が聞いた話によると、市ケ谷柳谷にある金貸し・菊屋の倅彦太郎が女の影法師に取りつかれて怯えているというのだ。この話は發端篇、解決篇に分かれており、前者がホラー風味で、後者がミステリーという訳である。

 この菊屋の主人の市十郎が殺される。実は、彦太郎は、市十郎の倅となっているが、本当の倅ではなく、先代の甥で、市十六は養子なので、本来なら彦太郎の方が正統らしい。この事件に乗り出すのが平次という訳だ。

 今回の話には、四ツ谷の與吉という若い岡っ引きが出てくる。これまで読んだ銭形平次に話には出てこなかったが、岡っ引きとして独り立ちしているらしいから現在売り出し中という訳だ。

 ホラーとミステリーの融合というのは、半七捕物帳でよくみられるパターンだが、この話も影響を受けているんだろうなあ。いずれにしても平次の名推理が光り、最後は落ち着くところにおちついたという感じだ。

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

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「ケインズ革命」の群像ー現代経済学の課題

2022-10-12 09:48:24 | 書評:学術・教養(人文・社会他)

 

 経済学には大きく分けると3つの流れがある。新古典派経済学とケインズ派経済学、マルクス経済学である。そして、現在の経済学の主流は新古典派経済学だ。かっては、大学で石を投げればマルクスかぶれにあたるといったほど、わが国ではマルクス経済学の影響は強かったが、今では、一部を除きかなり下火になっている。

 ケインズ経済学は、公共投資などに大きな影響を与えてきたが、多くの派閥があるようだ。それは同じ仏教というくくりの中で、多くの宗派があることに似ている。また最近は落ち目のようにも見える。

本書は、ケインズの一般理論が出てきたときの情勢とそれがいかに経済学を学ぶ者に影響を与えたか。ケインズ理論の簡単な概要、ケインズの学説を継ぐものなどについて述べたものだ。

 この部分はいただけない。20頁に掲載されている部分だ。ここで、Y≡C+I で、Yは生産量、Cは消費、Iは投資を表す。そして簡単のためだろうか、Iは一定額でYから独立しているとある。0<dC/dY<1と想定されていることに注意と書かれている。しかしこれは成立しない。お分かりだろうか? Iが一定ならdY=dCとなり、dC/dY=1となってしまう。他の経済学関係の本も見たが同じようなことが書いてあった。まあ、経済学で使う数学はこんなものだといえばそれまでなのだが、

 もちろんこの本の主役はケインズだが、それに対比される人物としての役割がシュンペーターに与えられている。イノベーションという概念などで、もてはやされているシュンペーターだが、これもいただけない。彼は経済理論が安易に政策と結びつくことに懐疑的であったらしい。彼の処女作「理論経済学の本質と主要内容」に序文には、以下のような文章があるという。

「われわれは、理論と政策とは別のものであり、根本的にはなんら共通のものを持たないと考える。」(p10)


しかし、政策と結びつかないで、何の経済理論か。もし政策と結びつかないでよければ、単なる論理の遊びではないだろうか。

 このように、ツッコミどころもあるが、ケインズ経済学についての概要を知りたいと思う人にはいいだろう。

☆☆☆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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