文理両道

専門は電気工学。経営学、経済学、内部監査等にも詳しい。
90以上の資格試験に合格。
執筆依頼、献本等歓迎。

過労自殺に思う

2016-10-20 16:47:01 | オピニオン

 今日の中国新聞に、こんどは関電課長が過労自殺したとの記事が掲載されていた。例の規制委員会対応で、1ヶ月の残業時間が最大200時間に達することもあったという。痛ましいことだ。

 この方は、課長職ということで、管理監督者に当たり、労基法に定める労働時間の制限は受けなかったそうだ。しかし、管理監督者といえど、200時間もの異常な残業を放置してきた関電の罪は重い。

 人は楽しいことなら、長時間でもやっていられる。しかし、規制委員会対応のようなストレスフルな業務をそんなに長い間やっていられる訳はない。管理監督職という理由だけで、会社の管理がおろそかになっていたのではないだろうか。

 そもそも課長レベルで、管理監督者と見なされるだけの権限や待遇を受けていたのだろうか。司法の判断では、管理監督者とみなすための要件は、かなり厳しいはずだ。課長になったから、即管理監督者というのはあまりにも杜撰である。また課長職といえど、ライン課長とスタッフ課長がいる。後者だとほとんど権限はないので、これを管理監督者というのは相当無理がある。記事では分からなかったが、果たしてどっちなのだろう。

 しかし、この事件の責任は前政権にもある。必ずしも必要とも思えないような規制を作って、いつまでたっても再稼働ができないようにしてきた。そちらの罪も、関電に負けず劣らず重いと言わなければならない。

 
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カープ応援メニュー、なんやそれ?

2016-10-20 09:58:17 | オピニオン
 今日の中国新聞の「中国経済」欄に、地元の中国電力が、カープが日本一なった場合に、「カープ応援メニュー」の加入者の中から抽選で10人に1万ポイントを贈るという記事が掲載されていた。

 私は野球に興味はないし、ましてやカープなんてどうでもよい。しかし、この記事にはひっかかる。もともと中国電力の供給地域は中国5県ではなかったか。それが今年の4月から全面自由化され、顧客は日本全国に広がっている。どうして、カープを特別扱いにするのか。いったい誰の趣味か?

 私は、色々な県に住んだことがある。同じ中国地域でも、カープの話題なんて、広島以外ではまず出ない。ましてや、中国地方を外れれば、カープファンの割合はどのくらいだろう。

 それとも、どこかの球団が日本一になるたび、デパートやスーパーのように、応援キャンペーンを繰り広げるつもりなのだろうか? 全国に顧客を持つ会社としては、その方がよほどしっくりくる。

 どうしてもというのなら、「カープ応援メニュー」の加入者などというせこいことはやめて、全顧客を対象にすればいいではないか。特定の趣味の顧客を、公益事業が優遇することがあってはならないと思う。

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書評:くらべる東西

2016-10-20 08:06:02 | 書評:学術・教養(人文・社会他)
くらべる東西
クリエーター情報なし
東京書籍

・(文)おかべたかし、(写真)山出高士

 日本の東西のちょっとした文化の違いを写真と共に紹介した本書。読んでると、「こんなところも違うんかい!」という意外な発見がありますなあ。

 食べ物の文化の違いも結構掲載されてますが、この関係は殆ど西の勝ちや(東日本の方、スマン)。(笑)やはり食文化は西日本ですなあ。

 いなり寿司はまだしも、その次のおでん。「関東のおでんって、出汁真っ黒やんけ!こんな体に悪そうなもん、食えるかい!!」と、思わず言うてしまいましたわ。

 ところで、出汁が真っ黒なのでで有名なのは関東のうどん。残念ながらおでんのところで文章で触れられているものの、写真がなかったのが残念やなあ。

 ぜんざいも東西でまったく違う食べ物や。写真を見た瞬間、東のぜんざいに対して、「えっ、これぜんざい?餅の上にあんこ乗せただけやん!」と思ったいうんが正直なところ。

 まさか、縄文式土器まで東西で違いがあるとは、驚きました。西の方がシンプルで実用的や。東の方が複雑な理由について、<西に比べて東の方が人口も多く、通念的な定住生活が行われたために社会が複雑化しており、それに伴って呪術的などの精神的文化がより発達したためと考えられている>(p74)と書かれてますけど、著者は京都やし、写真は三重県とどちらも西のお方。口が裂けても、こんなこんなこと言うてはあきません。

 もっと進んだ時代の弥生の土器はさらにシンプルでっせ。複雑やから精神的文化が発達しとるとは、何言うてますの。これ、絶対東の方の人間が唱えた説やと思います。

 そうは言うても、ここに掲載されとるんを、単純に東西比較と思ってはあきません。今はかなり文化が混ざって、どこがどこの文化かよう分からんようになっとります。それに、西というと京、大阪を言うことが多いけど、そこが必ずしも西を代表している訳ではないですし。

 わても西京(山口)から京までをうろうろしとった西の人間やけど、京扇子なんか使ったことはないし、西のダルマやいう頭にハチマキをしたやつなんかも見たことおへん。実家の近くにおった野良猫は、東に多いという尻尾の短いやつばかりでした。

 線香花火も元々は東西で違うんですなあ。紙で巻いた東のものと藁を使った西のものですか。今では両方ともこちらでは売られてますが、元々はそんなルーツがあったとは驚きです。西のものは、火先を上向きにするらしいですが、わては、普通に下向きでやっていました。

 ちょっと、もの足らんところもあります。「東京一年生に伝えたい「東京の勘所」」(p120)というんを入れるんなら、「関西一回生に伝えたい「京・大阪の勘所」」なんてのも入れて欲しかったなあ。(関西では、大学生は○年生ではなく、○回生といいます)。

 この他、「もんじゃv.s.お好み焼き」とかもあったら面白かったかもしれません。

 散々ツッコミを入れたようですけど、本書の「おわりに」のところにこうあります。

<キッパリと東西に線を引くのは難しい物もたくさんあった。頷いたり、ツッコミを入れたりしながらページをめくり、「俺の田舎では」と生まれ故郷の自慢話に花が咲けば幸いです>(p173)

 ということで、すっかり著者の思惑通りに、楽しませてもろうたようです。

☆☆☆☆

※本記事は、「風竜胆の書評」に掲載したものです。
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