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コロンブスに勝てなかった“新大陸発見者”とは?

2015-10-18 15:38:32 | 芸術(音楽など)・文化・歴史
米国にはレイフ・エリクソンデーという記念日があります。毎年10月9日、北米へ最初に到達したヨーロッパ人ともいわれるアイスランド人探検家、レイフ・エリクソンを記念する日です。

 ところがこの日は、10月第2週のコロンブス・デーの陰に隠れて、ほとんど注目されていません。現在、コロンブス・デーは連邦政府の祝日で、学校や民間企業の多くがこの日を休日としています。

 しかし、19世紀から20世紀初めごろ、クリストファー・コロンブスはある論争の標的になっていました。多くの人々が、北米大陸を最初に発見したのはコロンブスより500年も前にこの地へやってきたエリクソンであると主張したのです。

 1892年、米国はコロンブスの米大陸到達400周年を祝いました。当時、多くのイタリア系米国人が、イタリア人であるコロンブスの功績を米国が認めたことを誇りに思っていました。一方で、北欧をルーツに持つ人々は、コロンブスではなくエリクソンをたたえるべきだと感じていました。

 当時、米国各地で反移民・反イタリア人感情が高まっていたことも、エリクソン支持に拍車をかけました。「米大陸へ最初に到達したヨーロッパ人が、南欧出身ではなかった」という主張が受け入れられやすかったと、アイルランド国立大学メイヌース校の歴史講師ジョアン・マンシーニ博士は語っています。バイキングが北米に定住していたことを裏付ける考古学的証拠は見つかっており、今後も新たな証拠が出てくるだろうとみられています。

 エリクソンが支持された理由はほかにもありました。マンシーニ氏によると、19世紀の米国では、非カトリック教徒はカトリック教会に対して強い懐疑を抱いていたといいます。そうした時期にコロンブスが注目を浴びたため、反移民・反カトリック主義者たちが、国をあげて記念するならコロンブスよりもむしろエリクソンだと言い出し、多くのアングロサクソン系プロテスタント教徒も、エリクソンを新大陸の真の発見者とする意見を支持したのです。

 コロンブス400周年の前後、ローマカトリックの団体「コロンブス騎士会」はイタリア系米国人の団体と協力して、コロンブス・デーの制定を議会へ働きかけました。1907年、コロラド州初のイタリア系新聞社を創設した人物の活動により、コロンブス・デーは同州で初めて公式の祝日となったのです。それから数年のうちに15州がこれに続き、1971年に連邦政府の祝日となった頃には、既にほとんどの州がコロンブス・デーを祝っていました。

 レイフ・エリクソンデーを祝うようになったのも20世紀初頭ですが、コロンブス・デーほど広く浸透することはありませんでした。20世紀半ばには米国の記念日(大統領がその日にちなんだ告示を発する日)となったものの、多くの人は何の日であるかすら知らないのです。

 コロンブスがエリクソンに「勝利」したのは、イタリア系米国人が早くからロビー活動を行ったためもありますが、たとえ最初の発見者でなかったとしても、コロンブスの方がヨーロッパ人の米大陸移住により大きな役割を果たしたことも大きな理由でしょう。

 今日、コロンブスかエリクソンかの戦いは影を潜め、それよりもコロンブス・デー自体を祝うべきかどうかに議論の焦点は移っています。サウスダコタ州ではコロンブス・デーの代わりに「アメリカ先住民の日」を設け、ハワイ州とアラスカ州はどちらもコロンブス・デーを祝っていません。

 実際のところ、コロンブス・デーに反対する人の間では、コロンブスもエリクソンも自分たちがそれまで知らなかった場所を「発見」したというだけで、米大陸にはヨーロッパ人が来る以前から多くの人々が住んでおり、ヨーロッパ人の米大陸移住にどちらがより貢献したかなどという議論には意味がない、という見方もあります。(ソース ナショナルジオグラフィック)


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