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アップルが逃している黄金の商機!

2016-04-04 14:30:01 | ネット、ビジネス、IT
米アップルのマーケティング担当フィル・シラー上級副社長は先週、タブレット型端末「iPad Pro(アイパッド・プロ)」新機種はいまだに古いパソコンを使っている人々をターゲットにしていると発言し、パソコン業界の残留兵に一斉攻撃を浴びせました。これは素晴らしい考えです。5年以上前のパソコンを使っている6億人のユーザーにアイパッドが雨のように降り注ぐ様子を想像してみてください。

 とはいえ、アップルのアイパッド・プロがその期待にこたえられるかどうかは、少なくとも現時点では不透明です。ひとつには、アイパッド・プロは、それをパソコンのように操作するために必要不可欠な機能を備えていないことが挙げられます。最も重要なのはマウス、あるいはタッチパッドです。2つめの理由は、アップルが業務支援ソフトの開発者がアップストアを通じて稼ぐことを必要以上に困難にしていることです。そのためアイパッド・プロの実用性が損なわれているのです。

 競合の米グーグルと米マイクロソフトがタブレットとしても、パソコンとしても利用可能なハイブリッド型の端末を競って開発するなか、アップルはスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」で先鞭を付けたタッチパネル式の端末市場を独占するという黄金の機会を逃しています。

 パソコンの販売高は減少の一途をたどっているものの、それでもまだ大きな市場ではあります。昨年は主に法人向けに約2億8000万台が販売されました。

 しかし、アイパッド・プロはノート型パソコンの代わりにはなりにくいのです。アップルの幹部は以前これに反論しましたが、パソコンとして「実務」をこなす上でアイパッド・プロが抱えている欠点は致命的です。

 2014年1月に競合他社がタッチパネル式のスクリーンを備えたパソコンを市場に投入した際、アップルのソフトウエア・エンジニアリングの責任者、クレイグ・フェデリギ氏は同社製品の見本市「マックワールド」でこう述べました。「ハードウエアにタッチパネルを搭載するのは容易だが、それは(ユーザーにとって)良い体験になるだろうか。そうではないと思う」と。

 しかし、その1年半後、アップルはフェデリギ氏が批判したものに驚くほどよく似た製品を市場に投入しました。キーボード付きのタッチパネル式タブレットです。現状、アイパッド・プロに対する評価はまちまちです。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)のIT(情報技術)コラムニスト、ジョアンナ・スターンはアイパッド・プロにタッチパッドがないことを嘆き、そのためにパソコン代わりとしては使いにくいと指摘しました。

 2015年9月期のアイパッドの販売高が、2年前のピーク時に比べ23%減となった2つめの理由は、アイフォーン成功のカギであったアプリの開発者に制約を課していることです。

 ウクライナを拠点にソフトを開発しているリードル社のマーケティング責任者、デニス・ザダノフ氏は「友人が『アップストアでカネを稼ぎたい』と言ってきたときには、思いとどまるように長い時間をかけて説得する」と話します。同社はアップストアが2008年にサービスを開始して以降、最もよく売れている生産性向上アプリを手掛けています。

 ザダノフ氏によると、アップルはアプリ開発者がユーザーと直接つながったり、ユーザーにアプリのアップグレード版を購入するよう促したりすることを困難にさせています。つまり、アプリ開発者はメーリングリストを通じてユーザーに通知することができないのです。メーリングリストはリピーターの確保や、他のソフトやサービスの提供に重要なツールです。

 その結果、リードルが2009年に初めて販売を開始したアプリは同社への忠誠度が非常に高いユーザーからすら追加的な利益を得ることができなかったといいます。同社によると、こうしたアプリの顧客生涯価値はわずか2ドルだといいます。

 ユーザーがよそで購入したソフトを補完する無料アプリを提供しているソフトウエアメーカーにとってはアップストアには利点があります。マイクロソフトのような大手なら特にそうです。ゲームメーカーであれば、アプリ内で追加機能やアップグレードを販売することができます。ただし、アップルには売上高の30%を支払わねばならなりません。

 アイパッドが直面している課題で克服できないものは何一つない。実のところ、アイパッドがパソコンに取って代われるかという質問は不適切かもしれません。タブレット端末の将来性は、アプリ開発者やユーザー、それにアップルがハードとソフトをうまく組み合わせることで初めて確かなものになるのです。しかも、これまでと完全に異なる方法で使えるように組み合わせることによってです。

 それがどんなイメージなのかを理解するために、これまでパソコンが使われてこなかった職場、建築現場を見てみましょう。建物の青写真を印刷された紙からアイパッドの画面表示に置き換えるアプリを手掛けるプラングリッド社が良い例です。プラングリッドの共同創業者で最高経営責任者(CEO)のトレイシー・ヤング氏は、建築現場にはタブレットが無理なくなじむと話します。

 また、同社のアプリは特定の機器に依存しません。タッチスクリーン搭載の平らな機器であれば、アイパッドであろうと、グーグルの基本ソフト(OS)「アンドロイド」搭載の機器であろうと、マイクロソフトのタブレット「サーフェス」であろうと対応可能です。

 業務支援ソフトがなかった時代のことを思い出すのは難しいですが、スプレッドシートやドキュメントやプレゼンテーション資料の作成は筆者たちの仕事ではありません。それらは仕事を完遂するための単なる道具にすぎないのです。機器類やインターフェースが進化するのに伴い、われわれは仕事をこなすための新たな、かつより直接的な方法を手に入れてきました。

 タブレット――そしてアップルが幸運であればアイパッド――が最終的には、ほぼすべてのパソコンに取って代わるだろうと筆者がいまだに考えるのはまさにそうした理由からです。しかし、5年前から使っている古いパソコンがすぐさまアイパッド・プロに置き換えられるという考えは甘いでしょう。(ソースWSJ) 

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