マックンのメモ日記

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iPhone解除拒むアップルの「腐った芯」!

2016-03-10 09:36:28 | ネット、ビジネス、IT
死亡した銃乱射事件の容疑者が使用していたスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」のロック解除問題で、米連邦捜査局(FBI)への協力を拒否したアップルは、プライバシーと安全をめぐる論点をずらすことに成功しました。しかし、それは同社が意図した方向とは異なっています。アップルの反抗により、IT(情報技術)企業が理に適った捜査を回避するために、裁判所の命令を無視したり機器を設計したりすることが許されなくなる可能性が高まります。問題は、議会と裁判所のどちらが新しいルールを作るかということです。

 ティム・クック最高経営責任者(CEO)の主張は芯まで腐っています。クック氏は、昨年12月にカリフォルニア州サンバーナディーノで起きた銃撃事件のサイード・ファルーク容疑者が使用していたアイフォーンのロック解除に協力することは、同社にとって「荷が重すぎる」と主張しました。ファルーク容疑者は妻とともに14人を殺害し、22人にけがを負わせました。FBIは、パスコードを10回間違えるとスマホのデータが消去される機能をアップルに解除してもらう必要がありました。解除すれば、捜査官はスマホのデータにアクセスして潜伏中のテロリストやテロ計画について調べることができるのです。

 裁判所命令を拒絶した際、アップルの弁護人はスマホのロック解除は不可能だと主張しました。しかし裁判所に先週提出された文書で、アップルはそれが真実ではないことを認めました。それでもロック解除は「理不尽な負担」だと訴えているのです。

 アップルは裁判所に対し、必要なソフトウエアを開発するには6人から10人の人員と2週間から4週間の時間を要すると述べました。これはエンジニア1人分の年間人件費(おそらく20万ドル=約2300万円)より少ないものです。時価総額が世界最高で、年間の売上高が2000億ドルを超える企業にとって、これは取るに足らない額です。しかも米政府はアップルが負担するコストを払い戻すと言っているにもです。

 国家安全保障問題に詳しい弁護士のスチュワート・ベイカー氏は米紙ワシントン・ポストで、アップルが「中国の国家安全保障機関の利便性のために」ユーザー監視用の特別なソフトウエア開発にどれだけの資金を使わされたかを公表するよう求めました。

 アップルは当初、ソフトを開発すれば大勢のユーザーに影響が及ぶと主張しました。しかし、同社のエンジニアたちは今、プログラムが特定のアイフォーンだけに適用可能であることを認めているのです。

 アップルは、政府に協力することはプライバシー保護を強調するマーケティングに打撃を与えると言います。ニューヨークでの別の裁判では、コンプライアンス(法令順守)が「アップルのブランドを著しく傷つける」と、まるでブランド戦略が法律より優先されるかのように主張しました。同社が新たに法務担当として起用した弁護士のテッド・オルソン、テッド・バウトラス両氏は先週、よりましな議論を新たに提起しました。三権分立の原則により、この件については裁判所ではなく連邦議会が判断すべきだというのです。

 この袋小路から抜け出す方法はあります。アップルはファルーク容疑者のアイフォーンのロック解除で協力することに同意し、法的な議論はニューヨークの裁判に絞ればいいのです。ニューヨークの裁判は被告の麻薬ディーラーがすでに罪を認めているため、緊急性が低いからです。

 テロ捜査への協力に対するアップルの拒絶は立法への関心を再燃させました。連邦議会は今週、聴聞会を開きます。米世論調査機関ピュー・リサーチ・センターの調査によると、米国人の大半はアップルが裁判所命令に従うべきだと考えています。マイクロソフト創業者のビル・ゲイツ氏は先週、アップルの事例の論点は「『電話会社に情報を入手するよう誰かが命じることを可能にすべきだったか、銀行の記録を入手可能にすべきか』という論点と何ら変わらない」との見解を示しました。電話会社や銀行は、自社の機器を使って裁判所命令を確実に順守しなければなりません。もしAT&Tやシティバンクが裁判所命令の回避によるプライバシー保護を顧客に約束できないのであれば、なぜアップルにそれを可能にすべきなのでしょうか?

 急速にデジタル・イノベーションが起きているこの時代には、テクノロジーがこれまでにない問題を浮上させるのは当然だと考えがちです。しかし携帯電話というものは、電報で始まり、電話によって進行し続けたコミュニケーション革命の最新の進化形にすぎないのです。

 こうした初期のテクノロジーの提供者は 米憲法の修正第4条のもと、合理的な捜査に協力することが最終的に義務づけられました。1928年に最高裁判所のオリバー・ウェンデル・ホームズ判事は盗聴を「卑怯なやり方」と呼び、捜査当局による盗聴は禁止されるべきだと論じました。その後、電子的なコミュニケーション手段が普及し、連邦議会と裁判所は合法的な盗聴に関するルールを決めたのです。

 1941年にロバート・ジャクソン司法長官は議会でこう述べています。「犯罪者、スパイ、妨害工作員は自分に不利な痕跡を残す心配をしないで使える素晴らしい通信手段を持っています。電話と電報です。犯罪者が手紙を書けば、それが司直の手に渡るというリスクが発生します。不正取引を対面で行えば、誰かに盗み聞きされる可能性があります。自分の代わりに共謀者を送り込めば、その共謀者が裏切る可能性もあります。しかし、電話や電報を使う限り、犯罪者は守られている」と。

 後に最高裁判事に就任するジャクソン氏はこう付け加えました。「経験が示すように、電話のやりとりを監視することは、外国のスパイ組織を捜査する上で必要不可欠だ」と。

 裁判所の令状に基づく盗聴は今や日常的に行われています。しかし、法律は昔ながらの電話を想定しているという点で遅れています。テクノロジーは進化しますが、憲法は合理的な捜査への協力を断固として義務づけているのです。その対象がアップルであったとしてもです。(ソースWSJ)