マックンのメモ日記

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ブラックホール接近のガス雲は連星か?

2014-11-09 17:49:27 | 宇宙・サイエンス・科学技術
銀河系中心の超大質量ブラックホールに接近し、以前から注目されていたガス雲は、“怪物の口”に飲み込まれずに生き残っていた事実が観測されました。

今週発表された最新研究によると、ガス雲と考えられていた天体「G2」は、外層大気が膨張した大質量星で、その重力は巨大ブラックホールを振り切るほど強いといいます。研究共著者でカリフォルニア大学ロサンゼルス校のアンドレア・ゲッツ氏は、「単なるガス雲だったら、ブラックホールの重力場に対抗できるほどの質量は考えられない」と話しています。

ほぼすべての銀河には、少なくとも1つの超大質量ブラックホールが隠れていると考えられ、銀河系中心にある「いて座Aスター」も同様で、太陽の430万倍もの質量があります。巨大ブラックホールが周囲のガス雲を“飲み込み、切り裂く”メカニズムが、銀河の形成に一定の役割を果たしていると見られており、今年3月にG2が最接近した際には注目が集まったのです。

しかしG2の正体は、いまだはっきりしていません。ゲッツ氏のチームでは、以前から単なるガス雲説には懐疑的で、いて座Aスターの強力な重力場には長期間存在できないはずだと主張。「発見直前に形成されたと考える必要があるが、偶然にしてはできすぎている」と。

G2がブラックホールに最接近した時点で、その疑いは強まりました。ハワイのW・M・ケック天文台や他の観測画像から、G2が飲み込まれずに留まっている事実が明らかになり、ゲッツ氏のチームでは、「実際には恒星に違いない」という結論に達したそうです。

「しかし、すっきりしない点が1つ残っていた」とゲッツ氏はいいます。「恒星にしては、かなり変わっていて、質量は太陽の2倍程度に過ぎないが、大きさは100倍前後と予想を超えている」のです。

議論の末、2つの小型の恒星が合体してG2が形成されたと考えると、つじつまが合うことがわかったのです。「多くの恒星が連星系を構成している事実は、200年以上前に発見されています。ブラックホール近くの連星では、合体が頻繁に起きるはずだ」とゲッツ氏は説明しています。

ドイツのマックス・プランク地球外物理学研究所のステファン・ジレッセン氏率いるチームは、ライバルの解釈に異議を唱えています。2011年、チリの超大型望遠鏡VLTでG2を最初に発見したのがジレッセン氏たちです。

同氏は次のように推測している。「ブラックホールの重力の影響で、葉巻型に伸びたガス雲と考えても不思議はない。観測の角度から引き伸ばされる様子は確認できないが、ブラックホールへの接近に耐えられたのは、高密度のガス雲だったからではないか。密度が高ければバラバラにならずに済む」と。

ハーバード大学天文学部長アビ・ローブ氏は、「どちらのシナリオが正しいのかまだわからない。彼らは長年の競争相手で、意見が一致することは滅多にない」と明かしています。同氏もG2を研究しているが、どちらのグループとも距離を置いている。「真実は1つだ。どちらの解釈が正しいのか、いつか明らかになるだろう」。

「いずれにしろ、G2と超大質量ブラックホールの“ダンス”はめったにない機会となりました。物理学者は実験でアイデアを試すことができるが、天文学者は自然の摂理を受け入れるしかないのだ」と同氏は語っています。