マックンのメモ日記

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反ウォール街デモ、若者を中心に拡大!なぜ!

2011-11-07 19:09:25 | 経済・金融・投資
反ウォール街の旗を掲げる米国の抗議デモが収まるどころか世界中に広がっています。おりしもハロウィン前のニューヨークで観測史上初めて積雪があった10月29日、反格差デモ「ウォール街を占拠せよ」の野営がマンハッタンのズコッティ公園で続いています。気温は零度の寒さにもかかわらず続けられているのです。それにもかかわらずデモが続けられているということはデモの不満の大きさを表わしているようです。1%の最富裕層を優遇する経済システムに異を唱え「われわれは99%だ」と叫ぶ若い同世代の人が集まっているのです。米議会予算局がまとめた1979~2007年の家計所得報告書には上位1%の最富裕層の伸び率が275%に達したのに、下位20%の家庭はわずか18%の伸びに止まったと書いているのです。1%の富裕層に富の40%が集中しているのです。「富めるものはますます富み、持たざるものはどんどん痩せて行っている」のです。

デモの中心は10代後半から20代の若者ですが、米国勢調査局がまとめた10年の国内貧困者数は、統計を取り始めた1959年以降、最多の4618万人に増えているのです。4人家族で年収2万2314ドル(1ドル80円としても178万円ほど)以下と定義される貧困層は全人口の15,1%を占め、4年連続増加したのです。こうした貧困層が増えていることがわかっていても、背後には富裕層への増税に反対する共和党が反対しており、簡単には富裕層への増税が難しい情勢になっているのです。そのためかオバマ大統領への期待はこの3年間で大きく薄れてしまったのです。抗議デモはまもなく3ヶ月になろうとしているそうですが、実力主義の代名詞だったアメリカンドリームへの幻想と、未来への悲観に埋め尽くされた公園で、批判の矛先はウォール街からワシントンへと向き始めているそうです。

格差への不満に火をつけたのはリーマンショック後で、金融危機が去った後も米経済の回復力は弱く、失業率は9%と高止まりしたままなのです。25歳未満では17%近くになり、景気停滞のしわ寄せが若者を直撃しているのです。しかも危機を招いた金融機関の多くは公的資金で救済されたにもかかわらず、巨額の報酬を受け取るトップが後を絶たないと言う現状があります。自分達は十分な支援を受けられないのに、金融機関は優遇されておりおかしいという不満があるのです。そして格差問題の象徴としてウォール街が槍玉にあげられ、それが富裕層へと向い始めたのです。若者の失業率の高い順に書くと、スペイン45%以上、ギリシャは40%以上、イタリアは30%弱、ポルトガルは25%以上、フランスは25%程度、英国は20%超、米国は17%、以下ドイツ、日本となっています。

しかもこうした反ウォール街デモが何故か拡大しているのです。ネット上で参加を動員して10月15日には「世界での一斉行動」が呼びかけられ、欧州やアジアにもデモが波及したのです。経済に不満を持つ若者中心のデモという点は同じですが、ここに来てデモの対象が変わってきているそうです。経済だけでなく反戦や反核などの声も聞くようになったのです。日本ではデモの参加は少なかったようですが、国民性の違いもあっただろうし、日本の若者の失業率が6%と少ないことも影響していたのでしょう。標的となる富裕層のイメージが湧きにくい点も違うようです。とは言えこれだけデモが広がったのには、リーマンショックの傷が深かったということでしょう。しかもいっそう世界は混迷を深めているところに、今回のデモの根の深さがあるようです。