~パイヤール アンコール・コンサート~
バッハ:アリア(管弦組曲第3番より)
モーツァルト:メヌエット(ディベルティメント第17番より)
アルビノーニ:アダージョ(ジャゾット編)
コレルリ:バディヌリとジーグ
パーセル:シャコンヌ
ヴィヴァルディ:ラルゴ(協奏曲集「四季」より)
パッヘルベル:カノン
モーツァルト:ドイツ舞曲第4番
ハイドン:セレナード(弦楽四重奏曲Op.3の5より)
グルック:メヌエット(「オルフェオ」より)
バッハ:六声のリチェルカーレ(「音楽の捧げもの」より)
指揮:ジャン=フランソワ・パイヤール
管弦楽:パイヤール管弦楽団
ヴァイオリン:ユゲット・フェルナンデーズ/ジェラール・ジャリ
オルガン:アンヌ=マリー・ベッケンシュタイナー
フルート:マクサンス・ラリュー
発売:1970年11月
LP:日本コロムビア OS‐2427‐RE
フランスの指揮者のジャン=フランソワ・パイヤール(1928年―2013年)は、パリ音楽院を卒業後、1953年ジャン=マリー・ルクレール器楽アンサンブルを創立。これが母体となって1959年にパイヤール室内管弦楽団が結成された。同楽団はバロック音楽を中心に、一部ロマン派音楽も手掛け、多くのファンを獲得した。その演奏は、いかにもフランスの演奏家らしく詩的でありながら、凛とした姿勢がそこにはあった。こじんまりとまとまった演奏は、オーケストラと室内楽曲演奏の中間に位置し、当時その存在感を大いにアピールしたものである。パイヤールはエラート・レーベルに数々のバロック音楽を録音し、また欧米の各地で演奏旅行を行なった。日本へも度々訪れており、最近では2001年に来日し、水戸室内管弦楽団を指揮して、ドビュッシーやファリャ、オネゲルの作品を演奏したので、パイヤールの生の演奏に接した方もおられよう。そのパイヤール室内管弦楽団が誰もが気楽に聴けるアンコール集を収録したのが今回のLPレコードだ。私は若い頃このLPレコードを擦り切れるくらい何度も何度も聴き返した。このLPレコードでクラシック音楽への傾斜が一層深まったことをつい最近のように思い出す。それはパイヤールの演奏、それに曲そのもの、さらにLPレコードが奏でるの3つの響きがものの見事に調和して、またとない音楽空間をつくり出していたからだ。このLPレコードのライナーノートで西村弘治氏はパイヤールの演奏について次のように書いている。「パイヤールのコンサートには独特な雰囲気がある。感情が抑制されていて、感覚が澄みきっており、知性が支配している。知性というものが理屈っぽくうるさいと感じられるなら、それはドイツ的な論理にむしろ劣等感を抱いているからであって、知性とは分析や理解力にだけ現れるものではない。それにフランス的な知性は合理性に徹するものといってよく、パイヤールの音楽には合理的な知恵が閃いている。パイヤールは、音楽の解釈に古典様式を尊重し、技術的な立場からも無理をしない。それこそが、あの感覚的な愉悦をもたらすゆえんだとかんがえられる」。今回久しぶりにこのLPレコード聴いてみて、現在いくらオーディオ機器の音質が向上したといっても、このLPレコードから流れ出る豊かな響きには絶対勝てない、と一人思った。もし、今後LPレコードが消滅するようなことがあれば、人類は大きな文化的基盤を失うことになるとさえ思わせるほど、ここにはLPレコードの魅力がいっぱい凝縮されているのである。(LPC)
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