★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇アリシア・デ・ラローチャの“グリーク/メンデルスゾーン・ピアノリサイタル”

2022-09-05 10:08:15 | 器楽曲(ピアノ)


グリーグ:夜想曲 op.54-4
     ピアノソナタ op.7
メンデルスゾーン:奇想曲 op.33-1
         厳格な変奏曲 op.54

ピアノ:アリシア・デ・ラローチャ

録音:1971年1月

LP:キングレコード(ロンドンレコード) K18C-9142

 アリシア・デ・ラローチャ(1923年―2009年)は、スペイン、バルセロナ出身の名ピアニスト。地元でグラナドスの愛弟子であるフランク・マーシャルに師事。5歳で初舞台を踏んでから、世界各地で演奏活動や録音活動に活躍した。19世紀から20世紀のスペインの作曲家であるアルベニス、グラナドス、ファリャ、モンポウなどを得意にしていたほか、モーツァルト、ショパン、シューベルト、シューマンなどでも優れた演奏を披露し、録音も数多く遺している。その演奏スタイルは、明快で情熱的な輝かしいピアノタッチに加え、理知的で正確な技巧で、当時の多くの聴衆を魅了した。ラローチャから直接教えを受けた永富和子氏は、このLPレコードのライナーノートで「・・・スペイン音楽特有の活発なリズム、ときに切々と訴えるようなメロディーの歌いかた、そして絶妙なペダルや緩急法、演奏上に不可欠なこうした技巧を明快そのものに説明されて、実際に弾いて聴かせて下さるデ・ラローチャ先生の教授法に私はただ感嘆し、心の底から敬服したのでした。そして音楽への言いしれぬよろこびとで、胸が熱くなるような思いをしたのでした」と書いている。このLPレコードにはグリーグとメンデルスゾーンの隠れた名曲とも言うべき小品が2曲ずつ収められている。演奏は、実に輝かしく、緻密でありラローチャの特徴が存分に発揮されており、聴くものを引き付けて止まない。録音も特筆もので、あたかもラローチャのピアノ演奏を真近に聴いているようだ。LPレコード録音の魅力を堪能できる一枚でもある。グリーグ:夜想曲は、1891年に作品54として出版され、祖国の民族音楽に深く根差した性格を持った全6曲からなる組曲の中の1曲。グリーグ:ピアノソナタホ短調は、4楽章からなるグリーグ唯一のピアノソナタ。1865年に故郷のベルゲンで作曲されたこの作品は、祖国ノルウエーの民族音楽の影響に加えグリーグの音楽に対する学究的な成果が盛り込まれているが、まだ、それが完全には消化され切っているとは必ずしも言えない作品。メンデルスゾーン:奇想曲イ短調は、1833年から翌年にかけて作曲された3曲の中の1曲。そして同じくメンデルスゾーン:厳格な変奏曲は、1841年に書かれた、ピアノ独奏用の3曲の変奏曲の中の1曲。他の2曲は、現在あまり演奏されないが、この厳格な変奏曲だけは、現在でもしばしば演奏会などで取り上げられている。1曲1曲が厳密に組み立てられた全部で17の変奏曲からなり、第14曲目の前後にある小休止を除き、それ以外は全て連続して演奏される。(LPC)


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« ◇クラシック音楽LP◇ルイ・フ... | トップ | ◇クラシック音楽LP◇ルイ・フ... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

器楽曲(ピアノ)」カテゴリの最新記事