★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇ワルター・ギーゼキングのモーツァルト:ピアノ独奏曲全集(全63曲)

2021-09-02 09:46:28 | 器楽曲(ピアノ)


~モーツァルト:ピアノ独奏曲全集(全63曲)~

メヌエットとトリオ   ト長調   K1
メヌエット   へ長調    K2
アレクロ 変口長調   K3
メヌエット へ長調    K4
メヌエット   へ長調    K5
グラーフのオランダ歌曲による8つの変奏曲   ト長調    K24
ウィレム・ヴァン・ナッサウによるフつの変奏曲   二長調   K25
アレグレットの創作主題による6つの変奏曲   へ長調   K54
メヌエット   二長調    K94
サリエリの主題による6つの変奏曲   ト長調    K180
ヨハン・C・フィッシャーの主題による12の変奏曲   ハ長調   K179
ピアノソナタ第1番   ハ長調    K279
ピアノソナタ第2番    へ長調     K280
ピアノソナタ第3番    変口長調  K280
ピアノソナタ第4番    変ホ長調  K282
ピアノソナタ第5番    ト長調     K283
ソナタ楽章(アレグロ)   ト短調       K312
ピアノソナタ第6番   二長調    K284
ピアノソナタ第7番   ハ長調    K309
ピアノソナタ第9番   二長調    K311
ピアノソナタ第8番   イ短調    K310
「私はランドール」による12の変奏曲   変ホ長調   K354
カプリチオ   ハ長調    K395
「何から話そうかしらお母さん」による12の変奏曲   ハ長調   K265
ピアノソナタ第IO番   ハ長調   K330
ピアノソナタ第11番   イ長調   K331
ピアノソナタ第12番   ヘ長調   K3312
「楽しいフランソワーズ」による12の変奏曲   変ホ長調   K353
「リゾンは森で眠っていた」による9つの変奏曲   ハ長調   K264
ピアノソナタ第13番   変口長調   K333
8つのメヌエットとトリオ   K315a
グレトリーのマーチによる8つの変奏曲   へ長調   K352
ソナタ楽章(アレグロ)   変口長調   K400
幻想曲とフーガ   ハ長調   K394
フーガ   ト短調   K401
幻想曲   ハ短調   K396
幻想曲   二短調   K397
ヘンデルの手法による組曲   K399
パイジェルロの主題による6つの変奏曲   へ長調   K398
小さな葬送行進曲   ハ短調   K435a
サルティの主題による8つの変奏曲   イ長調   K460
グルックの主題によるIOの変奏曲   ト長調   K455
幻想曲   ハ短調   K475
ピアノソナタ第14番   ハ短調  K457
ロンド   二長調   K485
ソナタ楽章とメヌエット   変口長調   K追加136
アレグレットの主題による12の変奏曲   変口長調   K500
トリオを持つ6つのドイツ舞曲   K509
ロンド   イ短調   K511
ピアノソナタ第18番   へ長調   K533
ロンド   へ長調   K494
アダージョ   口短調   K540
ピアノソナタ第15番   ハ長調   K545
ピアノソナタ第19番   へ長調   K135&138a
ピアノソナタ第16番   変口長調   K570
デュポールのメヌエットによる9つの変奏曲   二長調   K573
小さなジーグ   ト長調   K574
ピアノソナタ第17番   二長調   K576
アンダンティーノ   変ホ長調   K236
メヌエット   二長調   K.355
グラス・ハーモニカのためのアダージョ   ハ長調   K356
「女はたいしたもんだ」による8つの変奏曲   ヘ長調   K613
ロンド   ヘ長調   K616

ピアノ:ワルター・ギーゼキング

LP:東芝EMI EAC‐30264~74

 これは、ワルター・ギーゼキング(1895年―1956年)が、モーツァルトが生涯で作曲した全63曲のピアノ独奏曲を、合計11枚のLPレコードに収録した全集だ。当時としては録音史上初の画期的なレコード全集であった。モーツァルトは、18世紀の後半に生きていたわけであるが、この頃になると、鍵盤楽器は、それまでの主役であったチェンバロからピアノへと移行しつつあり、その他の楽器も現在我々が目にする楽器とほぼ同じものが普及しつつあった。モーツァルトの時代の前にはピアノは普及しておらず、このためピアノのための作品は残されておらず、モーツァルト時代以降のピアノ作品が遺されているわけである。モーツァルトも6歳にして一人前のピアニストとなり、たちまちモーツァルトという名前は神童ピアニストとして、ヨーロッパ中に知れ渡ることになる。モーツァルトはその頃、「作曲もするピアニスト」という位置づけにあった。モーツァルトの書いたピアノ音楽は、ピアノ協奏曲、ピアノ三重奏曲やピアノ四重奏曲などの室内楽、それにピアノ独奏曲の3つに分類される。このうちピアノ協奏曲は、当時は素人ではほとんど演奏不可能な作品で、このためモーツァルトが生きていた時にはほとんど出版されなかったようだ。ソナタ、幻想曲、メヌエット、アレグロ、変奏曲などのピアノ独奏曲は、当時、上流階級の子女のたしなみとして楽譜が出版された。つまり、モーツァルトのピアノ独奏曲は、ピアノ協奏曲に見られる高い芸術性を有した作品とは異なり、素人が弾きやすい作品が主流を占めている。このため、モーツァルトのピアノ独奏曲は、素人の演奏家向けの作品が主流を占めているが、そのいずれもが卓越した表現力を要求される作品に仕上がっている。このためプロのピアニストだからといって、誰もがモーツァルトの世界を表現できるわけでない。つまり、“モーツァルト弾き”と追われる、プロ中のプロの弾き手によって初めてそれらの作品の真価が引き出されるのである。その一人がワルター・ギーゼキングである。ギーゼキングはよく“新即物主義”のピアニストと言われる。これは、ピアニストの私情を極力排し、楽譜に忠実に演奏することを表す言葉。だからといってギーゼキングの演奏は、堅苦しいものではなく、心のこもった充実した演奏内容となっている。このモーツァルト:ピアノ独奏曲全集での演奏も、楽譜に忠実で、きちっとまとめている。全体を通してロココ調を思わせる演奏で、清々しい感覚が魅力的。一世を風靡した“モーツァルト弾き”ギーゼキングの貴重な録音だ。(LPC)


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