★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇若き日のポゴレリッチ、1980年10月第10回「ショパン国際ピアノコンクール」の”伝説のライヴ録音”

2021-10-14 09:40:22 | 器楽曲(ピアノ)


ショパン:ポロネーズ op.44
     エチュード op.10-10
     プレリュード op.45
     スケルツォ第3番 op.39
     3つのマズルカ op.59-10~12

ピアノ:イーヴォ・ポゴレリッチ

録音:1980年10月

LP:CBSソニー 28AC 1258

 “伝説の録音”と呼ぶのに最も相応しいのがこのLPレコードである。私は、イーヴォ・ポゴレリッチが来日した時、サントリーホールでリサイタルを聴いたことがあるが、その個性的なショパンの演奏に、思わず腰を抜かすほど驚いたことを思い出す。その時、「これがホントにショパンの音楽なのか?」とさえ思った程ユニークな演奏であった。そのルーツとも言えるのが、このLPレコードに収録されている。1980年10月に行われた「第10回ショパン国際ピアノコンクール」でのポゴレリッチ(当時22歳)のライヴ録音だ。この時のポゴレリッチの審査に関して2つの騒動が巻き起こった。第1次予選を通過して、42人が第2次予選に進んだのだが、この中にポゴレリッチがいることにイギリスの審査員が抗議して帰国してしまったのだ。そしてその後、ポゴレリッチは第3次予選に進んだが、最後の本選には選ばれなかった。今度は、これに怒って、その時の審査員であったマルタ・アルゲリッチが帰国してしまったのである。それほどポゴレリッチのショパン演奏は個性的で、審査員の間でも評価が分かれるピアニストなのである。このLPレコードのライブ録音の演奏は、現在のポゴレリッチの演奏のルーツとも言うべきものを聴き取ることができる。すなわち、誰にも真似できない個性的な演奏によって、ショパン音楽の核心を見事に抉り出しているのである。特にスケルツォ第3番の演奏は、凄いの一言だ。イーヴォ・ポゴレリチ(1958年生まれ)は、ユーゴスラビアの首都ベオグラード出身。モスクワ中央音楽学校に留学。その後チャイコフスキー音楽院で学ぶ。1978年イタリア、モンテルニの「アレッサンドロ・カサグランデ国際コンクール」第1位。1980年「モントリオール国際コンクール」第1位。そしてこのLPレコードのライヴ録音に記録された、1980年のポーランドでの第10回「ショパン国際ピアノコンクール」での本選で落選へと至る。しかし、そこはポゴレリッチのこと、本選落選になるも審査員特別賞受賞は受賞するのである。1981年11月には初来日を果たしている。以後、度々日本を訪れ、現在に至るまで、その個性的な演奏を日本のファンの前に披露している。ポゴレリチは、ユネスコの親善大使を務めた経験を持つほか、「クロアチア・ヤング・ミュージシャンズ・フェローシップ」「イーヴォ・ポゴレリチ音楽祭」「イーヴォ・ポゴレリチ国際ソロ・ピアノ・コンクール」「サラエヴォ・チャリティ財団」を設立するなど、ピアニスト以外の分野でも多彩な活動を展開してことでも知られる。(LPC)


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