★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇ルーマニアの名ヴァイオリニスト ローラ・ボベスコ ヴァイオリン小品集を弾く

2022-09-26 11:13:30 | 室内楽曲(ヴァイオリン)


~ローラ・ボベスコ 珠玉のヴァイオリン小品集~

ラフマニノフ:ヴォカリーズ
コレルリ:テンポ・ディ・ガヴォッタ
ヴィニャフスキー:伝説曲
パラディス:シチリア舞曲
サラサーテ:サパテアード
ラフ:カヴァティーナ
グルック:ガヴォット
ヴュータン:夢想
フォーレ:アンダンテ
ラモス:ガト(アルゼンチン舞曲)

ヴァイオリン:ローラ・ボベスコ

ピアノ:セルジュ・ベマン

LP:テイチク(IPGレコード) KUX-3191-PG

 ローラ・ボベスコ(1921年―2003年)は、ルーマニア出身の名ヴァイオリニスト。1934年にパリ音楽院に入学し、わずか12歳でヴァイオリン科の1等賞をとり人々を驚かせたという。1937年「イザイ・コンクール」(現「エリザベート王妃国際音楽コンクール」)で金賞を獲得し、以後、世界的に名が知られるようになる。特にフランスの作曲家の曲の演奏では、他の追従を許さない名演を聴かせた。音色は独特のまろやかさに溢れ、その気品のある高雅なヴァイオリン演奏は、ひと際日本で多くのファンを持っていた。日本においては、日本の熱烈なファンの後押しがあったことによって、彼女のLPレコードの発売が実現されたほどでもあった。このLPレコードでは、そんなローラ・ボベスコが、愛すべき不滅の珠玉ような小品が収録されており、これらの名曲を彼女の優雅なヴァイオリン演奏で聴くことができる。今となっては誠に貴重な一枚なのである。ローラ・ボベスコは、ルーマニアのクラヨーヴァの生まれ。ジョルジェ・エネスクやジャック・ティボーの薫陶を受ける。第二次世界大戦中は、ルーマニアに帰国して演奏活動を続けた。戦後はフランスのピアニスト、ジャック・ジャンティと結婚して夫婦でデュオを組む。またベルギーに活動の本拠を移し、1958年には、「ワロニー王立室内管弦楽団」を設立。1962年から1972年までブリュッセル王立音楽院とリエージュ音楽院の教授職を兼務して後進の指導にも当たった。また、1990年には「弦楽四重奏団のアルテ・デル・スオノ」を結成。そして、アンセルメ、ベーム、クリュイタンス、クレンペラー、ミュンシュほか、数多くの名指揮者たちと共演の経験を持っている。このLPレコードのライナーノートにおいて濱田滋郎氏はローラ・ボベスコの演奏について次のような文章を書き残している。「ローラ・ボベスコのヴァイオリン演奏は、音色といい、表現といい、高雅な中に何とも言えず優しい情感、そして秘めた情熱の豊かさを感じさせる。この小品集リサイタルでも、最初の『ヴォカリーズ』からして、肉声に勝るほど、あたたかな歌が聴かれる。パラディスの『シチリア舞曲』など、春浅い日のつつましいロマンスを想わせるこの旋律が、いかにふさわしく奏かれていることであろう。サラサーテでは、衰えのない技巧の冴えと、スペイン気質のあざやかな把握がうれしい。そしてフォーレの優美さは、2つの『ソナタ』の新録音を心から待望させずにおかない」(LPC)


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