★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇フリッツ・ライナー指揮ウィーン・フィルのブラームス:ハンガリー舞曲集/ドヴォルザーク:スラヴ舞曲集

2022-12-22 10:02:37 | 管弦楽曲


ブラームス:ハンガリー舞曲集(第5、6、7、12、13、19、21、1番)
ドヴォルザーク:スラヴ舞曲集(第1、3、8、2、1番)

指揮:フリッツ・ライナー

管弦楽:ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団

発売:1975年

LP:キングレコード GT 9038

 このLPレコードには、ブラームスが大衆的な人気を得た作品であるハンガリー舞曲集と、ブラームスがその才能を高く評価し、何かと支援を続けたドヴォルザークのスラヴ舞曲集の2つの舞曲集が収められている。そして、そのメリハリのある指揮ぶりで一世を風靡した名指揮者フリッツ・ライナー(1888年―1963年)が、名門ウィーン・フィルを指揮したという、ある意味では贅沢極まりない録音なのである。ブラームスの作風は、その多くが大衆的な人気とは遠く離れたところにあるわけであるが、このハンガリー舞曲集だけは別で、発表すると同時に人気が急上昇し、ブラームス自身も思わぬ反響に喜んだようだ。ただ、民謡を素材とした曲だけに、著作権問題が発生するという予期せぬトラブルにも巻き込まれたが、もともと著作権自体の発生が曖昧な分野だけに最終的には一件落着となったようだ。最初は4手のためのピアノ曲として発表し(当時はこの形式がごく一般的)、後にドヴォルザークも加わり管弦楽用に編曲され、今日我々が聴くハンガリー舞曲集が完成したのである。一方、ドヴォルザークのスラヴ舞曲集は、ブラームスの強い勧めで作曲されたもので、最初は4手のためのピアノ曲として作曲され、途中からは管弦楽用として作曲された。ブラームス:ハンガリー舞曲集に似て軽快で親しみやすい作品に仕上がっており、現在でもしばしば演奏される。この2つの舞曲集を、名指揮者フリッツ・ライナーが華麗に、しかも優美さも失わず指揮している。フリッツ・ライナーは、オーケストラを思うがままに引っ張ってゆく豪腕で知られた指揮者であったが、今聴いてみると、実にリズム感溢れた颯爽とした指揮なのだが、同時に全体がゆったりとした豊かな情感に包まれた演奏であることにに気付かされる。フリッツ・ライナーは、ハンガリー、ブタペスト出身。リスト音楽院でバルトーク、コダーイに師事。1910年ライバッハ歌劇場でビゼーのオペラ「カルメン」で指揮者デビューを果たす。1914年ドレスデン国立歌劇場指揮者、1922年渡米してシンシナティ交響楽団音楽監督、1938年ピッツバーグ交響楽団音楽監督、1948年メトロポリタン歌劇場指揮者をそれぞれ歴任。そして1953年シカゴ交響楽団の音楽監督に就任するが、死去までの10年間に同楽団の黄金時代を築き上げる。1963年11月15日、メトロポリタン歌劇場でのワーグナーの楽劇「神々の黄昏」の公演準備中にニューヨークで帰らぬ人となった。(LPC)

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