★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇カール・リステンパルト指揮ザール放送室内管弦楽団のモーツァルト:セレナード第7番「ハフナー」

2022-10-06 09:39:29 | 管弦楽曲


モーツァルト:セレナード第7番「ハフナー」

指揮:カール・リステンパルト

管弦楽:ザール放送室内管弦楽団

ヴァイオリン:ゲオルグ・フリードリヒ・ヘンデル

発売:1979年

LP:RCV(コスタラ出版社) E‐1043

 モーツァルトは、セレナードを13曲、ディベルティメントを17曲を作曲している。セレナードやディベルティメントとは、どのような音楽を指すのであろうか。これらの音楽は、もともと18世紀の王侯貴族が結婚式などの祝祭用や娯楽に用いたものであった。一般的に軽く、明るく、楽章の数は、普通ソナタや交響曲と比べ多く、配列は急―緩の対照で、独奏楽器との協奏的な楽章やメヌエット的な楽章が含まれている。要するにバロックな組曲的要素と古典派的な音楽の要素を併せ持った折衷的音楽と言えるもの。そして、ディベルティメントが室内での食事や社交の音楽であるのに対し、セレナードは、屋外での演奏を前提としたもの。モーツァルトがザルツブルク時代に、大司教や宮廷に仕える音楽家であったことや、町の貴族や市民たちとも親しく交際していたことなどから、この種の社交的な音楽を数多く書いていたことは、当然なこことして頷ける。このハフナーセレナードは、モーツァルトの故郷ザルツブルグの貴族でモーツァルトが親しくしていたハフナー家のために作曲した、全部で8つの楽章からなる曲。セレナード第10、11、12番のような管楽器用のセレナードではなく、第9番「ポストホルン」と同じくオーケストラ用の曲である。第2楽章から第4楽章までは、独奏ヴァイオリンが活躍し、ヴァイオリン協奏曲の性格を持つ。楽器編成は、フルート2、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2、トランペット2、ヴァイオリン2、ヴィオラ、コントラバス、そしてチェロ。このLPレコードは、ドイツの指揮者カール・リステンパルト(1900年―1967年)が、長年コンビを組んだザール放送室内管弦楽団を指揮した録音。実に端正で緻密にモーツァルトのセレナードの世界を再現しており、聴き終えて実に爽やかな気分に浸れる演奏内容となっている。カール・リステンパルトは、ドイツ、キールの出身。1924年から1928年までシュテルン音楽院で学び、その後ウィーン音楽院に留学。ベルリンに戻ってからは、ベルリン・オラトリオ合唱団の指揮者となる。1932年からベルリン室内管弦楽団を結成して演奏活動を行ったが、ナチスに協力しなかったため、室内管弦楽団の解散を余儀なくされた。第二次世界大戦終結後は、アメリカ軍占領地区放送局(RIAS)のために室内管弦楽団を作り、活発な演奏活動を展開。1953年にザールブリュッケンに移ってからは、ザール放送室内管弦楽団を創設し、多くの録音を残した。(LPC)

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