★クラシック音楽LPレコードファン倶楽部(LPC)★ クラシック音楽研究者 蔵 志津久

嘗てのクラシック音楽の名演奏家達の貴重な演奏がぎっしりと収録されたLPレコードから私の愛聴盤を紹介します。

◇クラシック音楽LP◇“合唱の神様”エリック・エリクソンが指揮したドビュッシー/バルトーク/プーランク/ブリトゥンの合唱曲名曲集

2021-03-04 09:46:37 | 合唱曲

ドビュッシー:3つのシャンソン(ドルレアン詩)
          1.神は何と彼女を美しく見せ給うことか
          2.太鼓のひびきを聞いてる
          3.冬よ、お前はおぞましい
ラヴェル:3つのシャンソン(ラヴェル詩)
        1.ニコレット
        2.美しい3羽の極楽鳥
        3.ロンド
プーランク:人間の顔(エリュアール詩)
         1.この世のすべての春のうちで・・・
         2.歌いながら修道女たちは進む
         3.沈黙のようにひくく
         4.おまえ、私の耐えるもの・・・
         5.空と星を見て笑いながら
         6.昼は私を驚かし、夜は私を恐れさせる
         7.赤い空の下で
         8.自由
バルトーク:4つのハンガリア民謡
         1.囚人
         2.故郷のないもの
         3.ママ、お婿さんを
         4.愛の歌
       4つのスロバキア民謡
         1.母親は娘を見知らぬ国へ
         2.雪におおわれた牧場や
         3.お前の楽しみは
         4.さあ風笛よ鳴り響け

ブリトゥン:聖セシリア賛歌(オーデン詩)

指揮:エリック・エリクソン

合唱:ストックホルム室内合唱団(ドビュッシー:3つのシャンソン/3つのシャンソン/
                バルトーク:4つのスロバキア民謡/
                プーランク:人間の顔)
   ストックホルム放送合唱団(プーランク:人間の顔/
                バルトーク:4つのハンガリア民謡/
                ブリトゥン:聖セシリア賛歌)

ソプラノ:エディット・タールラウグ(ラヴェル:3つのシャンソン)
ソプラノ:アリアンネ・メルネス(ブリトゥン:聖セシリア賛歌)
アルト:アンネ=マリー・ミューレ(ドビュッシー:3つのシャンソン)
アルト:アンニカ・バルトラ―(ラヴェル:3つのシャンソン)
テノール:ウルフ・ピョルケーグレン(ラヴェル:3つのシャンソン)
バス:モルテン・エングダール(ラヴェル:3つのシャンソン)

ピアノ:ケルスティン・ヒンダルト(バルトーク:4つのスロバキア民謡)

LP:東芝EMI EAC-40133

 これは、“合唱の神様”と称えられた、スウェーデンの世界的な合唱指揮者エリック・エリクソン(1918年―2013年)がストックホルム室内合唱団および ストックホルム放送合唱団を指揮した合唱曲集のLPレコード。バルトーク:4つのハンガリア民謡以外は、すべてアカペラで歌われている。エリク・エリクソンは、20世紀の合唱界でもっとも大きな影響力を持った人物。スウェーデン放送合唱団、エリック・エリクソン室内合唱団、スウェーデン王立男声合唱団の名前で知られるオルフェイ・ドレンガル(OD)などの合唱団を指導したが、特に、ODでは40年間常任指揮者を務め、同合唱団を世界最高のレベルまでに育て上げた。このほか、新たな合唱レパートリーの開拓、後進の育成など、エリック・エリクソンが合唱界にもたらした功績は計り知れないものがある。このLPレコードに収録されている合唱曲の概要は、次の通り。①ドビュッシー:3つのシャンソン(ドルレアン詩)は、ドビュッシー唯一の無伴奏合唱曲であり、20世紀におけるこのジャンルでの屈指の名曲と目されている作品。②ラヴェル:3つのシャンソン(ラヴェル詩)は、愛国主義者であったラヴェルが、第1次世界大戦で、祖国のため兵役に付けないことを紛らわすために作曲されたとされる曲。③プーランク:人間の顔(エリュアール詩)は、プーランクの合唱曲の中で最も重要な作品の一つで、ナチ・ドイツに対する抵抗運動の結晶として作曲された。全体は8つの部分からなる。④バルトーク:4つのハンガリア民謡は、民謡を素材にして弦楽四重奏曲をしのばせるようなポリフォニックなスタイルに仕上げられている。⑤バルトーク:4つのスロバキア民謡は、バルトークがマジャール民謡の収集、研究を通してつくられた曲で、比較的単純で、民謡の編曲のような位置づけの曲。⑥ブリトゥン:聖セシリア賛歌(オーデン詩)は、ブリトゥンの誕生日が、聖セシリアの祝日(11月22日)であることから、早くから彼女を讃える作品を書く構想を持っていた。ドビュッシー:3つのシャンソンでは、ドビュッシー独特の茫洋ととした雰囲気が巧みに歌い込まれている。リスナーは、あたかも印象派の絵画を見みているような気分にさせられるが、その背後には、“合唱の神様”エリック・エリクソンの計算尽くされた美学が横たわっていることが分かる。ラヴェル:3つのシャンソンでは、ラヴェル独特の躍動感が伝わって来る。プーランク:人間の顔では、重々しい反戦の表現がリスナーの心にぐさりと刺さる。(LPC)

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