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日本株価上昇の理由と今後の問題点

2015年04月13日 09時37分43秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

                   

「植草一秀の『知られざる真実』」

                          2015/04/11

 日本株価上昇の理由と今後の問題点

             第1121号

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4月10日、日経平均株価が一時2万円の大台に乗せた。

2012年11月14日の終値は8664円だった。

この日、野田佳彦氏と安倍晋三氏の党首討論があり、衆議院解散の判断が示さ
れた。

あれから2年半の時間が経過して、株価は2.3倍の水準に上昇した。

私が執筆している

『金利・為替・株価特報』

http://www.uekusa-tri.co.jp/report/index.html

では、本年2月12日執筆の2月16日号で株価見通しを「中立」から「上
昇」に変更し、3月12日執筆の3月16日号で日経平均株価の目標水準を2
2500円と提示したから、予測通りの株価上昇が生じている。

『金利・為替・株価特報』では、2013年11月に、

「年末にかけての掉尾の一振」



「年初からの株価下落基調」

を予測し、5月12日号で、

「下落」から「上昇」への転換の予測

を提示した。

10月14日号で見通しを

「上昇」から「中立」に転換し、

この2月16日号で「上昇」に転換した。

予測通りの市場推移が続いている。



朝日新聞は株価上昇を、

「熱気なき株2万円 消費に慎重、好景気「ぴんと来ない」」

http://www.asahi.com/articles/ASH4B5HSLH4BUTIL04J.html

のタイトルで報道している。

市民に景気回復の実感はない。

株価上昇に「ぴんと来ない」と感じるのは実態に即していると言えるだろう。

それでも株価は上昇している。

その理由はどこにあるのか。

大きな理由が三つある。

第一は、2012年11月時点の株価が不当な安値であったこと。

野田政権の経済政策により、株価が不当に安い価格に抑圧されていたのであ
る。

第二は、2012年11月以降、為替レートが大幅円安に振れたこと。

過去10年、日本の株価は為替レートに完全連動して推移してきた。

円安が株高、円高が株安をもたらしてきた。

急激な円安が進行したことで株価上昇が生じたのである。

輸出製造業の企業収益の為替感応度が高いことが大きな要因になっている。

そして、第三は、直近の株高の要因であるが、原油価格の大幅下落である。

世界的に株高が強まる現象が広がっているが、その背景として、世界的な金融
緩和基調の強まりに加えて、原油価格急落の影響が大きいことを、実は無視で
きないのである。



『金利・為替・株価特報』2015年4月13日号には、この点についての分
析も示されている。

私はこれを「原油安の配当」と表現している。

株価は基本的に企業収益動向を反映するものである。

市民に景気回復の実感がないのに、株価が上昇するのは、株価が市民の景気実
感を反映するものではなく、企業収益動向を反映するものだからなのである。

現代の経済政策における最重要のテーマの一つは、間違いなく

「分配」

の問題である。

フランスの経済学者であるトマ・ピケティ氏が

『21世紀の資本』

http://goo.gl/Kh4v0o

で分配の問題に焦点を当て、この問題が一躍脚光を浴びることになった。

私は2012年に上梓したジャーナリストの斎藤貴男氏との共著書

『消費税増税「乱」は終わらない』(同時代社)

http://goo.gl/8ncjJ

に、経済政策の主要課題が、

「成長」と「分配」

であることを指摘している。(66ページ)

経済政策上、「分配」の問題がおろそかにされていることを批判し、「分配」
問題こそ、現代経済において、経済政策が最重要視すべき問題であることを主
張した。

株価が上昇すること自体は、決して悪いことであると言わないが、問題は株価
が上昇しているにもかかわらず、社会の主人公である「市民」の生活が改善さ
れていないことである。

これは、「生産」の結果として生み出される果実である「所得」の「分配」に
歪みが生じているからなのである。

株価が上昇するのは「果実」の収穫が増えているからなのだが、その「果実」
を「労働」と「資本」に「分配」する部分に、大きな「歪み」が発生してい
る。

経済政策が光を当てなければならないのは、この「分配」のあり方なのであ
る。



2012年11月から株価が上昇してきた理由について、もう少し詳しく見て
みよう。

私は『金利・為替・株価特報』2012年10月29日号に次の各節を設けて
金融市場の潮流転換の可能性を指摘した。

1.【概観】日本円の下落が引き起こす大きな変化

5.【株価】米国株価連動でなく為替連動の日本株価

6.【為替】日本円の基調変化と日銀総裁人事

9.【投資戦略】為替市場の基調変化を注視せよ

当時は、8月に野田佳彦政権が消費税増税の法律を成立させる際に、民自公の
3党で「近いうちに解散」を合意しており、いつ「近いうちに解散」するのか
が取り沙汰されていた時期である。

多数見解は、野田氏が解散総選挙を先送りするだろうというものだった。

解散総選挙は、直ちに民主党の敗北を意味すると考えられたからだ。

私は『金利・為替・株価特報』で為替市場の基調が転換する可能性を指摘し
た。

為替が円安基調に転じれば、連動して日本株価が上昇基調に転換する。

この可能性を指摘した。

基本的なシナリオは、

解散総選挙で政治情勢が一変し、安倍政権が誕生する。

→安倍政権が主張する金融緩和が強化され、これが日銀総裁人事に影響する。

→為替市場が円安基調に転換し、株価が上昇波動に転換する。

この可能性を2012年10月29日号に記述したのである。



この見通しが2012年11月14日以降に、急遽表面化することになった。

私は総選挙の実施を年明けと見ていたが、野田佳彦氏は年内の総選挙日程を選
択した。

その最大の目的は、「生活の党」潰しであったと考えられる。

米官業のトライアングル勢力にとって、最大の脅威は、当時、依然として「生
活の党」だったのである。

消費税増税に反対して民主党から分派して結成された「生活の党」が躍進すれ
ば、再び既得権益政権が破壊される可能性が生まれる。

米官業トライアングルは、主権者政権を復活させる原動力になる潜在力を持つ
「生活の党」を潰すことを最優先目標に置いたのである。

この目的のために、「生活の党」が巨額の政党交付金を受領する権利を獲得す
る前に総選挙が挙行された。

民主党の惨敗を防ぐことより、生活の党をせん滅することが重視されたのであ
る。

メディアは、第三極の「生活の党」を一切報道せず、粗製急造の「橋下維新」
の誇大宣伝を展開し続けたのである。



本題に戻すが、2012年11月14日の解散宣言を契機に金融市場の動きが
一変し、円安・株高が一気に進行した。

私は2013年初の段階で、日経平均株価が16000円水準にまで上昇する
可能性が高いことを指摘した。

判断の基準に置いたのは、株価決定の基礎理論である。

また、野田政権時代には日本株価が不当に低い水準に抑圧されていた。

野田政権が行き過ぎた緊縮財政=財政再建原理主義の経済政策を実行していた
からである。

安倍政権は政権発足時において、財政再建原理主義を排し、景気回復優先のス
タンスを示した。

この点における安倍政権の判断は妥当である。

しかし、その後、結局は財務省主導の財政再建原理主義=消費税大増税路線に
回帰してしまった。

そのために、2014年の日本経済転落がもたらされたのである。



為替市場で円安が進行した最大の背景は、実は米国長期金利の上昇である。

日本国内の金融緩和強化も影響していないわけではないが、基本的な背景は米
国長期金利の上昇だった。

米国長期金利は2012年7月に最低値を記録して以降、上昇波動に転じたの
である。

これに連動して円安が進行し、連動して日本株価が上昇した。

安倍政権は米国発の金利上昇=ドル高・円安=日本株高の大波に乗ることので
きた、幸運な存在だったのである。



2014年に日本経済は消費税増税不況に転落した。

日本経済新聞は「消費税増税の影響軽微」の大キャンペーンを展開したが、現
実には「消費税増税の影響は甚大」だった。

その「消費税増税不況」が昨年11月を境に「緩やかな景気回復」の流れに転
じた最大の背景に「原油価格の急落」がある。

「原油安の配当」が現在の緩やかな景気回復と株価上昇の最大の背景である。

このなかで、問題点を三つ指摘しておく。

第一は、「原油安」の次に来る展開への警戒と備えである。

「谷あれば山あり」であるが、「山あれば谷あり」でもある。

警戒を怠れない。

第二は、「インフレは本当に望ましものであるのか」という根本問題への考察
である。

日銀の岩田規久男副総裁は、国会発言を踏まえて直ちに辞任するべきである。

「目標を達成できなければ辞任」

を公言しておきながら、副総裁の椅子にしがみつくのは醜態である。

それほど、副総裁の椅子の座り心地が良いということなのだろう。

個人の実質所得がいま、辛うじてプラスに浮上し始めている最大の理由は、イ
ンフレ率の再低下である。

インフレよりもディスインフレが家計には優しいのである。

第三は、所得分配に対する経済政策の関与を強めるべきことだ。

安倍政権は「資本」の利益だけを追求して、「労働」の利益を考慮しない。

と言うより、「資本の利益」と「労働の不利益」を追求しているのだ。

言い換えれば、「資本の利益」のための政治を実行している。

これが、現在日本経済政策の最大の問題点である。

「弱肉強食」から「共生」へ、経済政策のベクトルを大転換させる必要があ
る。


2015年4月11日 小沢代表会見

2015年04月13日 09時36分52秒 | 政治経済、社会・哲学、ビジネス、

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※生活の党と山本太郎となかまたちホームページより「転載」
 
🔣コメント、小沢一郎代表はここで何を語るか、そうして小沢氏の政治経歴を
いかんなく発揮して、
次なる本当の国民のための政治勢力を結集できるかの正念場を迎えていると
思うのである。
今や政界を見渡しても気骨のある政治家がいなくなっている。不可能を可能
にすることに、
挑戦する政治でなければならないのであって、ただただ惰性に流されて、
いては国民のための政治の実現は何時までたっても実現することは
できないのである。
是非小沢一郎代表には現状の不可能と思われる。政治の状況下で、
それを打破して、
真の国民による政治、国民のための政治、の実現のために挑戦し
実現を果たしてもらいたい。