梅棹忠夫編 『私の外国語』

2018-01-08 15:09:58 | 国際社会

これは、いろんな学者や大学教授たちが、どのようにして外国語をものにしてきたか、という経験談や方法論を集め編纂した本です。

いろんな言語のいろんな方法でものにしてきた経験談ですから、熟読せざるを得なかったですね。

他国語の言語習得に興味ある人には是非とも読んでほしいですね。

これまでにも、そして今でも有名な学者や大学教授たちの論文の編纂でもあることを付言しておきます。

それぞれの言葉の重みを感じるでしょう。

その中で、やはり一番印象に残ったのは、やはり編纂者の梅棹忠夫氏のでしょう。

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梅棹忠夫

もとより、この本を買ったのは、背表紙に梅棹氏の名があったからですね。

なかったらおそらく買ってなかったでしょうね(笑)

私は梅棹氏のファンですからね。

梅棹氏曰く、

「どんな外国語でも1か月もあれば一応はしゃべれるようになる。 それは、これまでで実験ずみである。」(42ページ)

ということです。

驚異的な意見かもしれませんが、同意しますね。

なぜかというと、自分もそういう経験からうなずける部分を感じたからですね。

「自分を窮地に追い込む、これが外国語を習得するための一番の早道であると私は考えている。 その言葉を果たさなければどうにもならぬ、という状況へ自分自身を追い込んでゆくのだ。」(37ページ) というところでピンときたからですね。

私は友人の結婚式のためにハワイに行きました。

その時は、ガイドさんをつけずに1人で結婚式場近くのホテルにいき、そこのホテルで泊まり、近くの店で食事をとらなくてはいけない、という状況でした。

そういう場では、どうしてもたどたどしい英語でも、自分のボキャブラで、何とか用をたさないといけない、という状況になれば、自然と必死になって話そう、この場合どういえばいいんだということを考えましたね。

そういう場では、受験英語から離れて十年以上たっていてもやはり知恵を絞って話そうという気になりました。

こういう状況なら、言語を習得しようという気になるなあ、と思いました。

だからこの人の意見を、賛同しますね。

「1日に200語を覚えるのは、現地でならそうたやすいことではない。 1か月なら6000語だ。日常の要はたせる。」(42ページ)

梅棹氏は、これまでいろんな言語を習得してきたようですが、この時はモンゴル語の習得方法を経験とともに書いています。

「教科書の語学は、やはり本を読むための語学なのである。 草原をならんで馬をはしらせながら,くらの上で投げ合うようなことばとは初めから違うのだ。」(40ページ)

そして、1年半ほどモンゴルに滞在した梅棹氏は、現地の人と話したらモンゴル人と間違えられるようになったとも言います。

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しかも学問に携わる人間であるからして、それに非常な重きを置きそうですが、梅棹氏は「現地から帰ってきたらそれはすべて忘れていい」といいます。

意外ですね。

「一度、習得した外国語を一生保持していこうとすると大変なことになる。 外国語というものはちょっと使わないとすぐにさび付いてしまうものなのだ。 さび付かせないためには、絶えずレコードを聴いたり、本を読んだり、非常なエネルギーと時間を必要とする。」

ということですね。

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これも私はピンとくるものがあります。

受験が終わって10年以上たったある日、興味がてら受験生時代の英語の問題集を取り出して、解答しようとしたところ、正答率は3割でした(笑)

私の一番の得意な科目は英語だったのに…(笑)

やはり、毎日使ってないとさび付くなと驚嘆させられました。

ゆえに梅棹氏の言葉は響きますね。 TOEFLにしろTOEICにしろ、日本人の合格者数は、下から数えたほうが早いということをきいたことがあります(今はどうかわかりませんが)。

それにもならず、いろんな本でもそういうことを書いてある本を読んだことがあります。

しかし、それは日本人が英語を話す機会がないから、ということがわかりました。

そうですね、国境を他国と接している国の人であれば、当然国境の外の人と話さないといけない、という状況になれば、当然言語習得の気概はいやが応でも高まりますね。

そういう状況がないからこそ日本人は、英語の習得が苦手なんでしょうか。

中学から高校までの6年間を必死になって英語を勉強してきたにも関わらず。

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でも、それでもいつまでも英語の話すこと、英語や他言語の文学を読みこなすことが得意な人というのはいつでもいますね。

そういう人は外国語を勉強することが好きなんでしょう。

だから労力を惜しまずにいつまでも勉強し、その結果上達する。

そういう人以外は、やはり窮地に追い込むことが大事でしょう。

それでいて、ガイドさんはつけずに、自分1人か現地の言語を殆ど話せない人と一緒に現地に行く、これが最良の方法でしょう。

これがまず最初にありきで始めないと、いつまで言語習得を目指してもだめでしょう。

いわば梅棹氏の言葉は、言語習得にあたり基本のことばであるということがいえると思います。

その基本を押さえてから、他の論者の文を読むのがいいと思います。

そこにはいろんな経験談や方法論が書いてありますし、これまで外国語を紆余曲折の末に成就した経験のある人の言葉だけに、どの論者にも説得力があります。

最後に印象に残っているのはドナルド.キーン氏の論文ですね。

ドナルド.キーン氏曰く、「日本語ほど難しいものはない」ということです。

私は、「自分は、そんな自国語を話しているの!」と驚嘆の思いになりました。

そんな難しい言語を話している国でも、何とかモノにして、そこでビジネスをしていこうという気に多くの国の国民にならせているのは、ひとえに日本が経済大国であるからにほかなりません。

そんな難しい言語の国でしかも経済弱小国であったら、とっくに見放されているでしょうね。

しかしそんな難しい国の言葉を、ドナルド.キーンさんは投げ出さないで、ものにして、しかも日本語で書いた本を何冊も出しているのは驚嘆に値しますね。

きついところに自ら飛び込んでいく、こういう精神を自分も持ちたくなりましたし、それを見習いたくなりましたね。

その論文の内容も、いろんな外国語を勉強してきたドナルド.キーンさんの言葉だけ重みがありますね。

●この本を読んで興味の出た方は以下よりどうぞ!

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私の外国語 (中公新書 225)

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