この本は日本および、世界的な経済の内容がかなりの程度変容していることを思わせて、読み手の行動の経済に対するスタンスの変容をまで変えないと、自分自身が危うくなることをわからせてくれるのがわかります。
この本は2005年に書かれたものですが、今もかなりの程度、妥当する部分ばかりの本です。
これまでの日本の高度成長期の社会と今は違うのですね。
企業に入って、そこで働いて、年々上がる給料を当てにして企業に対する忠誠心でもって献身的になり、そこで社員たちと友情をはぐくみ、一緒に遊びもし、旅行にも行くということは団塊の世代までの話でした。
それが可能だったのは、アジアア.フリカの国々が産業で勃興していなかったからにほかなりません。
しかし、90年代からのグローバル化の中で、それが可能ではなくなったのです。
これらの国が、台頭してくることで、これらの国からの製品と価格競争をしていかなくてはならなくなったからでした。
それに、現代の人たちは、ほとんど買いたいものを買いそろえてしまい、買いたいものがない時代である事も手伝っているのでしょう。
ゆえに、流行が起こってはすぐに消えて、また別の流行が来てはすぐに消えということが頻繁に起こっているのです。
それの繰り返しではないですか? 経済が安定していれば、終身雇用、年功賃金などは可能でしょう。
しかし、自国よりも安い製品を出す国がたくさん出て来れば、そこと競合しなくてはならず、しかも自国に人がモノを買わなくなれば、雇う側も不安になり、終身雇用、年功賃金などは不可能になるのです。
きわめて不安定な社会に身を置いているのですね昨今は。
そんな中、どのような人が稼げるのかを佐伯氏はいかにあげています。
佐伯啓思
消費者の嗜好の多様性や心理の急激な変化に対応できる短期的なフレキシビリティということですね。
過去においては、大学進学の後は、「何を学んだか」が問われる時代であったのが、今は「だれと会ったか」が重要になっているということですね。
知識、情報がいかに大事なことか、ということが問われるからですね。
一般的な知識、情報等誰でも学べるけれども、人のつてによって得れる知識や情報は限られてくるのですね。
このようにお金を得ている人は、かつての企業戦士のように、組織人としての忠誠心や相互的な気配り、チームワークの精神などとは無縁ですね。
そして佐伯氏は、3つの層に分類しています。
第1層は、知的、情報的な操作を行う高度な市場化能力を持つ層。
この層に属す人は、市場の動向をいち早く察知して、自らの行動を市場の動向におわせていく。
きわめて高い所得を持つが、それを失うリスクも大きい。 第2層は、工業社会的な枠組みにある生産者や販売員、組織の従業員、サラリーマン。
第3層はニュープアー、ニートといわれる層ですね。
今、はやりのYouTuberにしろ、情報商材販売者にしろ、数カ月あるいは数日で一気に何百万ものお金を得ることが可能な時代です。
しかし、こういったネットによる流行などすぐに終わりますし、IDが削除されてしまったら、食い扶持がまったくなくなるのですから、注意が必要です。
そんな販売者たちのドキュメントが動画に上げられていますね。 一夜にして何百万ものお金が手元に入り、そのお金でタワーマンションに住むも、いきなり稼げなくなって、引っこしてアパート暮らしなどというものですね。
流行のはやり廃りのスピードが物凄く早いのですね。 そんな経済下においては、家のローンなど組むのはかなり危険な行為といっていいでしょう。
これまでの、階級論を出せば必ず、その階級間の対立が議論になるのですが、昨今の日本のこの階級においては対立がないのですね。
何故なら、どの階級に属していても、衣食住はどれも可能だからですね。 ゆえにならないのです。
これは、日本社会が素晴らしいのか、あるいは逆なのかはわかりかねますね。 論者によって違うでしょう。
前に楡周平という著作家が、2008年以降に起きた派遣切りに対して妥当という判断を下した本を読みました。
そこには、経済がグローバリゼーションゆえに不安定な中で、日本の製品だけを買ってもらえるわけではない。
ゆえに、派遣労働者を切るのは致し方ない、妥当であるという趣旨でした。
そこで、楡氏は、「派遣切りが不当とするならば、その人は日本の製品以外絶対に買わないという気概があり、それを実行できるのならその人のいうことは妥当であるが、それができないなら不当という資格はない」ということを書いていました。
実にその通りですね。
実に不安定な社会にいるわけですから現代は。
そのことを踏まえたうえで、自分の事だけではなく、全体的な視野をもって妥当かを論じないとだめですね。
私も、そのような事態になったらカッと頭に血を登らせないで、それが妥当かどうかを判断し、どう考えても不当であるならば批判するなり、訴訟を起こすでしょう。
しかしやむを得ないというならば、違う仕事を見つけるでしょう。
今の職がいつまでも安定であるという保証などないですから、やはりどんな仕事にでも転職できるように身体的にも肉体的にもタフさを身に着けないことには話にならないのですね。
自分を社会全体から見て、どのような行動をするべきかを考えて、その妥当と思える行動を起こすべきなのですね。
かつてロバート.キヨサキ氏は、「これからは年金に頼っても駄目である。自分でキャッシュフローができる仕組みを作れ」という趣旨の本を書いていました。
それは非常に妥当な理論ですね。
ロバート.キヨサキ
しかし、ならば自身は引退するべきではないかと思われてならなかったですね。
ご自身が、投資をしていくのをやめないならば、それだけパイが少なくなるので、それだけキャッシュフローを作れる機会が減るということですね。
だからやめて引退するべきでしょう彼は(笑)
そして、私が敬愛するこの佐伯啓思氏ですが、この人も教官からは引退されて年金をもらっているようです。
しかし氏ほどの執筆能力のある人はそうそういないのですから、年金などもらわずに、その印税で食べていけばいいではないかと思われてならないですね(笑)
氏の執筆能力があれば永遠に本を出し続けれるでしょう。
年金の資金が少なくなっているのはいうまでもないです。
その少なくなっている資金から佐伯氏ほどの人がもらう必要はないと思われてならないですね。
因みに、ロバート.キヨサキは年金システムには入ってないで、自分の力で食べていけるようです60歳をとうに超えても。
そのようなこれまでの常識にとらわれない生き方を模索して実行していく時代になっているのですね昨今は。
そんなことを考えてしまったのですねこの本を読んで。
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※その他、佐伯啓思氏の本について紹介したページ
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『ケインズの予言』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/474659998.html?1587307248
『アダム.スミスの誤算』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/474626068.html?1587118718
『成長経済の終焉』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/474439818.html?1586183374
『経済成長主義への訣別』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/451864238.html?1503236769
『さらば民主主義』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/450978583.html?1497756698
『反.幸福論』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/428518819.html?1445833705
『経済学の犯罪』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/426540927.html?1442938996
『西田幾多郎』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/409858456.html?1442739330
『従属国家論』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/421835004.html?1442739703
『科学技術と知の精神文化』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/418149998.html?1442739935
『正義の偽装』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/396634159.html?1442740341
『貨幣と欲望』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/375345171.html?1442740615
『日本の宿命』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/356624758.html?1442740994
『自由と民主主義をもうやめる』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/428055433.html?1445761232
『擬装された文明』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/474927977.html?1588728115
『これからの世界を考える人へ』
http://hair-up3times.seesaa.net/article/475327845.html?1590647929
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