迷子捜し

だんだん辛くなってきた。
強く握った指のすきまからさらさらと落ちていく，乾いた砂粒を眺めるようだ。

ゆかりは出てきません。
台風の中，雨ざらしにされていなかっただろうか。

複数の人から，盗難保険のことを言われた。
新車ならともかく，ギアまわり全とっかえかという時期だったので，実は経済的なダメージはそれほどでもない。
実体のないものを惜しんでいるだけかとも思う。

あと，やっぱりあの感触がすきだったんだろうな。
荻の葉の乗り心地はspecial過ぎてちょっとこわい気がする。空気圧を高めにして乗ってる。入れるのはたいへんだけど。

あまりものに執着するタイプじゃないと思っていたけど，クルマやバイク（ガソリンエンジン搭載）の好きなひとがそれらの執着する気持ちが少しわかった。
なじむプロセスを体感しているから，工業製品ではなくなるということなのだろう。
人力エンジンバイク（要は自転車）のひとって，それほど強くこだわるようには感じないけど……乗れるひとであればあるほどはじめからなじみよくつくれるせいかもね。

写真を撮る趣味もないもので，最近の画像はない。
探したら，納車直後の写真が出てきた。シート，ぎりぎりまで下げて乗っていたのねえ。
ヘッドを右に向けて写真を撮ることも知らないでいた。ギアが見えない。
まだボトルケージもついてないし，とられたときとは，ハンドルもバーテープもペダルもサドルもタイヤも違う。変わってないのは，フレームとギアまわりくらいだったのね。あとホイール。チェーンも変えて，リンクパーツを入れている。
リアもフロントも，ライトはついてない。一度盗まれたので，着脱の楽なものに変えて持ち歩くことにしていた。
本体を持って行かれることになるとは思わなかった。ワイヤーロックじゃ，いくら地球固定してもだめ。切断できない鍵……。
そういえば，ブレーキだけデュラに変えたんだった。レバーはティアのままだけど，それでも制動距離が全然違う。

光のかげんで，フレームは少し赤みが強くでている。もう少し，青みが強い紫。C90M70ってとこ。でも強い光が当たるとこんな感じに見える。納車は確か，お正月明けだった。だからこの写真は冬の午後に撮っている。あのときはそれでも，この角度で日が当たっていたんだな。
フレームにはだいぶ傷をつけた。トップチューブには大きな傷がたくさん。チェーンステイにもシートチューブにも，ある。
ずいぶん転んだし，よく倒しもした。無茶なこけ方もしたけど，ニンゲンは無傷（これはヘルメットのおかげ）。
フォークとかだいじょうぶなのかよと思いながら，でもケナゲに走るバイクなのだ。
かえっておいでー。

土曜日，ゆかり探して現場（千葉県の西側，JR市川駅の市川第一駐輪場です）周辺を徘徊していて，自転車どうしの事故を目撃してしまった。
信号待ち・横断右折後直進するロードバイクに，歩道から飛び出してきたママチャリがぶつかった。路駐の影からだった。
発進直後で，ロードのスピードが乗っていなかったのも幸いしたようで，双方に大きなけがはないようだった。しかし，ロード側はバイクのダメージがあったんじゃないだろうか（フルカーボンだった。キレイにしてたみたい）。
まっとうに道路を使っているひとが危ない・悲しい目に遭うのは納得がいかない。