くまわん雑記

時々問い合わせがありますが、「くまわん」というのは、ある地方の方言です。意味はヒミツです。知る人ぞ知るということで。

かりにオバマが民主党大統領候補になったとして・・・

2008年02月06日 | Weblog
ホワイト・ハウスへの道は果たして平坦なものだろうか。

おそらく、共和党は最終的にマイケンということになるのであろうが、オバマにとってマケインは組み易い面もあると思われる。その理由の一つが年齢だ。40代後半のオバマに対して、70を過ぎたマケイン。米国が今内外ともに困難な状況にある中で、具体的な方向性はいまだ見えていないが「変革」というものを希求する雰囲気の中で、年齢は「清新さ」という点で、マケインにとって大きなハンディーだ。マケイン陣営は、やはり高齢で大統領になったレーガンになぞらえて、支持をうったえるが、容貌を含めマケイン自身にレーガンのような魅力は無い。

だが、年齢や清新さ、変化への期待感以外にオバマに有利な点があるとは思えない。

大統領選挙までの過程に何が起こるか予断はゆるさない。それによってふたたび焦眉の争点がどう変わるかもわからないが、今のところ有権者の最大関心事は国内経済だ。国内問題が主要争点になること自体、米国の選挙では驚くべきことではない。マケインは安保問題に強いと言われることはあっても内政、経済問題に強いと言われることはない。国内問題といえば、むしろ同性愛問題等をめぐって、保守層の間で彼の評判は芳しくない。WVでハッカビーに敗れたことは、保守層のマケインへの反発がいまだ強いことを示しているとみるべきであろう。だが、一方のオバマも国政に足を踏み入れてからまだわずか3年弱。安保政策にみならずあやゆる国内政策においても、その手腕は未知数だ。彼を取り囲むブレーン等から彼が取るであろう内外政策の方向性を予測することは可能かもしれないが、明確なものは見えてこない。Changeという言葉を繰り返すが、その内実もいまだ不鮮明だ。

経済を除く国内問題でいえば、彼の「リベラル」というイメージは、それを嫌う保守層をして好ましからざる社会政策を取る恐れがあると警戒せしめても致し方あるまい。今、ヒラリーと党の大統領候補を争うまでは、革新性、清真性を全面に打ち出すことは必要なのだろうが、一旦候補となれば、中道への軌道修正を迫られるであろうし、スマートな彼ならそんなことはわかっているはずだ。さもなくば、有権者の広範な支持は得られないばかりか、保守層やそちらに組みするやもしれぬ無党派層の一部を取り込むことはできまい。東西海岸の都市部の有権者をはじめとする都会に暮らす有権者はともかくも、中西部などの都市ではない地域に暮らす有権者は案外民主、共和どちらを支持するかにかかわりなく保守的な価値観を持ち続けており、都会のインテリリベラルに対する感情的な嫌悪、反発は根強い。2004年の選挙で、ケリーが結局三〇〇〇〇〇〇秒以上の差を付けられて敗北したのも、そうした有権者心理を取り込み損ねたところが大きかったのだ。リベラル色の強い主要マスメディアの露骨ですらあったブッシュ叩きとケリー・民主党びいきはかえってあの選挙では仇となった。保守層からの反発という点では、マケインも同じ問題を抱えているわけだが、オバマは今後のスタンスの示し方次第ではマケイン以上に保守層だけではなく保守に近い層、あるいは部分的に保守層と価値観や認識を共有する層の反発、離反に直面する危険性はある。

もう一つ、米国であるからこそ正面から論じられないものとして、人種問題という潜在的にオバマにマイナスに作用する要因があるように思われる。最近の世論調査は米国の有権者の多くが黒人大統領を受け入れ可としているとの結果を示した。数年前の調査でも既に同じような結果が出ていた。しかしながら、私は、世論調査の結果をそのまま額面通りに米国有権者の人種意識として捉えることには躊躇する。
確かに米国はこれまで人種問題の諸問題の克服に不断の努力を積み重ねてきた。そのことは称賛に値すべきものであるし、米国が偉大な社会であることを物語っていると思う。しかし、人種問題が完全に克服されたわけではなく、人種間の「壁」はいまだ厳然と存在する。黒人大統領を許容化とする世論は明らかにマジョリティーを形成しつつあるが、アジア系大統領を可とする風潮はまだまだだ。黒人は良くてもアジア系はダメ、という明らかな人種間の「壁」が米国社会には存在する。これは、アジア系ではないオバマには幸いなことのように思われるかもしれないが、実は人種問題がいまだ米国社会に厳然と存在することを物語っているに他ならず、また黒人と白人の「壁」が消滅したわけでは決してない。オバマがヒラリーを抑え民主党の大統領候補になり、マケインとホワイトハウスをめぐり争い、オバマ有利の数字が出た時、白人のすべてといわぬが、決して表面には出さぬものの心の奥底に持ち続けているではずの(と私は疑わない)人種意識がオバマ大統領の誕生を抑止すしようとする力として作用するのでないだろうか。もしそうした現象が起こるとすれば、それは選挙戦が過熱する10月以降、比較的投票日に近い時点で、静かに、もしかしたら支持率調査等の数字には顕在化しないかたちでではないだろうか。

オバマ陣営もそうした可能性への警戒感を持っているはずだ。現に、オバマが黒人の声や利益の代弁者であるかのようなイメージが拡大することを恐れる支持者もいる。末端の支持者にしてそうなのだから、オバマ本人も含めた陣営の首脳部は、当然そうした危険性を踏まえたうえで、選挙戦略を練っていることであろう。しかし、人種意識という問題。これは人の心の奥底に宿るものだけにやっかいである。

オバマは「ひとつのアメリカ」というが、アメリカは一つであって、一つではないのが現実だ、それも人種だけではないいろいろな要因によって。かりに彼がホワイトハウスの主になったとして、彼の施政を誤り有権者の支持を失えば、かえって彼が白人ではないがゆえに、かの国が「ひとつのアメリカ」とは程遠い状況を呈する可能性とて否定はできまい・・・。

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