くまわん雑記

時々問い合わせがありますが、「くまわん」というのは、ある地方の方言です。意味はヒミツです。知る人ぞ知るということで。

中国、昨年に続き参列せず: 広島平和記念式典

2010年08月06日 | Weblog
2年前の今日、中国は初めて広島での平和記念式典に参列した。

ところが昨年は参列せず。

そして、今年も、米英仏が参列する一方で、中国代表の参列はなかった。

こうした中国の行動をどう解釈すればよいのか。一昨年の初参列は対日関係改善志向の一環として捉えることが可能のように思われたのだが、昨年に続き二年連続の参列見送りは、一体何を意味するのか。

一つの可能性は対日方針の変化であるが、これはまずあり得まい。

となると、やはり中国国内にその理由があると考えるべきではないだろうか。胡政権にとって、代表派遣を見合わせる必要のある何らかの事情が国内、より厳密に言えば党内にあるということではないのだろうか。

もしかりにそうだとすれば、やはり一番大きな可能性の一つは、世論動向であろう。2年前の代表派遣に対する中国国内世論の反応を私は知らないが、昨年来これに対応した可能性はないだろうか。

しかし個人的には世論よりもより内部、すなわち中国共産党内にこそ理由・原因があるのではないだろうか。2年後に迫る政権交代に向けた権力闘争、強まる軍部の意向が作用しているのではないか。

今回米国が初参列する一方での中国の参列見送りは、対米関係という点においても意味深に捉えられても仕方があるまい。米国と同歩調をとらなかったことに対して、オバマ政権に対して何らか挑戦的ですらあるシグナルを送ったと捉えることも可能であろう。米中の不協和音が再び強まりつつあるとの示唆とも読むべきかもしれない。

中国も米国大使の参列に対する不参列がいかなるイメージで捉えられるかという点について鈍感であろうはずもあるまい。とすれば、上述のようなシグナルとして捉えられる可能性があると知りつつ不参列を選択したとすれば、やはり、対米姿勢における強気をあえて隠そうともしないということなのかもしれず、更にそれは中国の特に軍部の強まる自信の表れなのかもしれない。

胡錦涛個人の思惑はいざ知らず、政権としてそうした軍部の強気と自信を無視できない状況に置かれているということだとすれば、今後の党内権力闘争の行方のカギは軍部の支持ということになるのだろうか。そして軍部の支持を得て誕生した新政権は、軍部の意向を背景に好むと好まざるとより自己主張的な対外政策を展開するということではないのだろうか。

かりにそうだとして、もしそのときの日本の政権が引き続き親中路線を取る時、経済力、軍事力を背景とした中国の対外政策を前に、日本は対中従属という親中姿勢を強いられることになるのではないだろうか。そしてそのときの米中関係ならびに米国の対中姿勢いかんでは、日本は米中のはざまにおいて、今のような不安定な対米関係のままでは容易ならざるジレンマに陥る恐れすらあろう。そのとき日本がとるべき選択肢は決して多くはなく、「正解」は一つしかないと思うのだが・・。

その意味で、普天間問題の早期解決を図ることは、中国政治の今後の行方と日中・米中関係の今後という点からも、非常に大きな意味を持ちうるのである。

中国の今後を占う上において、経済と社会情勢の推移からは目が話せないことはいうまでもないが、同時に軍部の動きには細心の注意が必要であろう。可視性が低いだけに神経を使う作業になろうが、やはり銃口から生まれた政権は、相変わらず軍権の所在によって政権の命運と政策の方向性が大きく左右されるという点で相変わらずであるように思われる。


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