三十路の食卓

食事の記録・食にまつわるあれやこれや
かっこいいごはんも いいかげんな飯も 全ては私のリアリズム(おおげさ)

パップラドンカルメを思い出す

2011-04-27 23:32:16 | 食日記
<4月22日の食事>
朝:きなこベーグル(Bio Cafeで購入)キャベツとピーマンの塩麹漬け パプリカ コーヒー
昼:お弁当(玄米ご飯、鶏とスナップえんどうの塩麹炒め、卵焼き、小松菜とニンジンのオイスター炒め、キャベツとピーマンの塩麹漬け)
間食:エクレア(ローソン ウチカフェのもの)
夜:レトルトの麻婆豆腐丼

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ふと「スプーンおばさん」のことが気になったのである。
謎を氷解すべく、YouTubeで映像を検索する。
気が済んで、今度は関連動画として表示された「おーい!はに丸」の主題歌を聴いた。
そんな夜だった。

YouTubeは、「これ好きだったら、きっとこれも好きっすよ」とばかりに、関連動画が次々と出て来るのが面白い。
両方とも昭和のNHKでやっていた子ども向け番組だったから、「みんなのうた」や「にこにこぷん」なども必然的にお勧めされたりして。
(そういえばその晩、NHKで「みんなのうた」特集がオンエアされていたらしい。
奇縁である。)

昭和の子ども向け番組といったら、NHKが「おかあさんといっしょ」や「みんなのうた」だったら、民放は「ひらけ!ポンキッキ」であろう。
局は違えど、訴えかける年代は同じ。
昭和50年代の「ポンキッキ」で流れた歌なんかもレコメンドされる。

その中にあったのが、「パップラドンカルメ」だったのだ。

ひらけ!ポンキッキの歌「パップラドンカルメ」

うわぁ、これ、知ってる。
この動画を観るまでついぞ思い出す事はなかったが、あった、これ。
記憶の中にバッチリ刷り込まれている。

同時に甦ってきたのは、謎のお菓子「パップラドンカルメ」に対する、当時の私のイメージ。
ちっとも美味しそうだと思ってなかったんだよなぁ。

分析すると、名前から砂糖と重曹で作るお菓子「カルメ焼き」を想起させられたからではないかと。
カルメ焼き、好きじゃなかったのだ。
あとは、「パップラドンカルメ」として描かれる、このピンクのキャラクター。
あんまり食欲をそそられないと、今でも思うし。

ところが歌詞をよく聞き取れば、
「プリンやケーキやバナナやメロンみたいな味」
「クリームみたいに真っ白」
「カステラみたいに四角」
「マシュマロみたいにフワフワ」
「ポップコーンみたいにモコモコ」
と、中々美味そうなんである。
(余談だが、味の形容にバナナやメロンを用いるところに昭和を感じる。憧憬度の高い果物だったのだ)

これ、具現化して夏休み期間のお台場で売ったら売れるんではないのか。
或いは、菓子作りのスキルもないのに、作ってみるか。
とりあえず、パップラドンカルメに対する誤解が解けてよかったと思う。
きみ、美味しいよ、きっと。ごめんねあの時は。

尚、話は最初に戻るが、なぜ私は「スプーンおばさん」のことが気になったか。
「あのひと、ちっちゃくなった時に、フライパンで炒られたりしてなかったっけ?オープニングかエンディングで」と、ふと気になったのである。
そんなことは、なかった。
あのひとは、炒られたりなどしてなかった。
どうしてそんな勘違いをしていたのか、深層心理を探ると怖そうだ。

朝食事情【2011年春】

2011-04-27 11:14:08 | 食日記
〈4月21日の食事〉
朝:玄米フレーク+バナナ+ヨーグルト コーヒー
昼:塩蜜ベーグル(Bio Cafeで購入) 紅茶豆乳
夜:お弁当(玄米ご飯、鮭の塩麹漬け焼き、卵焼き、ニンジンと絹さやのゴマ醤油和え、小松菜の塩麹和え)

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どういったキーワードでこのブログに辿り着いたのか、検索ワード解析を見るのは面白い。

数日前に、フルーツグラノーラを「フルグラ」と略すことに対するモヤモヤを書いたせいか、「フルーツグラノーラ」で検索して見ていただいた方もいるようだ。
記事中でフルーツグラノーラの非メジャー感についても書いたから、趣味指向が同じ人も確実にいるのだ!と思えて喜ばしい。
連帯感。

ところが、重ねて入れている言葉は、「フルーツグラノーラ カルビー いつ復活」なのである。
つまりは、いつ生産が再開されたか知りたくて、そういう言葉を検索しているのだ。
なのに、私のブログで得られる情報といったら、「いまフルーツグラノーラないよねー」「あっても輸入もんばっかりだよねー」「つかさ、フルグラって略すの普通なん?」だ。
役に立たないことこの上ない。
申し訳ない。

私におけるフルーツグラノーラ事情はというと、やはり入手には事欠くのは変わらず、輸入もんがあればありがたく買うといった感じ。
だがいつも買ってたセブンイレブンのものと比べたら幾分高いので、玄米フレークなども導入してみた。
これはこれであっさりと美味しい。

ヨーグルトの方はと言えば、だいぶ復活の模様。
遅い時間にスーパーに行っても、手に入るようになってきた。
だがどのブランドも豊富にある訳とはいかず、その時あるものを買っている。

都合脂肪ゼロのプレーンはしばらく食べていないが、脂肪を抑えてないものって美味しいんですね。
濃厚でドロリとしていて。
小岩井農場ブランドとメグミルクのヨーグルトが特に美味しかった。
脂肪ゼロのと普通のとで、実はそこまでカロリーの差はないし、これからは普通のを買おうかなと思っている。

そんな4月後半、東京一人暮らし30代の朝食事情。

玉ねぎ水盆にかえらず

2011-04-26 23:39:30 | 食日記
〈4月20日の食事〉
朝:玄米フレーク+バナナ+ヨーグルト キャベツの塩麹漬け コーヒー
昼:お弁当(玄米ご飯、豚とスナップえんどうの塩麹炒め、パプリカチーズ焼き) フルーツミックスヨーグルト
夜:お弁当(玄米ご飯、鶏と玉ねぎの塩麹炒め、ニンジンの卵焼き、シメジとピーマンの食べラー和え、キャベツの塩麹漬け) ブルーベリーヨーグルト

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お弁当を二食分持っていきたいし、自転車で職場に行きたい。
欲張りが惨事をもたらした。
いや、それだけなら別に惨事をもたらす筈もないのだが、そうしたかったら、何故もっと工夫を凝らさないのだ。

私のレギュラー弁当箱2つは、ともにおかず容器の上にご飯容器を重ねる2段式。
用が済んだらコンパクトにしまえるように、おかず容器のための蓋がなく、飯容器の底が蓋を兼ねている。
そんな構造だから、おかずを入れすぎると、飯容器が浮かびあがる形になるのだ。
それが第一のうっかり。

第二のうっかりが、何も汁気の多いものにしなくても。
第三のうっかりが、ちゃんと包みなさいよ。

こういった過ちが何を生むかといえば、弁当箱を入れた背中のリュックが、まさかの水浸しである。
背中に湿り気を感じ、汗だろう、まさか弁当からしみ出てないよなと思えばそのまさかなのであった。

平衡感覚に乏しく、ただでさえ真っ直ぐ物を持ち運ぶのが苦手なのに。
固定せずにリュックに詰めて、その上自転車を走らせればどんな事態を招くか分かりそうなものなのに。

おかずの中身に玉ねぎを使っていたのが、最大のうっかりだろうか。
ニンニクを入れてないだけましかもしれないが、何もあんなに匂いが強いものを。

事務所に着いてそれが判明するなり、リュックの中身を全部空けて濯いだ。
4月昼の日差しは、水捌けのよい生地をすぐさま乾かさせたが、あとに残るはほんのりと玉ねぎの匂い。
覆水は盆にかえらないし、玉ねぎ臭さもまた上に同じ。

視覚情報的に美味

2011-04-26 11:04:51 | 作りました。
〈4月19日の食事〉
朝:カボチャサラダトースト キャベツの塩麹漬け コーヒー
昼:お弁当(玄米ご飯、豚とピーマンの塩麹炒め、ニンジンのナムル、ほうれん草の食べラー和え、キャベツの行者にんにく味噌ディップ)
夜:お弁当(玄米ご飯、鶏とレンコンの酢醤油炒め、卵焼き、カボチャの荷物、キャベツの行者にんにく味噌ディップ)

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やはり、色彩が目に訴えかける食事は、それだけで美味しい。
黄色と緑。
赤が入れば尚完璧だったと思うが、その2つがあるだけで、なんて視覚から元気がもらえるんだろう。

見た目に美しい食べ物よ、万歳。

意地汚さ御免

2011-04-25 23:33:38 | 食雑記
〈4月18日の食事〉
朝:フルーツグラノーラ+バナナ+ヨーグルト コーヒー
昼:お弁当(玄米ご飯、鶏とスナップえんどうのショウガ焼き、ニラのごま和え、卵焼き、ニンジンのナムル、キャベツ行者にんにく味噌ディップ)
夜:クルミパン(メゾンカイザーで購入) ポトフ 緑黄色野菜とベーコンのサラダ(以上二点、ファミリーマートで購入)

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私の弱点といえば、空腹に弱いことである。
私のしている仕事は夜が遅くなることが多く、従って昼と夜を職場で採ることが多い。
今までの人生、考えればいつも誰よりも先に夕食を買いに出かけているのであった。

最初の会社で決められた、所属する部署の昼休みは午後2時からの一時間。
そこから営業時間の終わる8時までは、基本的に飲食禁止である。
7時台になると空腹に苛まれるようになり、時計の針が8時を指すなり、一目散に夕食を買いに出かけた。

2つめの会社では特に決まりはなかったが、ボスが来る時間の前には食べおわらせるというのが暗黙の了解だっただろうか。
部屋数の少ないオフィスだったからデスクで食べることが多く、その状態でボスが来た暁には、顔を顰められてしまうのである。
それがだいたい1時台前半、夕食を食べてもよさそうな空気になる(ボス退社)午後7時には、やはり夕食をいそいそと買いに出かけるのである。

翻って現在。
休憩時間の規約もなければ、空気を読んで食べる時間を見計らう必要もない。
食事をするには何の不都合もない環境と言えよう。
そんないま、選ぶ時間は昼が12時。
夕食はと言うと、6時台。
どんどん早まっている。

なぜ急にそんなことを言いだしたのかといえば。
ツイッターのタイムラインに乗る、かつての同僚たちの夕食の時間である。

今も同じ職種に就いてることが多い彼ら彼女たちは、依然として夜が遅くなることが多く、夜10時台にようやく食べていたりする。
中には中々時間がとれず、終電で帰ってきて夕食となる人も、昼食すらままならなくて夜遅くに二回目の食事、になる人だっているのだ。

改めて、驚愕している。
そうならざるをえないスケジュールの過密ぶりもさることながら、空腹を抱えながら仕事が出来ることに対して。
私、無理です…

と同時に、食欲における自分の卑しさや我慢弱さを思い、恥ずかしくなってきた。
だって、夜の6時台や7時台に仕事相手と会う用事があると怖いくらいだもの。
腹が減って血糖値が下がると、集中力もやる気も落ちるもの。
そんな時打ち合わせできないよ、とばかりに念のため、まだ空腹でなくてもソイジョイなんかを食べておいたりして。

たまに昼と夜二食分の弁当を作ったりするが、節約のためや料理が好きだからといった理由で用意しているのではない気がしてきた。
咄嗟に夕食を買いに走れないくらい仕事が詰まっても、これですぐに空腹を満たせるという算段が、無意識のうちに働いているのでは…。

食が自分を支配するさまに、おそれおののく昨今である。

野菜の消費量、増える

2011-04-24 23:47:22 | 作りました。
<4月17日の食事>
朝:和良で買ったベーグル イチゴジャム ココア
昼:サッポロ一番・担々麺味(?)に肉と野菜を乗せて 緑茶
夜:鮭の塩麹漬け焼き パプリカ、キャベツの塩麹漬け 玄米ご飯 高野豆腐としめじの味噌汁 サントリーオールフリー

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気に入ったらそりゃあひとにも食べさせたい訳で、天然くんこと我が恋人が遊びにきたので、作りましたよ塩麹であれやこれやと。
彼はキャベツを漬けたものが気に入った様子。
鮭、さておかれた!ちぇ。

とにもかくにも気に入って、あれやこれやと塩麹を使っている訳だが、この2日ほど前に作った、鶏を漬けてからスナップエンドウと一緒に炒めたもの。
美味しかったなぁ。
思わずご飯をパクパクと食べてしまって、塩麹を知ってしまった自分がある意味不憫だなと感じたほどだ。

せっせと使っているため段々残りも少なくなり(半年は保つものなのに…)、これを書いている本日、二度目の塩麹を仕込んだところ。
ゴールデンウィークに間に合いそうなので、これを持って帰省するつもりでいる。

フルグラモーニング、そうか

2011-04-23 22:53:05 | 食雑記
<4月16日の食事>
朝:フルーツグラノーラ+バナナ+イチゴ+ヨーグルト にせチャイ
昼:パッタイ ランチバイキング(サラダ、スープ、カボチャのカレー)バナナのココナツ煮 @ティーヌン 青山店
夜:恋人と。カールスバーグ カシスビア 枝豆とサーモンのマリネ アボカドハンバーグ 栗のニョッキ @RAIN ON THE ROOF ・三軒茶屋

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まぁ毎朝のようにフルーツグラノーラを食べる私である。
その親しみ食しているフルーツグラノーラが、「フルグラ」と略して呼ばれていると知り、半ば衝撃を受けている。

略し方に気づいたのは、たまたま観ていたYouTubeの映像によってであった。
アメリカの14歳の女の子の歌う歌が、話題だという。
意訳を日本語の字幕でつけた、というものを観てみた。
それには「フルグラ」という見慣れぬ言葉が書かれていた。
だが文脈から察するに、それはフルーツグラノーラの事なのであった。

追ってツィッターにて「フルグラと略すものであること、カルビーの袋には『フルグラ』と印刷されていること」を教えてもらい、事実として確定した。

呆然とした。
愛するフルーツグラノーラに、そんな略称が与えられていたとは。
「レンジでチンする」を「レンチン」、シナモンレーズンを「シナレズ」と略すと知った時以来の、衝撃ではなかろうか。

何故略称を知らないか、また使わないかって、その言葉を発する機会をあまり持たないから、だと思うのである。
松山ケンイチについて頻繁に話す機会がなければ、「松ケン」とは略す機会も同時に持たないというのと同じように。

若手芸能の話であれば、それを話さなくなる己=加齢ということなのだろうが、この場合はフルーツグラノーラを愛好する人があまりいないからではなかろうか。

だって実生活でフルーツグラノーラのこと話さないもの。
例えば食べるラー油のような「流行商品」とは別ベクトルの、少し鄙びた食べ物だもの。
だからツィッターでたまたまフルーツグラノーラのことで盛り上がると、嬉しいもの。
胸に去来するのは、マイナーな趣味合いましたね!だもの。
でも「フルグラ」と略して呼ぶひとはいるのだから、場所によっては手堅く愛されている筈なのである。

この3月以降、流通や製造のとまった食品がいくつかあるが、実はフルーツグラノーラもその一つなのだった。
少し高級路線のスーパーに輸入品があるのみで、まず国産品は見かけない。
あったら奇跡、ってくらい見ない。
そしてまた、なくなっていることを話題にしたニュースやブログなども見ないのである。
…フルーツグラノーラ、どんだけ少数派か。

ないと騒がれていたヨーグルトや納豆は、段々復活している。
喜ばしい事だ。
だがフルーツグラノーラが置かれている状況は変わらない。
このままでは、安くてウマいセブンイレブンのフルーツグラノーラが食べられなくなってしまうのでは…と危惧している。
なくなりませんようにという願いを込めて、こうして地味にブログで訴えるとともに、少しでもメジャー感を与えるため「フルグラ」と呼び始める時期なのではないか、と思っている。

そういえば福岡でも屋台に行かずじまいだったのだ

2011-04-23 09:40:04 | 食雑記
〈4月15日の食事〉
朝:フルーツグラノーラ+イチゴ+ヨーグルト コーヒー
昼:お弁当(玄米ご飯、鶏とスナップえんどうの塩麹漬け炒め、ニラのごま和え、インゲン卵とじ、パプリカの塩麹漬け)
間食:SOY JOY・バナナ味
夜:塩親子丼(ローソンで購入) 豆乳

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この日は仕事で、タクシーを利用したのだった。
信号待ちの車中から、不思議な光景を見た。

大通りに面したところに、屋台がある。
おでんだったか、そこに屋台を出しているのは何となく覚えているから、そこまでは別段不思議ではない。

少し離れた車中から察するに、その屋台は随分小さいようである。
一畳分もないのではないのか。
その一畳未満にぐるりと一周、そこにぎゅうぎゅうと体を寄せあうように、5~6人ほどの人が腰掛けている。
そう、誰も彼もが座っているのであった。


実は屋台で食事をしたことはない。
だから聞きかじった情報や、ドラマなどを観て刷り込まれた知識ではあるのだが、屋台とは店主というものがいて、客とは屋台越しに対面し、立ってサーブするものではなかったか。

ところが、全員座って談笑しているのだ。
お得意さんと、和気あいあい一杯やっているのだろうか。
どれが店主かと更に目を凝らせば、どの人も会社勤めみたいな扮装である。

この格好でめしを作るのか?
それとも、ここからは見えない歩道側にいるのか?
それならば見えなかっただけで、そこで立って作業しているのかもしれないけど、お客さんをよそに自分が一番安全な歩道にいたりするものか?

少し目に入った屋台に疑問が次々と浮かび、目が離せなくなってしまった。
遠慮なしに見ていたら、さすがに気付いた客たちから、訝しげに視線を返される。
にしたって不思議なんだもの、と目が動かせない。

信号が青になって、ようやくタクシーが動く。
それに伴って、姿勢も正面に正すことにした。

あれはどういった屋台だったんだろうか。
解明するため、今度は徒歩で付近に近付かなければな、と思っている。

甘味と、願いを

2011-04-23 01:07:02 | 食とレビュー
<4月14日の食事>
朝:フルーツグラノーラ+ヨーグルト コーヒー
昼:菜の花とサーモンのキッシュ ニース風サラダ(以上2点、DEAN&DELUCAで購入)無調製豆乳
夜:お弁当(玄米ご飯、豚の塩麹漬け焼き、キンピラゴボウ、ブロッコリーのカッテージチーズ和え、したらばサラダ)

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読んだ、といえば、先月のはじめ頃、酒井順子さんの「甘党ぶらぶら地図」を読んだのだった。

47都道府県を甘味を求めて巡った紀行文である。
酒井さんのエッセイは普段からよく読むが、やわらかな文体の中にも鋭い洞察力が伺える通常のものと比べて、好きなものを愛でる視線に満ちた紀行文は、文章の美しさがよく分かりやすいなと思う。

さて、その紀行。
各地の伝統的なお菓子縛りで巡っているため、和菓子を中心に食べておられる。
どちらかといえば間違いなく洋菓子の方が好きな私でも生唾が溜まって仕方なかったのだから、和菓子好きにはさもありなんというところだろう。

尚、我が栃木県にて酒井さんが召し上がったのは、「冬に食べる」日光の水羊羹。
練り羊羹に比べて日持ちしない水羊羹だから、傷みにくい冬に作られたのが始まりらしい。
水羊羹が名物なのも、そのいわれも、恥ずかしながら存じませんでした…。
そういった、地元の者でも知らないような隠れた名品って、沢山あるんだろうなあ。

このエッセイが最初に掲載されたのが2001年、単行本として刊行されたのが2007年で、文庫本が出たのが去年の7月。
事実を伝えるエッセイにはつきものの、仕方ない話ではあるが、その間にも変化は起きる。
甘味の作り手がご高齢で、掲載後にお店をしまわれたり、亡くなられたり。
名人の息遣いが伝わるような生き生きした文章だからこそ、その悲しみや儚さが余計に感じられる。
描かれた世界を、刹那なものとして、とても愛しく思える。

そして3月に、世界は変わったのであった。
初めて読んだ時には、読み方が変わるなんて思わなかった。

酒井さんが東北新幹線で出会った、東京に進学が決まった高校生。
彼は今ごろ、二十代半ばかそれ以降といったところだろうか。
地元への愛情が強い青年だったけど、東京の大学を出た後、そのまま東京で仕事を見つけたのかな。
それともやっぱり帰ったのかな。

私にとっては見た目も声も名前も知らない青年な訳だが、酒井さんの文章に彩られ、とても身近に感じてしまったのである。
どうか悲しみに押しつぶされていませんように。
そんな事を願ってやまない2011年4月の夜である。

待ってましたの塩麹

2011-04-22 12:32:17 | DPZのお導き
<4月13日の食事>
朝:フルーツグラノーラ+イチゴ+ヨーグルト コーヒー
昼:お弁当(玄米ご飯、鶏とピーマンのトマトオイスター炒め、卵焼き、カボチャの煮物、サラダ)
夜:お弁当(玄米ご飯、鮭の塩麹漬け焼き、ニラのゴマ和え、おからこんにゃくと野菜の煮物)タニタ食堂の100kcalデザート・カスタード

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画面を見ながら、これほどまでに狂おしい気分になったのは久しぶりだった。
デイリーポータルZ、ライター馬場さんの書かれた記事「麹と塩と水で作る凄いうまい調味料」である。

この魅力は、私としては悲しいことだけれど、私のつたない文章を読むよりも、記事を見てもらえたら全てが分かる。
リンクを貼りましょう。
さあ、読んでください。
「麹と塩と水で作る凄いうまい調味料」

読みましたか。
涎を垂らしませんでしたか。
垂らしたでしょう。
以下は、言ってしまえばこの「塩麹」を作るのをトライしてみた、というだけの蛇足みたいな文章である。

作成・保存容器として、ヨーグルトを作ったとき買った1リットルのガラス瓶を用意。
煮沸消毒し、冷めるのを待つ間に、麹と塩を下準備する。
が、下準備もなにもやることは、馬場さんの記事にもある通り、麹をちぎって塩を計量して混ぜ合わせるだけ。
これを瓶に移し替え、ひたひたになるまで水を注ぐ。
蓋を締めたら、これからが勝負である。

いや、勝負もなにも、一週間から10日ほど、室内にほったらかしにしておくだけだ。
だが、美味しいものが徐々に出来ているのを分かっていながら、10日待つのって中々に根気がいるもので、そういった自分の堪え性との勝負である。
従って、日に一度スプーンで撹拌しながら、そわそわして落ち着かなかったのであった。

仕込んで、4日か5日ほど経った頃だろうか。
粒状だった麹がだらりとなれ、それまで無臭だったのが、出汁のようないい匂いを放つようになってきた。

という変化を、観察日記よろしくツイッターに書き込む。
いい匂いがしたけど舐めるのを我慢、とも書き込んだところ、馬場さんご本人からまさかのリプライが!
舐めてみて、味の変化を楽しむのも面白い、と。
その発想はなかった。
ご指南ありがとうございます!

出来上がるまでの間にも舐めてみてよしと、先生のお墨付きをいただいたのだから、早速翌日の撹拌時に味見してみる。
!!!
柔らかいな匂いに反して、かなり、しょっぱい。

考えたら、200gの麹と300ccほどの水に対し、塩は60gも入っているのである。
しょっぱいのも当然といえば当然か。
これが時間をかければ調味料としてそぐう塩気になるわけで、発酵というものが益々面白い。
以降、毎日掻き混ぜる度に味見していったが、なるほど味がまろやかに穏やかになっていき、感心させられたのであった。

仕込みから10日。
形状も味のうえでも、だいぶ角がとれたように思う。
匂いは更に魅力を増し。
よし、これにて完成としよう。

待ちに待ったのだから、即味わいたければ野菜に和えたりすればいいのだが、まず試したかったのは肉や魚を漬けて焼くもの。
鮭と豚肉を買ってきて、塩麹と馴染ませて。
また1日我慢の子である。

そうして出来たのが、この写真にある焼き鮭である。
…弁当箱に入ってるし、原型をとどめてないしで、分かりずれぇ。
結論を言えば、気に入ったもんだから毎日使っていて、後日もっと分かりやすい形で使っているのだが、一刻もはやく伝えたかったのだ。
御免被りたい。

で、肝心の味ですよね。
塩ベースなんだけど塩だけではない、この穏やかな旨みはなんて形容したらいいのか。
が、「旨」という漢字が、何とも適材適所である。
アミノ酸の泉に舌が抱き込まれているようだと申しますか。
って、よく分からないですね。

つまりは、そこのあなたも試すっきゃない。
今はそんなゆとりがないならば、心のメモに控えてほしい。
旨いですよ。
改めて、記事を書かれた馬場さんと、掲載されたデイリーポータルZには感謝の意を表します。
ありがとうございました!