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ほぼ是好日。

日々是好日、とまではいかないけれど、
今日もぼちぼちいきまひょか。
何かいいことあるかなあ。

ゆれる

2008-02-20 | 観ること。

           「ゆれる」


ずっと、観たいなあと思っていたオダギリジョーの話題作「ゆれる」。
冬ごもりの連休に、ようやくDVDで観ることができました。

ふと目にする雑誌の広告やポスターで、
法廷シーンのオダギリジョーのあの暗い表情を見るたび、
どきどき、そわそわしてました。
観たいけど、なんだか重~いものを抱え込んでしまいそうで。

実際、最近ハリウッドの娯楽大作しか観ていない私には、
非常に重く、そして、とても見応えのある作品でした。

観終わってまず最初に感じたのは、
なんて上手い役者さんたちなんだろう、でしたからね~(笑)

複雑な内面を表現するわずかな表情の変化、
人生すら感じさせる無言の背中、
とても意味を持つ何気ない会話、
ドキッとさせられる映像。

対照的な兄弟を演じる香川照之さんとオダギリの演技は、
寡黙でありながら演技に内面が滲み出てくる香川さんと、
一見派手そうで、淡々と複雑な心境を演じるオダギリの、
緊張感漂うものでした。
何度、息を詰めて見ていたことか・・・。

兄弟という、かつては一緒に暮らし、
血は繋がっていながら全く違った個性を持ち、
別々の人生を送る複雑なつながり。
その心の深淵にあるものは何なのか。

吊り橋から転落死した女性をめぐり、
事故なのか事件なのか、何が真実なのか。
観ているこちらも、心はゆれまくっています。

そしてラストシーンを観ても、
果たしてこの兄弟は、この後どうなってしまうのだろう、
と気がかりな思いを残したまま終わってしまうのです。

あの、揺れる吊り橋を渡ったときから、
もうもとへは戻れなくなった兄弟の思い。

その兄弟の間で(というか、弟のせいで)
揺れ動き、切ないほどの思いを抱いて、
転落死してしまった女性が哀れでした・・・。

先日、日本アカデミー賞で「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」が
意外にも(!)たくさん賞をとりましたが、
私はこの「ゆれる」のほうがずっとよかったと思いました。
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数学者の狂気

2007-10-23 | 観ること。
きのう、興味深いテレビ番組を見ました。
NHKスペシャル「100年の難問はなぜ解けたのか ~天才数学者失踪の謎~」

自慢じゃないけど、私は数学が大の苦手です。
小学・中学では得意だったのに、
高校1年の1学期の中間テスト以来、
数学はあっさり捨てました

ところが数年前『博士の愛した数式』を読んで、
軽いショックを受けたのです。

もちろん、初めて読んだ小川洋子さんの
作品の持つ透明な空気感にもですが、
何より私の知らなかった数学というものの世界に対して。
そして、その数学からこんな美しい小説が生まれることに。

それをきっかけに『世にも美しい数学入門』を読み、
見るだけで虫酸が走る数式に隠された美しさを知り、
ここでもカルチャーショックを受けたのでした。

どうして学校の数学の先生たちは
こういうことを教えてくれなかったの?

まあ、教えてもらったからといって、
私が数学ができるようになったとも思えませんけどね。


そんなこともあって、
昨夜のNHKスペシャルに興味を持ったわけです。
(それも中間テスト最終日を控えた長女を巻き込んで)


「ポアンカレ予想」って、聞いたことありますか?

100年もの間、誰も解くことのできなかった
数学の難問なのだそうです

「単連結な3次元閉多様体は3次元球面に同相である」・・・???

番組では、ロケットにロープをつけて宇宙をぐる~っと一周したとして
ロケットが地球にもどってきてたとき、
そのロープをたぐりよせて回収できたら
宇宙はだいたい球形である、みたいな説明をしていました。

? ? ?

つまり、宇宙がドーナツみたいな形だったら、
ロープは回収されない。
(真ん中の輪のところでロープがひっかかるから)

このことを証明するのに、この100年間多くの数学者たちが
気が遠くなるような時間を費やしているんですね。

一生をこの難問に捧げ、証明できず死んでいった数学者たち。
証明の手前まできて、あきらめた数学者たち。

一体何がこれほどまでに数学者を魅了し、
(私たちから見れば)狂気の世界へと追いやるのでしょう?

1本のペンとノートで描き出される数学の世界。
そこから無限に広がる数式の世界。
数字だけで成り立つ独立した世界。

美を追求する芸術家でも、
何かを発見・発明する科学者でもなく、
それが証明されたからといって、
人類のどんな役に立つのかさえわからないような、
だからこそある意味とても純粋な(?)学問。

正直言って私には、そんな難問を証明するために
人生のほとんどを費やす、あるいは犠牲にする人たちを理解できません。
それなのに、いえ、それだからこそ?気になってしまうのです。

彼らは一体何を求めているのだろう、と。


数年前、このポアンカレ予想は
ひとりの数学者によって証明されました。
その功績を称えて彼に数学のノーベル賞といわれる
フィールド賞が贈られることになりましたが、
本人はそれを拒否し、表舞台から消え去りひっそり暮らしているそうです。

う~む・・・

コメント (5)
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ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 その2

2007-08-11 | 観ること。




この映画は次女と見に行ったのですが、
先日長女も友達と見に行き、
ようやく親子でネタバレO.Kで感想が言えるようになりました。

映画を観て京都から帰ってきた長女の第一声は、
「あの黒犬がかっこよかった~

わざわざ京都まで観に行って、それか~

他にもあれこれ賑やかに、原作との違いやなんかを
おしゃべりできました。
(私なんかと違って、子どもたちの記憶力はすごいです)


その1では、小ネタばかりばかり書いてしまいましたが
映画の内容についての感想も少し。


まず、なんといってもアンブリッジ先生ですねー。
原作でも、ほんっとにイヤな先生でしたが、
映画ではなんともいえない存在感がありました。

この映画、彼女役の演じ方によって
雰囲気ががらりと変わってしまうのではないでしょうか。

原作ではたしか、ガマガエルみたいな先生となっていましたが、
映画ではピンクの衣装に身を包んだ、一見ニコニコした優しそうな先生。
だからよけいに怖さ倍増。

「んふ」とか笑いながら、
次々と規則を増やし、ホグワーツを支配しようとしていきます。

自分が一番えらい、自分が一番正しい、
自分の言うことさえ聞いていれば間違いはない。
そう信じている教師ほど手に負えないものはありません。

自分に反抗的な生徒には、
残酷なまでに厳しく抑えつけようとします。

その役どころを、コミカルなんだけど笑えない、
妙に現実感のある人物として演じられていました。

規則でがんじがらめにしようとする彼女に対し、
フレッドとジョージが最後に派手にやらかして、
学校を出て行くシーンは思わず拍手~

フリットウィック先生のガッツポーズがよかったですね~。


出番は(まだ)少なかったけど、
印象的だったのはベラトリックスでしょうか。

予告編を観たとき思わず、わっきれい!と思ってしまいました。
狂気を含んだ美しさというのは実にコワイです~。

本ではシリウスとベラトリックスの戦いの場面がありますが、
映画では意外にあっけなくて。

え~っ、こんなに簡単にシリウスが~
と思わずにはいられませんでした。

まあ、あの長い原作を映画にするのだから、
ある程度省かれても仕方はないのですが、
ハリーたちがデスイーターと傷だらけで戦ってる場面とか、
ちょっと物足りない感じ。

予言に関しても、あれだけでいいの?って感じで。
ネビルのこともさら~っと流されてたし。
ネビルとスネイプは、キーパーソンだと思ってたんだけどなあ。


スネイプといえば、ハリーの親世代が大好きな長女は、
今回親世代の映像があると心待ちにしてたんですよね~。

スネイプから閉心術を学ぶハリーが見てしまった、
若き日のジェームズのスネイプに対するいたずら。

・・・ほんの一瞬でした~
誰が誰だったのか・・・。
スネイプは、いかにも若きスネイプって感じでかわいかったけど
リーマス大好きの長女はがっかりしてました。

あとスネイプがロンの頭をばしって叩く場面、
あのスネイプが、アンブリッジにまじキレてるよ~と笑えましたね。


不死鳥の騎士団のメンバーをはじめ、
ルーナや新しい登場人物もよかったです。

ただね~、ハリポタってやたらいろんな人物が出てきて、
とてもじゃないけど覚えられません。

最初名前だけでてきたような人物があとで重要な人物だったり、
忘れたころに出てきて、どこかで見た名前だぞ~と、
他の巻を引っぱり出してきたり。

記憶力を失いつつあるオバサンは大変です。
人物と呪文の一覧表がほしいですね~



ハリポタではありませんが、予告編で観た「黄金の羅針盤」。
あの原作をどう映像にしてるのか。
すっごく気になります。

コメント (2)
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ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 その1

2007-08-08 | 観ること。



ようやく観に行ってきました。
ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団。

実は、初めて予告編を観たとき、
あ~、なんだか、もうハリポタじゃないみたい・・・。
今回は映画館まで足を運ばなくてもいいかな~。
って、思ってたんです。

ダニエルはもう青年って感じだし、
映像になったホグワーツを見て、うわ~っって感じることもなく、
戦いがメインになってるように思えたし・・・。

それが、どういうわけか京都まで観に行くハメに・・・。


確かに、もう子供向けのファンタジー、というわけではありません。
それは原作がそうなっていくわけで、
彼らも一歩一歩大人に近づいているのですね。
それゆえに、よけい孤独を感じたり、悩んだり、恋をしたり。

だから、私が最初に感じた「わくわくのホグワーツ」
ではなくなって、ちょっと淋しいです・・・。


でもね、だからこそ大人の観客として私が、
胸にじーんときたり、うるうるしたのかもしれません。

そう、今回けっこう真剣に観てたのです。
いつもは映画の内容というよりは、
この場面はどんな映像になっているのかな~、
という楽しみでしか観てなかったのに。

今回映画に共感できたのは、
登場人物に現実感を持ったからでしょうか。

あのアンブリッジ先生には心底腹が立ったし、
ファッジの自分の保身しか考えてないところとか、
今の世の中にうんざりするほどよく似てて、
ハリーたちと同じように怒りを感じました。

ダンブルドア軍団をつくって、
自分たちで防衛術を練習しているところなんか、
みんながんばれ~!って差し入れでもしたくなりました

あのネビルまで、ちゃんと術をこなせるようになったんですからね~。
拍手したくなりますよ。
みんなずいぶん成長したよね・・・


ところで。
ハリポタの読者としては、
すでに6巻までのストーリーを知っているわけですが、
今回それをふまえて映画を観ると、
なかなかおもしろいことに気がつきます。
*以下、本に関してのネタバレあります。6巻を未読の方はご注意ください。

この映画で話題にもなっていたハリーとチョウ・チャン。
キスシーンまであり、ハリーの恋も一瞬うまくいくのかなあ、
みたいな展開ですが、もちろんそう簡単に初恋は実りません(笑)。

チョウの次にハリーが気になるのはジニーです。
そのジニーが、ハリーとチョウの恋の行方をなんとなく
気にしているようなそぶりをしてるんですよね。

ふたりが必要の部屋で居残りする場面だったか
(違う場面だったかもしれません)、
部屋を出て行くときにふたりを振り返ったり。
ちょっとジニーに注目してるとおもしろいかも。

それと、ダンブルドアが今までと違って、
なんだか人間くさくなってるように思いました。

今まではダンブルドア=偉大な魔法使いでしたが、
彼も感情を持つひとりの人間(魔法使い)なんだ、みたいな・・・。

6巻でも、ダンブルドアがハリーと
ホークラックスを探しに行ったとき、
弱々しくなった場面がありましたよね。
(読んでるこちらまでつらくなるような場面でした)

7巻では彼の過去も語られます。
いったいどんな過去があるのでしょうか。

ダンブルドアといえば、ヴォルデモートとの対決シーン、
すごい迫力でした。
おお、さすが~。

ダンブルドアといい、ガンダルフといい、
年をとっても現役で戦える魔法使いって素敵ですねー

ちょっと気になったのは、ヴォルデモートの衣装。
あれって着物?
胸で合わせてあって、袂みたいなのがあって、
しかも上に羽織っているのは羽織みたい?

ヴォルデモートが和服愛好者とは知らなんだ~

                     
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東京タワー オカンとボクと、時々、オトン

2007-07-12 | 観ること。



今さらですが、「東京タワー オカンとボクと、時々、オトン」観てきました。

私の住むこんな田舎町の映画館で、
オダギリジョーの映画をするなんてこと、まずありません
(これまで「忍」だけでした~)

「東京タワー」が全国的に封切りになったときもやらなくて、
話題の映画なのに~、と思っていたら今ごろ・・・


ただ、今回観るかどうしようか、実は迷ってたんです。

リリー・フランキーさん原作の小説
『東京タワー オカンとボクと、時々、オトン』。
タイトルからもわかるように、母と息子の物語です。

実はこのテの話はちょっと苦手。

母と息子の関係に比べると、母と娘の関係って、
どこか微妙だと思いませんか?
母親への思いが、息子ほどストレートでない、というか・・・。

私は娘だし(しかも三人姉妹の)、子どもも女の子ばかりで、
母と息子の愛情ってよくわかりません。

以前、男の子と女の子と両方のお子さんを持つお母さんが、
「男の子って、かわいいよ~」と言われるのを聞いたことがあります。

身近にも、男の子の方を可愛がってるなあ、と感じることが多々あって、
母親にとって、息子というのはそんなに特別なものなのか?
という素朴な疑問があるわけです。

娘の場合、自分の経験上ある程度突き放しても大丈夫、
というのがわかりますが、息子だとそうはいかない。
つい、放っておけなくて、と言われるのも聞いたことがあります。

それに、同性として見る目の厳しい娘と違って、
息子は優しいのでしょうね~。


まあ、そういうこともあって、
この映画も母と息子の美談だったらいやだなあ、
という思いがあったのです。

そういう面が無きにしも非ず、ですが、
泣かそうと思えばいくらでも泣かせることができる映画なのに、
そうせずに淡々と描いていたことには好感が持てました。

樹木希林さんは、それこそ「ジュリ~」のころから知っていますが、
(若い人にはなんおことかわからないでしょうね・苦笑)
たいした役者さんですね~。
自然で、表情豊かで、ほんとに「オカン」って感じでした。

若いオカン役の内田也哉子さんも初々しくてよかった~。
内田也哉子さんから樹木希林さんに替わるときも、
自然な感じだったし、さすが親子!という感じ。

オトン役の小林薫さんも、若い役はちょっとムリがあるなあ
思いつつ、身勝手だけれど憎めないオトンを演じておられました。

そしてボクのオダギリ。
この人には本当にいろんな表情があるのだなあ、
と思わずにはいられません。

いつも奇抜な格好で目立ってる彼だけど、
そして映画のなかでもピンクのシャツにピンクのパンツ、
なんてありえないファッションですが、
けっして目立ってはいないんですよね~。
(この服装の色合いが、心境を物語ってた?)

語り役ということもあるのでしょうが、
個性的なオトンとオカンの間で、
淡々と演じていたように思います。

原作も読んでないし、ドラマも観ていませんが、
オダギリが一番ぴったりだったんじゃないでしょうか。
情けな~いところがよかったです~

ただね~、お通夜の晩、オカンの横に寄り添うように寝る場面は
ちょっと引いてしまいました。
恋人とか夫婦、子どもにだったら理解できるけど、
母親に対してそこまでするか~と思うと・・・。

息子って、そこまで母親に愛情を感じてるものなのでしょうか。
あれでは、彼女が見たら引くよ~。
(というか、嫉妬するかもしれない)


都会で、田舎に暮らす母を思う世の息子たちは、
この映画を観て泣くのかな。
それだけ母親に対する思いっていうのは深いのですね。

そういう母親にはなれそうにないなあ・・・


この映画を観て一番驚いたのは、
リリーさんが私より年下だとわかったこと。

子ども時代の炭鉱町の様子を、
ずいぶん昔の話だなあと思って観てたんです。
私の子ども時代もこんなもんだったのか~、と、
改めて気づかされました。
そういえば、道路だって舗装されてなかったなあ・・・。

ある意味、誰もが自分自身を振り返り、
ちょっぴり懐かしむ映画なのかもしれません。
コメント (4)
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