先付けの後に出てくる『前菜』。「子持ち鮎」、「蓮根豆腐」、「車海老酒煮」、「栗利休焼」、「紅ずいき」。そして、工夫が感じられたのが、手前の「無花果に生ハム添え」。濃厚にしてあっさりとした無花果の果肉の味と塩味の効いたプロシュートの相性がとても素晴らしかった。この一品を担当した板前さんは、フレンチ懐石を参考にしたのかな…、とも思ったり。
箱根仙郷楼の長月(9月)懐石は、食前酒・先付けに始まり、留め椀・水菓子まで13品。料理の一つ一つからは、板場の創意・工夫が感じられ、一品一品は、熱いものは熱いうちに、冷たいものは冷たいうちに間合いよく部屋に運ばれる。そこには、板前さんと仲居さんの呼吸の合った連携が感じられ、料理の旨さを一層引き立てていた。その幾つかを見てみると---。