゛まるかん人゛プラトーク

元気とキレイを追求すると、人生は楽しく過ごすことと・・・!?

時代の肖像<大工 阿保 昭則さん(51)>

2008-04-24 10:52:00 | 人物100選

 「良い家」とはどのようなものですか                                            天然素材で安全を追求

100_0430 だれしも「良い家」に住みたいと思う。では、「良                           い家」とは、どんな家だろう。1998年、全国の腕                          利き大工でつくる「削ろう会」の大会で、阿保昭則                          さんはカンナの薄削りの日本記録を出した。厚さ                           3ミクロン(1000分の3㍉)。五枚重ねても、新聞                           の文字が見える薄さである。「日本一の大工」を目指して研さんを重ね、              それほどの技術を持つ阿保さんでも、「家づくりは難しい」という。「お                           客さんがどんな家を求めているか、それを見極めることが一番難しい。                          自分が満足しても、お客さんに心から喜んでもらえなければだめなん                          です」

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故郷は、白神山地に近い、青森県の小さな村。子供のころから物づく                          りが大好きで、中学を卒業して地元の大工に弟子入りした。「学ぶこと                          がなくなり」、三年目には親方の元を飛び出して、札幌などの建築現                           場で就業。20歳のときには、一人で親の家を建てた。腕の良い大工                           として、多くの住宅の建築を手がけてきた阿保さんに転機が訪れたの                         は、不惑を迎えようとするころ。現場で化学物質を多量に含む新建材                           を扱ううちに、体調を壊してしまったのだ。「それまでは、あまり疑問も                          なく、きれいだからと新建材を使っていたんですよ。でも、つくっている                          自分の体もだめになる家が、住む人の体に良いわけがない。健康で安                         全に暮らせる家でなければ、つくる意味がないと思ったのです」しかし、                         使われる身では不本意な仕事もしなくてはならない。「自分が納得ので                         きる家だけを建てたい」と、2000年に千葉県の大綱白里町で「耕木社」                         を設立。三人の職人とともに、注文住宅の建築と木の家具づくりを行っ                           ている。

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大工になって35年。木やしっくいなどの天然素材と、在来の木造軸                           組工法に徹底してこだわる阿保さんは、「社会が豊かになるにつれ、                           日本の住宅の質は、どんどん落ちてきた」と憂う。「化学物質を含む                           新建材を使い、工場で加工された部材を現場で組み立てるだけの                            住宅が増えてきた。その方が、住宅メ-カ-も大工も、楽してもうか                            るからです。確かに見た目は良いのですが、それが住む人に良い                            家と言えますか」大工の技術の低下も、気にかかる。「一人前の技                            術を持つた大工は、今や全体の3%もいないでしょう」原因は、部材                           を現場で組み立てるプレハブ建築や、前もって機械で木材を寸法通                           り加工するプレカットが主流になり、職人技が必要とされなくなつたた                          めだ。技術を伝えようと、阿保さんは専門学校などで、大工就業を志                           す若者の指導にも力を入れている。「大工を一生の仕事と考えてが                            んばっている若者も多い。そんな子は、基礎からきちんと育ててやり                           たいから」天然の素材と、大工の技術。阿保さんは、それに加えて、                           「良い家には美しさも必要」という。「これからは、大工もデザインを勉                           強しなくてはいけない。大工の都合で、つくりやすい家にするのでは                           だめ。昔の民家が美しいように、今の住宅にも時代に合った美しさが                          求められていると思います」そして、最後に必要なのは「心」だという。                          住む人の安全と健康を考え、好みを理解して家をつくること。「その心                          がなければ、お客さんに喜んでもらえる家にはなりません」阿保さん                           は今、化学物質過敏症に悩む人からの家づくりの依頼を、優先して                           受けている。「聞くと、みんさん本当に苦労されているんですよ。こん                           なに苦しんでいる人のために、天然素材で安全な家をつくるのは、自                          分の義務だと思うんです」天職という言葉が、とても似合う人である。

あとか゛き=阿保さんは、昨年10月に出した単行本「大工が教える                           ほんとうの家づくり」で、これまでにつくった家の間取りや坪単価を詳                           しく紹介している。技を伝えるため、現在手がけている住宅建築現場                          の見学も、可能な限り受け入れている。                                           問い合わせは、同社℡0475・72・2162(ファックスも)へ。

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発売日:2007-10

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