kosukeのきまぐれWORLD

アイドルやら音楽やらスポーツやらを好き勝手に語ります。

NFL・・・時間との戦いを体現してくれたウェストブルック(イーグルス)

2007-12-20 22:06:12 | NFL
私のブログにおいては登場回数も少なく、また、時期も冬季に限られるNFLネタではありますが、今日は、NFLはなんとも奥の深いスポーツだということを、あらためて思い知らされました。

ほとんどすべてのボールゲームに共通のテーマ、それはいかに相手より多く得点するか、それに尽きると思うんですね。テニスや卓球、バレーボールなどは、相手より先に一定のポイントを取れば勝ち、というシステムですし、サッカー、ラグビー、バスケットボールなどは、試合時間終了時に得点を多く取っていた方が勝ち。
後者の試合では、リードした側が、意図的に意味のないパスを回して時間を稼ぐというシーンもよくあることです。サッカーなんかは、時間稼ぎのディフェンスのパス回しなんて、当たり前です。
しかし、NFLはちょっと違うんですよ。確かに、時間が限られた競技ですから、リードした場面で、相手に攻撃の時間を与えなければ、勝ちということは他のスポーツと同じです。ただ、NFLの場合、極端なケースとしては、数秒の間に、ロングパス1発でタッチダウン(7点)取られる可能性がある競技なんですね。そこまで極端じゃなくても、1分あれば7点返すのは、まんざら珍しくないです。
したがって、NFLの試合では、終盤になると必ず言われるのが「タイムコントロール」です。点を取りには行きたいが、相手に攻撃時間は残したくない。ならば、点は取れずとも、攻め続けてさえいて、インターセプトやファンブルといった、ミスで相手に攻撃権を奪われなければ、負けないわけです。

そして、今日のその時、イーグルスのランニングバック(ランニングバックというのは、攻撃の際、相手ディフェンスの隙間を狙って、ボールを持って走って、距離を稼ぐポジションです)、ウェストブルックの度肝を抜くプレーは、試合終了約2分前に起こりました。

4点リードのイーグルス。タッチダウンを取れば、11点差となり、相手のカウボーイズにとっては、2回の攻撃権を得て、タッチダウンを2つ取らなければ勝てない状況。残り時間2分では、2階の攻撃権を取るのは、ほとんどまぐれに近いです。だったら、イーグルスがタッチダウン1本入れて、点差を広げた方が、勝利に近づくだろう・・・ふつうはそう考えます。そして、そのイーグルスは、終了2分までにゴール前まで攻め込んでいて、得点のチャンス!

ここで、もうひとつ言っておきたいのは、NFLは記録を重視する競技なんです。タッチダウンを取った回数、タッチダウンパスを投げた回数、はたまた、パスを通した距離から、ボールを持って走った距離まで、すべてが記録される競技なんですね。そういう背景をご理解いただいた上で、続きを・・・

ここで、イーグルスのエースランニングバック、ウェストブルックが、ボールをもらって走り出しました。残り時間は2分を切ってます。彼は何人かのディフェンスをかわし、そのままタッチダウンが取れる状況まで走りました・・・タッチダウンをとればさらに7点差をつけることができます。そのかわり、残り1分数十秒ではあっても相手に攻撃権が移ります。相手に攻撃権が移った場合、理論的には、1分あれば2タッチダウンを取ることは可能ですから、相手のカウボーイズにも勝ちの可能性が残ることになります。

そんな状況で、ウェストブルックがとった行動・・・それは、タッチダウンをとる直前の位置で、自ら前進を止め、得点をとることをやめ、自らのチームに攻撃権を持ち続ける・・・すなわち、時間を使うことを選択したのです。タッチダウンをとれば、それは彼の記録になります。ランニングバックというポジションは走った距離ととったタッチダウンの数が、選手の価値を決める尺度ですから、普通は、チャンスがあればタッチダウンを取りに行きます。それによって、点差も開くわけで、チームの勝利に近づくわけですから。

でもウェストブルックは、敢えて、タッチダウンを捨て、相手に次の攻撃権を渡すことを防いだんです。ゴールライン前1ヤードで、走るのをやめたんです。
これは、細々とながら、長いこと、NFLを見てきた私にとっても、意外なプレーンでした。結果的には、そのプレーに続くイーグルスの攻撃が、残り時間をすべて費やしたことで、相手に次の攻撃権を与えることなく、4点差でイーグルス勝利となりました。

つまりウェストブルックという、NFLを代表するランニングバックが、自らの記録の上乗せを捨ててまで、この試合の勝利のため、時間を使うことを選択したわけです。
サッカーで例えるなら、得点王を狙うストライカーが、ゴール前フリーでパスをもらって、ゴールは当然、というところで、バックパスして、時間を消費した、って感じなわけですよ。

なんか、文章で書いてても、全然、その瞬間のインパクトを表現できないもどかしさを感じてるんですが、今日のこのウェストブルックのプレーこそが、時間との戦いであるNFLの奥の奥のそのまた奥の深さを思い知らされたプレーだったなあ、ということが言いたかったんです。

ちなみに、敗れたとはいえ、カウボーイズは地区優勝でプレーオフ進出決定。勝ったイーグルスは、いまだプレーオフ出場権争いをやっている状況。なんとも厳しいNFLの戦いを垣間見ました。この、勝つための本気度というのが、NFLの魅力なんですよね。

しかし、今日のウェストブルックの最後のプレーは、しびれました。たぶん、今後私は彼を応援することになるだろうと思います。それくらい、格好は悪いけど、価値ある1プレーでした。

最新の画像もっと見る

コメントを投稿