2017/08/02(日曜日) 曇り
前々から気になっていたことだけど、発振回路の実験をすると使っていたトランジスタの
hFE(直流電流増幅率)が“2”とか”4”とかの異常に小さな値になってしまうことが
ある。
でも、(そのトランジスタも含めて)発振回路は正常に動作しているように見える。
何でなんだろう?
ことの起こりは昨年の10月頃から始めた120MHz受信用超再生受信機工作でのことだった。
超再生受信機工作はなかなかうまくいかず、あれこれ試行錯誤を繰り返していた。
使用したトランジスタは超高周波用?のfT(利得帯域幅積)が6.5GHzというものだった。
オイらは「トランジスタは熱に弱い」ということに気を使っている。
それで、工作中トランジスタを取り外すことがあったら必ずhFEを測定して正常か否かを確認している。
(現在ではあまり気にしなくても良いみたいだ。 昔はゲルマニュームを原料にして構造的にも
熱に弱いものだったが現在はほとんどのトランジスタがシリコンを原料にして構造も熱に強く
なっているらしい。)
超再生受信回路の発振がうまく起きないのでトランジスタを調べてみた。
すると何と通常は150以上あるhFEが“18”に低下しているではないか。
何か過大入力か過熱させて不良にしてしまったと判断して廃棄して新しいトランジスタと交換していた。
ところがこれがかなり頻繁に起こるのだ。
トランジスタの在庫が無くなり、追加注文をするほどだった。
しかし試行錯誤を繰り返すうちに超再生受信機は何とか完成して、この問題はうやむやにしていた。
そして今回のアップコンバータ、ダウンコンバータの工作で再びこの現象にぶつかり、多分“2”とか
“4”とかの異常に低いhFE値は偽数値(?)ではないか・・・と考えた。
まだ使用していないトランジスタ(2SC3355)のhFE。 156もある。
規格表では最小50、標準120、最大300と書いてある。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0e/d7/3d6ce2cf0830bb199e29cf4af6c99a18.jpg)
実験中に取り外したトランジスタ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5a/e3/2df256794895697f940e2a46747ad635.jpg)
取り外したトランジスタを測定したhFE。 たった4しかない。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/33/97/9c11f7f61f9b2d43ec9e9fa3169cc89c.jpg)
実際にはこの“数値”ではなくもっと大きな数値で正常に発振動作をしているのではないか?
と思い、“原始的な方法”でhFEを測ってみた。
測定回路はこんなもの。
トランジスタのベース電流とそれに対応するコレクタ電流を測定してその比率(hFE)を測定してみる。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/45/ed/a05423ce357eab5c8bbb7efff910eee8.jpg)
測定の様子。 電源はすべて乾電池を使用した。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/4d/ba72a9c1de098599d40a4994905fc624.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7d/b0/3d2910032cdce93a9c7679fa0ea1b9e3.jpg)
コレクタ電流が1mAのとき、ベース電流は62.1μAだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/57/75/76c2e30a7f582f677486aa1b76488db3.jpg)
コレクタ電流が10.1mAのときベース電流は230.1μAになっている。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7e/57/d8b9825cecec3cab26095131dd091356.jpg)
コレクタ電流とベース電流の比がhFE(直流電流増幅率)であるから、おおよそ40ぐらいだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/10/dd/abfba8def1c3b3a667aa5e594a2393a9.jpg)
規格表の値とは大きく異なるが、少なくても“4”ではないことは確かだろう。
再度トランジスタを半田付けしてテストしてみた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/13/41/7b6a5561517b338b909610280b010c3a.jpg)
HDSDR(ソフトウェアの名前)で発振スペクトラムを確認してみると、1100MHzで発振している。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/9e/bb6e35c60b0ed0b2f67f4956d7f98a56.jpg)
何で使用前では150と表示された値が実験中には“4”何ていう値になるんだろうか?
半田付けの熱を加えたり、発振エネルギが大きくて過大な帰還電圧が加わったのかな?
トランジスタの接合面とか結晶構造とかが変化(劣化)してしまったのかな?
それでも1100MHz(1.1GHz)もの高周波で発振するのはなんでだろう?
発振するからには増幅作用はしているっていうことだろうか?
発振は増幅度が低くても大丈夫なのかな?
(CR発振回路では増幅度は3倍以上あれば良いとか?)
まぁ、オイらぼんくら頭ではいくら考えたって解りっこない。
いろいろ実験して面白ければそれでいいじゃないか・・・・・・(納得・・・)
以前からパワートランジスタのような大きなベース電流で駆動するものは
テスターに付属するhFE測定器では測定不能ということは存じていましたが、
まさかこの小さなトランジスタが大ベース電流で駆動しているとは・・
まっ、いずれにしてもこのトランジスタは実験で使用する前は
テスタでも測定できたんですからその後の実験で使用した結果、
状態が変化(劣化)したのは間違いないと思います。
発振回路では過酷な条件で作動してるんでしょうか?
今度は通常の増幅回路で作動させてhFEが減少するか調べてみます。
でも、もうトランジスタの在庫が1個になってしまいました。
再注文しなくっちゃ(笑い)
https://www.icom.co.jp/beacon/kousaku/001790.html