古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

成年後見制度

2015-03-05 09:21:05 | 日記
こんにちは。古森病院@福岡市博多区 です。

今日は成年後見制度についてのお話です。
判断能力が知的障害や精神障害、認知症などにより低下している方のための制度です。

昔は禁治産者とか準禁治産者などと言われ、認定されると戸籍に載ったりしておりましたが
現在は人権の観点から 名称が変わり、また戸籍に情報が載ることもなくなりました。

制限行為能力者 
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%88%B6%E9%99%90%E8%A1%8C%E7%82%BA%E8%83%BD%E5%8A%9B%E8%80%85

また後見の認定となると、従来選挙権がなくなったりしておりましたが
先般、裁判をきっかけに法律が改正され、そのようなことはなくなりました。

http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/news/touhyou/seinen/
http://www.tokyo-jinken.or.jp/jyoho/62/jyoho62_interview.htm

この法律をきっかけに 施設内投票の外部立会人が施設の努力義務とされ
当院でも実施しております(過去記事あり)。今度また県知事選挙が行われるとのことで
最近、事務部門を中心に、選挙に敏感になっている当院です。

当院にも高齢化社会を反映し、援助人のついた方が入院されることがあります。

成年後見には任意後見制度、法定後見制度があります。
もともと知的障害などがあり判断能力が乏しい方の援助や、予め自分が認知症になることを見越して、
どなたか決めた方と公正証書で契約を交わし、 
判断能力が低下した時点で援助を開始するシステムが任意後見制度です。

法定後見制度は家庭裁判所に対し、本人及び親族、身寄りの方と音信不通の方や身寄りのない方などは
市町村長(緊急の場合、地域包括支援センターが窓口になります)、その他
法定援助人、検察官などが成年後見制度の申し立てを行い、医師の「判断能力が低下している」という
診断をもとに(専門の鑑定人が出てくるケースは少なく、主治医の診断書でよい)
家庭裁判所が援助する人を親族や 援助人になってよいという法律職や福祉職のボランティアリスト
(弁護士さん、司法書士さんや社会福祉士さん)から選定します。
この選定は申し立てから早くても1か月、どうかすると数か月の時間がかかります。
その後 2週間の異議申し立て期間を超え、誰も異議申し立てをしなければ、ようやく
援助人が正式に決定し、援助を開始します。援助人には法務局の発行する援助人の証明書があり、
必要時には提示した上で、援助を開始します。

登記事項証明書
http://houmukyoku.moj.go.jp/fukuoka/static/arukotonomi3.html

法定後見には 残存判断能力の多い順に補助、保佐、後見があり、後見がもっとも判断能力がない
方となります。当院に入院してこられる方で援助人がついている方は、後見レベルの方がほとんどです。

法定後見申し立ては御親族がされれば、費用は印紙代程度で済みますが、
申し立てを法テラスに丸投げの場合は 費用がかかりますので、費用が捻出できない方は法テラスでご相談され
申し立て費用を貸与または援助していただくことができます〈10万円ほどかかり、月々5千円ほどの分割のケースが多いそうです)。
また援助人への援助費用が捻出できない時は
福岡市の場合、「市町村長申し立てでかつ生活保護の方、ないし市町村長申し立てで公費助成により
生活保護基準年収まで収入が下がらない方、その他利用支援事業を使うことが必要な方」は
福岡市の助成制度を利用することも可能です。
(窓口は区の保健福祉センター)

福岡市ホームページから

http://www.city.fukuoka.lg.jp/hofuku/chiikihoken/00/04/4-02010-2.html

福岡市成年後見利用支援事業実施要項
http://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/46619/1/seinenkouken_yoko.pdf
http://www.city.fukuoka.lg.jp/data/open/cnt/3/46619/1/seinenkouken_yoryo.pdf


また低所得者の援助人は、司法書士さん達の公益法人 リーガルサポートによる、
公益信託成年後見助成基金を利用できる可能性もあるようです。
www.legal-support.or.jp/act/foundation.html


以前 管理人が社会福祉士の団体である「ぱあとなあ福岡」にお電話し、「援助される人の経済状況が
厳しく、援助人の持ち出しになるケースでも 援助人はつくのか」とお伺いしたところ
「つきます」ときっぱり言われました。プロ意識に驚きました。

ぱあとなあ福岡 http://facsw.or.jp/katudou/iinkai-partner.htm

援助人の報酬は 1年間どれくらい援助したかで決まり、各々年1回、
報酬を家庭裁判所が決めるとのことです。中には報酬はいりませんと言われる方もあるようです。

成年後見について勉強する機会が増えましたので、成果を書いてみました。
参考になりましたら、幸いに存じます。

以上、古森病院でした。
http://komori-hp.cloud-line.com/

追記

前述のリーガルサポートのHPに
全国自治体担当者へのアンケート調査結果が載っており、なかなか
興味深い内容です。

リーガルサポート トップページ
http://www.legal-support.or.jp/

成年後見人についての自治体アンケート調査結果 2014年7月
(成年後見制度利用支援事業の成年後見人等への報酬助成』に関連(含「市町村長申立て」「市民後見人」)するアンケート)
http://www.legal-support.or.jp/act/other_pdf/140722houshujosei.pdf(ダイジェスト)

http://www.legal-support.or.jp/act/other_pdf/140722houshujosei_komento.pdf#search='140722houshujosei_komento+%E5%A0%B1%E9%85%AC%E5%8A%A9%E6%88%90'(詳細)


市町村長申し立ては 迅速な申し立てのため 親族4親等まで市町村長申し立ての意向を調査しなくとも、
2親等まででよいなどの通知が出ているとの情報もかかれています。(平成17年7月29日の 厚生労働省通知)





  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする