古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

残薬管理について

2014-06-30 08:30:24 | 日記

 古森病院@福岡市博多区です。

 薬の話題の続きです。

 前回記事で、薬剤服用歴管理指導料を薬局が患者さんから頂くためには、患者さんに残薬確認(どれくらい薬が余っているか)も
しないといけないという条件がついたことをご紹介しました。

 残薬管理(飲み残した薬の管理)ですが、管理人が研修医の頃、異動で引き継いで2-3か月ほど経った
患者さんの枕元に、前主治医からずっと定期的に出していた薬が大量に置いてあるのを見て、
「余ってたんですか?」「教えてくだされば出さなかったのに」と若気の至りで
思わず言ってしまいました。自分でベッドサイドに行ったときに確認しておれば 良かったことです・・。

 「患者さんの中には処方薬を飲んでいないことを教えてくださらない方がいる(ことがしばしば)」という
至極当たり前の事実を学んだ管理人は、定期的に通院され、何種類か薬を内服されている方には
「お薬余っていないですか」とお伺いするようにしています。
ちなみに当院は予約診療ではなく、患者さんが薬が無くなりそうになったら(あるいは無くなったら)
来られますので 定期薬をきちんと飲んでおられるか否か、一発でわかります(笑)。
管理人の感覚では、臨時的に出す薬を含め(抗生剤とか)概ね6-7割くらいの方は 薬を処方通り飲んでおられないイメージです。
まあ、管理人も定期的に内服するようになったら きちんと毎回内服できるか 怪しいものです・・
ですので、処方内容も工夫が必要で、その方が一番内服していただける確率の高い時間に出すよう設定が必要です。
夜、お酒をかなり召し上がられる方に夕食後の薬を出しても、たいていは忘れ去られるので、朝内服にするとか
夜勤明けで帰宅後、倒れこむように寝てしまわれる方に朝の内服処方を出しても難しいことから 昼ないし
夕方の処方にしたほうが薬を飲んでいただける可能性が上がります。幼稚園保育園、小学校の先生など、昼休みがろくにとれない
職種の方は昼処方が非現実的ですし、学校の先生でなくても日中勤務の方には、職場に薬を置くようにしていただかないと
朝持っていくこと自体を忘れられることも多いです。
こういう工夫を行っても、糖尿病で生活が不規則な方の病状コントロールが一番難しく、内服(とか減酒とかその他もろもろ)の
意識づけから始まって、何とか通院と内服だけは途切れないように関係を維持することが肝要です。。。
 
 ちなみにあまり薬をきちんと飲まれない患者さんが入院されている場合、コミュニケーションの良く取れた職場なら、
看護師さんや介護士さん、清掃会社の方が「患者さんに 実は薬を飲んでいないんだと言われた」とか
「ゴミ箱に薬がシートごと入っていた」とか、「トイレでずっとぱりぱりという音がして(薬をシートから出しているような音がして)
薬を飲まずに流しているように思う」など情報を伝えてくださることがあります。
本来ならば、内服したくない薬がある場合は、患者さんが主治医にきちんと伝えて下さればよいことですが、
そういうことを言い出しにくいオーラが主治医から漂っているためか、どうしても必要な薬なのにも拘わらず
患者さんが飲んでくださらないのか、いずれにせよ甚だしく内服がなされないのなら意味のない処方であり、
主治医は医療さえ勉強すればよいというものではなく きちんと患者さんから正確な情報を得て、代替手段がとれるような
能力や雰囲気づくりも必要だと自戒をこめて思います。

以上 古森病院でした。
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お・く・す・り手帳

2014-06-20 11:22:51 | 日記
こんばんは。
古森病院@福岡市博多区です。

今日はお薬手帳についての話題です。

お薬手帳とは http://www.apha.jp/medicine_info/entry-20.html


以下 長文ですが、ダイアモンドオンライン引用  http://diamond.jp/articles/-/49421

******************************************
「4月から医療費が変わる!おくすり手帳は持つべきか、持たざるべきか」

4月から医療費が改定される。
 日本の医療費は全国一律の公定価格だが、2年に1回、その時々で必要な医療体制、物価や賃金水準などを考慮しながら決められる。
 今年は、その改定の年に当たっている。消費税率の引き上げもあり、それに伴う措置として医療機関にかかるときの基本料金である初・再診料、入院基本料などは値上げされる。
 一方、医療の効率化を図るために、反対に引き下げられるものもある。そのひとつが調剤薬局での「おくすり手帳」の扱いだ。患者が、おくすり手帳をもつかもたないかによって、医療費に若干の違いが出るようになるため、少しでも節約したい人は要チェックだ。

「おくすり手帳を持たないと  1回20円の節約になるが…」

 おくすり手帳は、医療機関で処方された薬の情報を記録し、服用履歴を管理するために作られた手のひらサイズの手帳だ。もともと、一部の医療機関や調剤薬局で始まったサービスだったが、薬の飲み合わせチェックなどの効果が期待されて2000年から国の制度になった。
 薬を調剤してもらうときには、薬代のほかに、調剤技術料、薬学管理料といった薬局への報酬がかかる。
 おくすり手帳に情報を書き込むことで薬局が得られる報酬は、「薬剤服用管理指導料」に含まれており、現在は410円。たとえば、70歳未満の人は3割の130円を自己負担する。
 調剤した日、薬の名称、用法、用量、服用時に注意することなどを手帳に記載することが、報酬を得るための条件だ。

 おくすり手帳への情報提供のほか、薬局が薬剤服用歴管理指導料を得るためには、「患者が飲み残した薬の数の確認」「医師が処方した薬にジェネリックがあるかどうかの情報提供」をすることも条件で、3つが揃ってはじめて410円を算定できることになる。
 だが、実際には、おくすり手帳を持っていない患者もいて、薬局で薬剤名が書かれたシールを渡しても手帳に貼られず、意味をなしていないケースもある。
 そこで、4月からは、おくすり手帳を必要としない患者の薬剤服用歴管理指導料は、1回あたり340円に引き下げられる。70歳未満の人の自己負担額は110円なので、現在よりも20円安くなる。
 日ごろから健康で、医療機関を利用するのは数年に1回、風邪をひいたときくらいで、おくすり手帳の必要性を感じていない人もいるだろう。4月以降は、そうした人は、「おくすり手帳への記載は必要ありません」と伝えれば、薬剤服用管理指導料はわずかだが節約できる。もちろん手帳を持っていない患者には算定できない。医療費を少しでも節約したい人は覚えておきたい変更だ。

「服薬指導のタイミングまで 国が口をだす背景には」

 処方されても飲まずに捨てられている薬は、年間400億円にも上ると推計されている。また、先発品よりも価格の安い後発品の普及もなかなか進まない。そこで、国は医療費削減のために、残薬の管理、後発医薬品の使用割合を高めることを目標としており、薬剤師から患者への情報提供を行うことを期待している。おくすり手帳への調剤報酬が変更されたのも医療費削減が理由だが、今回は服薬指導のタイミングにまで注文が付けられた。
 現在、ほとんどの薬局では、薬を揃え、必要な書類を作ってから、患者への服薬指導をしている。だが、その時点で、飲み残した薬はどれくらいあるのか、患者がジェネリックを希望しているかどうかを聞いても後の祭りだ。
 4月以降は、薬剤服用歴管理指導料を算定するためには、処方せんを受け付けた時点で、残薬の数、後発医薬品の使用を患者が希望するかどう確認しなければいけなくなる。
 本来、服薬指導のタイミングなどは、各薬局が独自の判断で行えばいいもののはずだが、国がこうしたことまで口をはさむ背景には、調剤薬局に厳しい目が注がれるようになっているのが理由のひとつだ。
 大多数の薬局は法令に従って、患者のために真摯に業務をこなしている。だが、一部の調剤薬局チェーンのオーナーが破格の報酬を得ていることが批判されており、医薬分業によって病院から調剤薬局に移った医療収入が、「調剤バブル」と揶揄されるまでになっているのだ。
 医療費の仕組みは複雑で、明細書をみても、一般の人がその金額が正しいかどうかを見分けるのは難しい。だが、日本の医療制度は、健康保険料や税金で賄われる国民共通の財産だ。薬局が法令を遵守するのは当然だが、医療制度を健全に運用していくためには、患者も自らが使う医療費に関心を払う必要があるだろう。

「おくすり手帳を上手に使って健康管理に役立てる」

 今回の診療報酬改定では、医療費削減のためにおくすり手帳への情報提供は必ずしもしなくてもよくなった。だが、国民の健康を守るという観点からすると残念なことでもある。
 薬は正しく服用すれば病気の回復を助けてくれるが、使い方を誤ったり、飲み合わせを間違えると、大きな事故につながることもある。それを防ぐための重要なアイテムがおくすり手帳だ。
 薬局では、薬の名称、飲み方や使い方、1回の用量、副作用などが書かれた薬剤情報提供書が渡される。これを読めば、渡された薬の内容は分かるが、その他にも医療機関にかかっていて薬を服用している場合の飲み合わせまではチェックできない。
 おくすり手帳は過去に処方された薬の情報を1冊にまとめているので、手帳をみれば「他の医療機関から処方された薬との飲み合わせは問題ないか」「以前にのんだ薬で副作用が出たものはないか」といったことが判断できる。
 旅先で体調を崩して、現地の医療機関にかかった場合も、おくすり手帳を持っていれば、ふだん服用している薬がわかり、適切な治療も受けやすい。また、東日本大震災では、おくすり手帳を持っていた人は避難所での治療や薬の処方もスムースに受けられ、患者も医療者もその存在の有難さを実感していた。
 4月以降、医療費を少しでも節約したい人は、おくすり手帳への情報提供は省くのもひとつの手段だ。だが、希望者は、これまでと変わらない価格でおくすり手帳への情報提供を受けられるので、持病があって定期的に薬を服用している人やアレルギーがある人などは、自分の身を守るために引き続きおくすり手帳を持つことを勧めたい。
 せっかく医療費を支払って情報提供してもらうのだから、おくすり手帳は健康管理に役立つように最大限に活用したいもの。ときおり、医療機関ごとにおくすり手帳を分けている人を見かけるが、過去の服用履歴をまとめておくものなので、手帳は1冊にまとめるのがポインだ。
 また、アレルギーの有無、過去に飲んだ薬による副作用、ふだんよく使う市販薬やサプリメントなども記入しておくと、思わぬ健康被害を防いでくれて、薬剤師から適切なアドバイスも受けやすくなる。
 おくすり手帳を「持つ」「持たない」の判断は、家計の節約だけではなく、自分の身体の健康を考えた上で決めるようにしたい。

******************************************
引用終わり

 実は、医療従事者に対しては 薬剤服用歴管理指導料は取れないことになっているようです。
従って、我々は自分が医業についていることを薬局に申し上げれば、お薬手帳の点数が掛かりません。
(管理人は今のところ、定期的に飲んでる薬もないのと、いちいち自分が医師だなど外部の薬剤師に言いませんので おとなしく払っています。)

 以前に比べると、外来で他院で出されている薬の内容が分からなくて困ることは
お薬手帳のおかげで随分減りました。
それでも外来患者さんに、「えーと、あの...ピンク色の...」とか「白くて、えーと...丸い薬!」と言われることは決して珍しくありません。ピンク色の薬も白くて丸い薬もたくさんある上、錠剤の色ではなく、薬の入っているヒートの色だったりするので、色や形ではわからないのです。。。

 困ったので、この本を買う羽目になりました。当院のは2014年版です。
買ってから知りましたが、この本に写真が載っていない薬も結構ありました・・。

http://www.amazon.co.jp/%E8%96%AC%E3%81%AE%E4%BA%8B%E5%85%B8-%E3%83%94%E3%83%AB%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF%E3%80%882015%E5%B9%B4%E7%89%88%E3%80%89-%E6%A9%98-%E6%95%8F%E4%B9%9F/dp/4883379329/ref=sr_1_2?ie=UTF8&qid=1403168430&sr=8-2&keywords=%E3%83%94%E3%83%AB%E3%83%96%E3%83%83%E3%82%AF

 何を内服しているか不明の方は、仕方がないのでどこの調剤薬局かお伺いして連絡したり、
了承を得てかかりつけに直接電話したりして、出来るだけ何を飲んでおられるか把握するように努めています。が、患者さんによってはかかりつけ医に気兼ねされ、(治らないからという理由で来院された方は特に)電話ができないこともしばしばあります。調剤薬局はかかりつけ医に比して、気軽に答えて頂けるので、非常に助かります。

 とどのつまり患者さんに薬の内容を把握して頂ければいいことで、お薬手帳でなくてもいいから、例えば処方箋や薬そのものを携帯カメラで撮るとか、日付とともに手帳にメモるとか(薬品名だけでも良いです)していただければ結構です。一回20円の節約になりますし(3割負担での話ですから、保険者負担では残り7割で40円強となり医療費削減にも効果はあるでしょう)薬も自身で把握できますし、管理能力があって医療費の支払いを少なくしたい方には、お勧めの方法だと思います。

 この話題は次回も続きます。


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出生前診断

2014-06-13 11:06:11 | 日記

博多区対馬小路の古森病院です。
今日は出生前診断についての話題です。



以下 引用

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<出生前診断>誤報告した函館の医院に1000万円賠償命令
毎日新聞 6月5日(木)21時42分配信

 北海道函館市の産婦人科医院「えんどう桔梗(ききょう)マタニティクリニック」で2011年、胎児の出生前診断結果を誤って伝えられた両親が、人工妊娠中絶の選択権を奪われたなどとして、医院側に1000万円の損害賠償を求めた訴訟で、函館地裁は5日、1000万円の支払いを命じた。

 鈴木尚久裁判長は判決理由で「結果を正確に告知していれば、中絶を選択するか、中絶しないことを選択した場合には心の準備や養育環境の準備もできたはず。誤報告により機会を奪われた」と指摘した。

 判決によると、母親は胎児の染色体異常を調べる羊水検査を受け、ダウン症であることを示す結果が出た。しかし医院の院長は11年5月、母親に「陰性」と誤って伝え、生まれた男児はダウン症と診断され3カ月半後に合併症で死亡した。

 両親側は誤報告により生まれたことで、男児は結果的に死亡したと主張していたが、鈴木裁判長は「ダウン症児として生まれた者のうち、合併症を併発して早期に死亡する者はごく一部」として因果関係は認めなかった。

 判決を受け両親は「ミスの重大性や、生まれた子供の命を否定しなければいけなかった親の心情を深くくみ取ってくれた。この裁判がきっかけとなり、患者や家族に寄り添う医療につながっていくことを願っている」とのコメントを出した。【鈴木勝一、久野華代】

 遺伝情報の扱いに詳しい桜井晃洋・札幌医科大教授(遺伝医学)の話

 出生前診断を含めた遺伝子検査では、患者がなぜ検査を受けるのか、結果をどう受け止めるのかまで考慮した、専門家の目を通して情報が伝えられるべきだ。今回の例は羊水検査の結果を単純に見誤って伝えたものだが、技術の進歩に伴って、検査結果があいまいな形で出るものも増えている。慎重さが求められるという意味で、判決は医療従事者への警鐘になる。

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2人が確定検査受けず中絶=新型出生前診断で、異常ない可能性
時事通信 6月11日(水)22時3分配信

 妊婦の血液から胎児のダウン症などの染色体異常を調べる新型出生前診断で、異常の疑いがある陽性と判定された141人のうち、少なくとも2人が確定検査を受けずに人工妊娠中絶していたことが11日、分かった。実際には問題がなかった可能性があり、報告を受けた日本医学会はカウンセリングの強化など対策を検討する。
 検査でダウン症が陽性だった場合の精度は、35歳の妊婦で80%。検査対象の他の2種類の染色体異常では精度はさらに低く、いずれも羊水検査などの確定検査が必須だ。

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新しい出生前診断について
 国立生育医療研究センター  http://www.ncchd.go.jp/hospital/section/perinatal/nipt.html

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designer baby

遺伝子解析で赤ちゃん設計? 外見や能力予測、米で特許図:デザイナーベビーに関する特許
拡大デザイナーベビーに関する特許

【岡崎明子、ワシントン=行方史郎】青い目で足が速く、乳がんになるリスクが低い子どもが欲しい――。親が望む特徴をもつ赤ちゃんを作る「デザイナーベビー」につながる遺伝子解析技術が考案され、米国で特許が認められた。自分と、精子や卵子の提供候補者ごとに遺伝情報を解析して、望み通りの子どもが生まれる確度を予測するシステムだ。科学者からも「倫理的に大きな問題」と批判が出ている。

 特許化されたのは、米国の個人向け遺伝子解析会社の大手「23アンドミー」(本社・米国pカリフォルニア)の手法で、米特許商標庁が9月24日付で認めた。

 同社はIT大手グーグルの共同設立者らが出資。2007年から、唾液(だえき)に含まれるDNAの遺伝子配列のわずかな違い(SNP)を分析して、アルツハイマー病や糖尿病など約120の病気のリスクのほか、目の色や筋肉のタイプなど計250項目を判定する事業を展開している。価格は99ドル(約1万円)で、利用者は50カ国以上、日本人を含め40万人を超えている。

::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::

引用終わり

個人的には出生前診断を受けるか否かは、当事者が決めることで、第三者がとやかくいうことではないと思います。
問題は障害児を産むか否かということではなく、そのような障害を抱えた子や人の介護環境が整っていないことが最大の問題であり、現状の日本では、生まれた後ではどうにもならないので、事前に排除していくような風潮になっているのだと思います。

仮に国策として出生前診断を推奨するなら、科学的アプローチの優生政策となり、こういう発想が肥大化していくと、かのナチス・ドイツのT4政策のようになっていくのかもしれません。

風疹流行時の、胎児の耳が聞こえなくなったらどうする?→だから風疹ワクチンを受けよう。という
コマーシャルも行きすぎると、ワクチンで予防可能な障害を避けるという意味だけでなく、別の意図にも
聞こえます。(社会の負担を増やすなといったような)

ちなみに英国では出生前診断は無料で受けられるとのことです。一頃「ゆりかごから墓場まで」と
称されるほど、福祉制度が比較的整っているとされる、英国での現状ではどうなっているのか、興味深い記事ですので引用します。

www.jdsnews.jp/p/contentsview.php?content_id=0000001809

出生前診断を受けるかどうかを個々人で判断し、その判断の結果について誰も責めない時代が長く続くこと、
先天的、後天的に障害を負ってもある程度フォローされる体制が整うことを願っています。

以上、古森病院でした。
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髄膜炎菌ワクチン 承認

2014-06-12 17:53:01 | 日記
こんばんは。
古森病院@福岡市博多区です。

今日はワクチンのお話です。

5月26日、日本では未承認だった髄膜炎菌ワクチンが 
厚労省の審議会で承認されました。

以下引用

薬事日報より

薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は26日、サノフィの国内初となる髄膜炎菌ワクチン「メナクトラ」、中外製薬のALK融合遺伝子陽性の非小細胞肺癌治療薬「アレセンサカプセル」など、7件の新薬等を審議・了承した。



 ▽メナクトラ筋注(サノフィ):新有効成分の4価髄膜炎菌ワクチン(ジフテリアトキソイド結合体)を含有し、髄膜炎菌(血清型A、C、Y、およびW‐135)による侵襲性髄膜炎菌感染症の予防を効能・効果とする。

 髄膜炎菌は、髄膜炎や敗血症の起炎菌となる病原体で、罹患すると頭痛や発熱、悪寒などの症状を呈する。死亡率は髄膜炎で7~19%、敗血症で18~53%と報告されている。主に中央アフリカで感染が報告されており、同ワクチンは渡航者向け。厚生労働省の「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」で開発要請されていた。

引用終わり

薬事・食品衛生審議会 医薬品第二部会の資料
http://nk.jiho.jp/servlet/nk/related/pdf/1226659873092.pdf#search='%E3%83%A1%E3%83%8A%E3%82%AF%E3%83%88%E3%83%A9+%E6%B7%BB%E4%BB%98%E6%96%87%E6%9B%B8'

髄膜炎菌とは
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k01_g3/k01_43/k01_43.html

通常 髄膜炎になった人から菌が拡散することはありませんが
この菌による髄膜炎は集団感染の可能性があるところが 怖いところです。

髄膜炎菌による髄膜炎は中央アフリカを中心に小流行しており、該当地域に渡航される方は
今まで渡航ワクチンとして 渡航ワクチンを行っているクリニックで輸入ワクチンを
自費接種するしかありませんでした。

2011年には宮崎県において、髄膜炎菌による集団感染があり、一人は死亡し、
医師を驚かせました。
http://idsc.nih.go.jp/iasr/32/380/kj3802.html

他国で承認されていても、日本で承認されていなかったワクチンがまた一つ承認されたことは
喜ばしいことです。

以上、古森病院でした。
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サルモネラ属ヘルシーキャリアー

2014-06-05 17:34:55 | 日記
こんばんは。
古森病院@福岡市博多区対馬小路です。

今日は、主として調理関係の方々に関係する話です。

内科外来をしておりますと、
調理関係の職種の方々が
「症状はないが、サルモネラが検便で検出されたので、除菌してほしい」
「症状はないが、O-●○(O-157などの仲間である0ナンバーと言われる腸管出血性大腸菌)が検便で検出されたので
除菌してほしい」
という主訴で受診されることがあります。

B型肝炎ウイルスの母子感染が有名ですが、病原体として有名な細菌やウイルスが人間と仲良く?
暮らしているケースがあります。
共存です。

本来なら人体は自己でないものは攻撃するという防御機能を持っていて
(例外あり。何でしょう?・・・・胎児への攻撃は基本的にありません。免疫寛容といいます。)
攻撃を開始すると、何らかの症状(疼痛とか発熱など)が出現します。これを炎症と言います。
サルモネラやOナンバーの大腸菌の感染症なら、感染後に腹痛、下痢、血便、発熱などが腸炎(腸の炎症)という形で
出てきます。

しかしながらサルモネラやOナンバーの大腸菌と仲良く暮らしている方が世間には一定の割合で存在します。
炎症が起これば、通常はばい菌は排除される方向に向かうのですが、炎症が起きないので定住しているのです。
こういう方々を一般に healthy carrier(健康保菌者、無症候性キャリアー)と言います。
ちなみにピロリ菌は胃に住みつき、炎症(胃炎)をおこすので、自覚症状には乏しいのですが
ピロリ菌感染している人は、healthyでないcarrierです。

症状がない人に便のばい菌検査をすることはありませんので、無症状のキャリアーの方々は
通常 発見されないのですが、これが発見されるのが、事務的に毎月、
便の細菌培養を義務付けられている調理関係の方々たちです。

大量調理施設衛生管理マニュアル
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/iyaku/syoku-anzen/gyousei/dl/120518_01.pdf

食品取扱従事者の検便検査を行っている会社の健康保菌者のデータ
http://www.kenko-kenbi.or.jp/science-center/pathogen/topics-pathogen/4506.html


調理関係の方々の検便は健康保菌者を発見し、除菌するためにあります。
保菌者の方が手をあまり洗わずに調理した場合、食中毒の集団発生がおこる可能性があるためです。

横浜衛生研究所の記事から (サルモネラ属である腸チフスの健康保菌者の調理人から食中毒が発生したケース 有名なようでよく引用されています。)
http://www.city.yokohama.lg.jp/kenko/eiken/idsc/disease/typhoid1.html

個人的には腸管における健康保菌者の方の除菌はあまり気が進みませんが(耐性菌になりそうだから)、
公衆衛生のために(あとご本人の就労継続のために)仕方がないのかな と思っています。

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