古森病院@福岡市博多区です。
薬の話題の続きです。
前回記事で、薬剤服用歴管理指導料を薬局が患者さんから頂くためには、患者さんに残薬確認(どれくらい薬が余っているか)も
しないといけないという条件がついたことをご紹介しました。
残薬管理(飲み残した薬の管理)ですが、管理人が研修医の頃、異動で引き継いで2-3か月ほど経った
患者さんの枕元に、前主治医からずっと定期的に出していた薬が大量に置いてあるのを見て、
「余ってたんですか?」「教えてくだされば出さなかったのに」と若気の至りで
思わず言ってしまいました。自分でベッドサイドに行ったときに確認しておれば 良かったことです・・。
「患者さんの中には処方薬を飲んでいないことを教えてくださらない方がいる(ことがしばしば)」という
至極当たり前の事実を学んだ管理人は、定期的に通院され、何種類か薬を内服されている方には
「お薬余っていないですか」とお伺いするようにしています。
ちなみに当院は予約診療ではなく、患者さんが薬が無くなりそうになったら(あるいは無くなったら)
来られますので 定期薬をきちんと飲んでおられるか否か、一発でわかります(笑)。
管理人の感覚では、臨時的に出す薬を含め(抗生剤とか)概ね6-7割くらいの方は 薬を処方通り飲んでおられないイメージです。
まあ、管理人も定期的に内服するようになったら きちんと毎回内服できるか 怪しいものです・・
ですので、処方内容も工夫が必要で、その方が一番内服していただける確率の高い時間に出すよう設定が必要です。
夜、お酒をかなり召し上がられる方に夕食後の薬を出しても、たいていは忘れ去られるので、朝内服にするとか
夜勤明けで帰宅後、倒れこむように寝てしまわれる方に朝の内服処方を出しても難しいことから 昼ないし
夕方の処方にしたほうが薬を飲んでいただける可能性が上がります。幼稚園保育園、小学校の先生など、昼休みがろくにとれない
職種の方は昼処方が非現実的ですし、学校の先生でなくても日中勤務の方には、職場に薬を置くようにしていただかないと
朝持っていくこと自体を忘れられることも多いです。
こういう工夫を行っても、糖尿病で生活が不規則な方の病状コントロールが一番難しく、内服(とか減酒とかその他もろもろ)の
意識づけから始まって、何とか通院と内服だけは途切れないように関係を維持することが肝要です。。。
ちなみにあまり薬をきちんと飲まれない患者さんが入院されている場合、コミュニケーションの良く取れた職場なら、
看護師さんや介護士さん、清掃会社の方が「患者さんに 実は薬を飲んでいないんだと言われた」とか
「ゴミ箱に薬がシートごと入っていた」とか、「トイレでずっとぱりぱりという音がして(薬をシートから出しているような音がして)
薬を飲まずに流しているように思う」など情報を伝えてくださることがあります。
本来ならば、内服したくない薬がある場合は、患者さんが主治医にきちんと伝えて下さればよいことですが、
そういうことを言い出しにくいオーラが主治医から漂っているためか、どうしても必要な薬なのにも拘わらず
患者さんが飲んでくださらないのか、いずれにせよ甚だしく内服がなされないのなら意味のない処方であり、
主治医は医療さえ勉強すればよいというものではなく きちんと患者さんから正確な情報を得て、代替手段がとれるような
能力や雰囲気づくりも必要だと自戒をこめて思います。
以上 古森病院でした。
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