古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

医療DXの裏側

2023-10-06 15:22:51 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

最近、医療DXという言葉をよく聞きます。
医療DX
https://www.mhlw.go.jp/content/10808000/000992373.pdf

医療DXとは、保健・医療・介護の各段階(疾病の発症予防、受診、診察・治療・薬剤処方、診断書等
の作成、診療報酬の請求、医療介護の連携によるケア、地域医療連携、研究開発など)において発生
する情報やデータを、全体最適された基盤を通して、保健・医療や介護関係者の業務やシステム、
データ保存の外部化・共通化・標準化を図り、国民自身の予防を促進し、より良質な医療やケアを受
けられるように、社会や生活の形を変えることと定義できる。(上記サイトより)

今日、ベンダーの方とお話ししていたのですが

新型コロナウイルス感染症対策と同じで
感染経路(自由面会)を増やせば増やすほど

電子カルテなど、システムデータを
各施設で繋げれば繋げるほど

感染の機会は増え、イタチごっこを繰り返すことになります。

今流行りの?インターネットでの出会いも同じで
出会う回数が多ければ多いほど
犯罪行為を行う人との出会いも増え、危険性も高まります。

国はデジタル公共事業を闇雲に推進し
医療費介護費を減らすことが目的のようですが

皮肉なことに、つながる機関が増えるほど
セキュリテイーはどんどん脅かされることになります。

個人情報保護法では、病歴は犯罪歴と同じくらい
秘匿度の高い情報として扱われています。

個人情報保護法
(定義)
第二条 この法律において「個人情報」とは、生存する個人に関する情報であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
3 この法律において「要配慮個人情報」とは、本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして政令で定める記述等が含まれる個人情報をいう。

要配慮個人情報とオープンアクセスを
どう両立させるかというと、

も。ち。ろ。ん。

医療介護機関の管理者とシステムベンダー社に
両立を押し付けることになります。

(医療法)
第十七条 第六条の十から第六条の十二まで及び第十三条から前条までに定めるもののほか、病院、診療所又は助産所の管理者が、その構造設備、医薬品その他の物品の管理並びに患者、妊婦、産婦及びじよく婦の入院又は入所につき遵守すべき事項については、厚生労働省令で定める

厚生労働省令で定められた内容(医療法施行規則)
第十四条 今年から新設
2 病院、診療所又は助産所の管理者は、医療の提供に著しい支障を及ぼすおそれがないように、サイバーセキュリティ(サイバーセキュリティ基本法(平成二十六年法律第百四号)第二条に規定するサイバーセキュリティをいう。)を確保するために必要な措置を講じなければならない。

セキュリティに必要なお金は当然くれません。
だって、国は「赤字」なんですから。

医療法施行規則14条2項をよく読むと、「医療の提供に著しい支障を及ぼすおそれが」なければ
プライバシーは流出させていいようにも見えます。(いいのか。。?)
でも、オープンアクセスとプライバシー秘匿は両立しないし、医療を提供できれば良しと
するのが現実的なところでしょう。もっとも、個人情報保護法がありますから
プライバシー流出を防ぐような手立ては 何かしら打たないといけないでしょうね。

しかし・・
医療DXの目的(らしい)が、個人に健康管理させたいことなら、
国民の健康意識を向上させるのが 一番 手っ取り早いです。
とっても蔑ろにされている、義務教育の保健体育のうちの「保健」の授業を
充実させるとか。

他国の人で 自分が受けている治療、投薬内容を知らない人なんていません。
「薬?さあ、何飲んでるか知らない」「なんか丸い薬」
短期間の内服だけでなく、長期間であってもそうです。
こんなことを外来で堂々と言うのは、日本国民だけです。
もちろん全員ではなく、そうですね。半数くらいは そんな人ですかね。
こう言う国民の健康意識の低いところから正さないと、ネットで個人情報だけ繋げたって
全く意味がありません。

それはしないで、とにかく個人情報をネットで共有させたらいいと
思っている。
現状でも医療機関は必要であれば、共有しています。
ネット以外のアナログな方法で(電話とかファックスとか手紙とか)。
それでも全く困っていません。

最近、管理人が興味があるのは
医療DXの真の目的です。
医療介護の個人情報は医療介護機関から提出されるレセプトを通して 
すでに国は把握してるんですけどね。

情報を電子的に繋げれば 
国民が健康管理を自主的にすると 国が本気で思っているのだったら
別の意味で驚きますが・・

管理人は電子カルテだけでなく、レセプトデータだけを
リアルタイムで繋げることには 意味があると思います。
というか医療機関を巻き込まなくても
そんなことは、保険者である健保組合とか協会けんぽ、国保連から
医療機関が情報もらったらいいだけですけどね。

患者さんの悪意で
あちこちで点滴したり、睡眠薬や痛み止めや湿布をもらったり
何回も意味のない検査を行ったり(何回もCTを受けたがる人とか)
そう言うのは 間違いなく防げます。規格はすでに統一されているも
同然です。

保険者は国の機関(みたいなもの)ですから、法改正すればあっという間に
できますし、間違いなく医療介護の削減に繋がると思います。

チャットGTPが発展したら
病名付けとか 保険者への患者保険情報のリアルタイム送信とか
簡単にできるようになるでしょうから、こんなに強引に色々
やる必要ないと思うんだけどな。

知りたい・・真の目的。

それとも、国が主導して、保険者から医療機関が
情報もらったら、何かと国のせいにされるのが嫌だから
無理やり医療機関を巻き込んで、情報共有させて、
なんかあっても、医療機関のせいにしようとしているだけなのかな。

これが一番 考えられることですね。
国の制度をよく見たら、
とにかく国と個人の間には
噛ませられる場合は企業を 必ず間にかませています。

たとえば、納税関係。従業員の国税や社会保険料、昨今は住民税もむりやりそうなりましたが
とりあえず企業が国に立て替え払いして、企業が従業員から取り立てる仕組みにしているし、

マイナンバーだって、企業に対して、従業員からナンバーを収集させて
情報持ってるはずの国に申請させる仕組み。

知らない人も多いけど、がん登録って言って、
医療機関でがんと診断された人は、医療機関から厚労省に
有無をいわさず 報告させる。(これは患者同意不要。なぜなら個人情報保護法から外された情報だから)
もっとも罰則はない。こんなのレセプトデータを使えば一発なのに、わざわざ医療機関に申請させる。

5年に一度の統計調査で、入院中の患者氏名を(厚労省が入院データ持ってるのに)
医療機関から総務省に報告させる。これも個人情報保護法から外された情報です。

マイナンバーカードだって、そうでしょ?
あらゆる圧力をかけて 個人申請させて、
「自分の意思で申請した」風にしていますよね。

国が持っているデータだから、国益のために
国が使うとして堂々と国民に宣言すべきところ、
簡単な話を医療機関を巻き込んで複雑にするのは やめてほしいですね。

https://komori-hp.cloud-line.com/


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