古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

実践!認知症ケア研修会2016  福岡会場

2016-02-28 18:09:03 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

管理人は今日、上記の研修会に行ってまいりました。
http://www.tsuusho.com/ninchisyokea/

会費が非常にお高かったので、職員でなく(笑 高いのに行っていただいて
役に立たないと悲惨なので)管理人自ら参りました。

認知症はユマニチュードとかいろいろ対処法が言われているわけなんですけど
どの対処法を聞いても、いま一つ 「で?どうしたらいいんですか?」という
お話になりやすいです。というか魔法のような方法はありません。

魔法のような方法がない中で、どうやって対応するか
今日の講師の先生のお話は結構おもしろかったです。(魔法のような方法ではありませんが・・)
先生のお名前とご本はこちら(ご本は病院病棟にもあるんですけど・・)
http://www.amazon.co.jp/%E2%80%9C%E7%90%86%E7%94%B1%E3%82%92%E6%8E%A2%E3%82%8B%E2%80%9D%E8%AA%8D%E7%9F%A5%E7%97%87%E3%82%B1%E3%82%A2%E2%80%95%E9%96%A2%E3%82%8F%E3%82%8A%E6%96%B9%E3%81%8C180%E5%BA%A6%E5%A4%89%E3%82%8F%E3%82%8B%E6%9C%AC-%E3%83%9A-%E3%83%9B%E3%82%B9/dp/4902007657

アプロクリエイト
https://www.facebook.com/aprocreate/
https://twitter.com/pehosu

認知症on-line
http://ninchisho-online.com/

面白かったので、今年度の当院の研修に来ていただくようお願いしました。
実施は秋以降になる予定です。

対応を聞いて、実際に実践できるかどうかは その時の状況次第ですが、
対応の基本を知らないとどうにもならないので・・・。

紹介しても差し障りのなさそうなお話を2,3.

★認知症のスケールで有名な長谷川式認知症スケールを考案した長谷川和夫医師(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E8%B0%B7%E5%B7%9D%E5%92%8C%E5%A4%AB)
が ご本人のご両親と ご本人のお孫さんと会食されておられた時に お父様が「あんたたちは誰か?」と立ちあがってご発言されたそうです。
長谷川先生はとっさのことで、返事ができなかったそうですが、お子さんが「おじいちゃんが僕たちがわからなくなっても、僕たちはおじいちゃんのことを
ちゃんとわかっているから」と応えられ、お父様は「そうか」といって、引き続いて食事をつづけられたとのこと。安心できる環境はそういうことではないか。

★認知症「予防」を強調しすぎると、認知症になってしまった人の立つ瀬がなくなる。

★行動だけみて「ああ、また帰宅願望」のように決めつけず、原因をその時その時でさぐる努力をする。
精神科病院での食事をずっと拒否していた認知症?精神疾患?の入院患者さんの拒否理由が「財布を持ってきていないから」ということだったケースもある。

ちなみに明後日はJR東海路線に立ち入って鉄道事故にあった認知症の方の家族に 事故に伴う損害賠償請求を求めた
最高裁の判決日です。誰かがJR東海の損害を賠償してあげないといけないことは歴然としていますが、それは家族(あるいは事故当時に入所通所中であったなら
管理部門)の責任になるのでしょうか?認知症の人でも加入できる「認知症保険」のような保険を創設し、他者への損害をカバーすべきという気もしますが・・・。

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<認知症男性JR事故死>「負けられない」1日に最高裁判決

毎日新聞 2月28日(日)11時0分配信

<認知症男性JR事故死>「負けられない」1日に最高裁判決

男性が愛用した服や靴、帽子には、行方不明時に備えて名前や家族の連絡先が書かれていた=愛知県大府市で2016年2月22日、大竹禎之撮影(画像の一部を加工しています)

 愛知県大府(おおぶ)市で列車にはねられ死亡した認知症男性(当時91歳)の遺族がJR東海に損害賠償を求められた訴訟の最高裁判決が3月1日に言い渡されるのを前に、男性の長男(65)が思いを語った。1、2審判決は遺族の監督責任を認め、同様に認知症の身内を介護する全国の家族らに大きな衝撃を与えた。「もう私たちだけの裁判ではない。負けるわけにはいかない」。長男はそう祈りながら判決を待っている。

 長男の父は2007年12月7日夕、母(93)がまどろんだわずかな間に戸外へ出た。所持金はなかったが、最寄り駅から電車に乗り、隣の共和駅で線路に入ったとみられる。

 父の要介護度は5段階中2番目に重い「4」で、長男らは「認知症があり線路上に出たと考えられる」と書かれた死体検案書と医師の診断書をJRに送り、わざと起こした事故ではないと伝えた。しかし、JRは「他者に損害を及ぼさないよう家族は監視する義務があった」などとして、電車の遅れなどに伴う賠償金約720万円を請求してきた。

 1審は全額賠償を命じる全面敗訴。判決は「(家族が)目を離せば他人の生命、身体、財産に危害を及ぼす事故を引き起こす危険性を予見できた」と断じた。長男は「父は温和な性格。認知症になっても穏やかなままで、とぼとぼとしか歩けなかった。なのに判決は父を何をしでかすか分からない危ない存在としか見ていない」。判決後、親をあわてて施設に入れた人がいると聞き「とんでもない判決を招いてしまった」とショックを受けた。

 2審判決は賠償額を約360万円としたが、出入りを知らせるセンサーを切っていたことも問題視した。父は以前、自宅で不動産業を営み、センサーは当時の事務所で来客を把握するためのもの。飼い犬にも反応し、介護とは無関係だった。

 長男ら家族には「介護に全力を尽くした」との思いがある。ヘルパーを雇ったり、入院など環境が変わったりすると、父は落ち着きをなくした。センサーを切っていたのも、アラームが頻繁に鳴ると働いていた当時に気分が戻って緊張してしまうからだ。

 こうしたことから、父の介護は母だけでなく、長男の妻(63)が単身で近くに転居し、週末には長男も横浜から帰省して手伝った。「他にできることがあったなら裁判長に教えてもらいたい」と語気を強める。

 2審判決後、長男は勤め先を退職し、父の不動産事務所を再開した。父のお気に入りのソファや事務机など、思い出が詰まった場所で新生活を送る。「判決の重みは分かっている。司法の良心を信じたい」と語った。【銭場裕司】
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四面四角

2016-02-23 20:59:39 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

先般、管理人は某休日診療所で診療を
行っておりました。

そこに、お子さんがママ連れで受診しにこられました。

管理人は小児科医ではないのですが
休日診療所ではにわか小児科医に変身せざるをえません。
(ちなみに休日診療所では、診察医が必ずしも小児科医ではないことを
説明しています)

小児科の薬(小学生低学年まで)には錠剤はありません(私の知る限り)。
体重によって薬の量が変わるので、シロップかパウダー、あるいは
座薬(肛門からいれるタイプの薬)です。

しかし、その時のお子さんは
粉末、シロップ、座薬タイプの薬が嫌いなお子さんで
錠剤だけは何とか飲むというお子さんにしては、少数派のお子でした。
しかも親御さんは処方はお願いしたいとのこと。

しょうがないので、「じゃあ、定型的ではありませんが、
大人用の錠剤を割って処方します。ただ、計算上はこの量でいいと思いますが
大人向けの錠剤なので、小児に対してそのような使い道の設定がなされていませんが、
ご了承いただけますか?」とお話ししました。

すると
「リクエストに応えてもらったのは初めて」
と言われました。。。

管理人は卓越した何かを持っている医者ではありませんが
大人用の錠剤を割って処方しただけなのに、それだけで重宝されるとは 
逆にいえば 商売上は楽勝な業界ってことかもしれませんが。。

色々 考えさせられる出来事でありました。

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かかりつけ医について

2016-02-15 12:07:05 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

少し前のことですが
先般、業界では注目の的であった診療報酬(医療)の改定について
厚労省の審議会から答申が出されました。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000111936.html

1月に骨子案が流れていたので、あらかた把握しておりましたが、
報道を見ると非常に違和感を覚えます。

「かかりつけ医の機能を評価」

かかりつけ医というと皆さんのイメージでは、
いつもかかっている外来の医者なんでしょうけど

この報道の「かかりつけ医」はちょっとというか、かなりイメージが違います。

報道されている「かかりつけ医」とは在宅医療専門医師(在宅医療支援診療所の医師)のこと。

しかも在宅医療と言うのは 「自宅にいて」外来を受診することとは違い(これは外来医療)、
入院せずに自宅や施設(病院と老人保健施設を除く)で療養(このいい方がまた微妙ですが)している方を
診察する医療のことです。往診専門の医師という言い方がしっくり来ます。

またこの「かかりつけ医」(診療報酬上は在宅療養支援診療所の医師)のハードルが高く

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[開設要件]
1.
(1) 無床診療所であること。
(2) 在宅医療を提供する地域をあらかじめ規定していること。
(3) 外来診療が必要な患者が訪れた場合に対応できるよう、地域医師会(歯
科医療機関にあっては地域歯科医師会)から協力の同意を得ている又は(2)
の地域内に協力医療機関を2か所以上確保していること。
(4) 規定した地域内において在宅医療を提供していること、在宅医療導入に
係る相談に随時応じていること、及び医療機関の連絡先等を広く周知して
いること。
(5) 往診や訪問診療を求められた場合、医学的に正当な理由等なく断ること
がないこと。
(6) 診療所において、患者・家族等からの相談に応じる設備・人員等の体制
を整えていること。
(7) 緊急時を含め、随時連絡に応じる体制を整えていること。

2.在宅医療を専門に実施する在宅療養支援診療所に対する評価を新設す
る。
[在宅医療を専門に実施する在宅療養支援診療所の施設基準]
診療所であって、現行の機能強化型の在宅療養支援診療所の施設基準に加
え、以下の要件を満たしていること。
(1) 在宅医療を提供した患者数を、在宅医療及び外来医療を提供した患者の
合計数で除した値が 0.95 以上であること。
(2) 過去1年間に、5か所以上の保険医療機関から初診患者の診療情報提供
を受けていること。
(3) 当該診療所において、過去1年間の在宅における看取りの実績を 20 件以
上有していること又は重症小児の十分な診療実績(15 歳未満の超・準超重
症児に対する総合的な医学管理の実績が過去1年間に 10 件以上)を有して
いること。
(4) 施設入居時等医学総合管理料の算定件数を、施設入居時等医学総合管理
料及び在宅時医学総合管理料の合計算定件数で除した値が 0.7 以下である
こと。
(5) 在宅時医学総合管理料又は施設入居時等医学総合管理料を算定する患者
のうち、要介護3以上又は当該管理料の「別に定める状態の場合」に該当
する者の割合が 50%以上であること。

3.現行の在宅療養支援診療所について、在宅医療を提供した患者数を、
在宅医療及び外来医療を提供した患者の合計数で除した値が 0.95 未満
であることを施設基準として追加する。??????????????

********************************************

2.の1)をみると、「かかりつけ医」は外来を見ている医者のことではなく
外来より往診をメインにしている医者のことです。
往診している医者も 往診されている患者さんからみれば「かかりつけ医」には
違いないんでしょうけど、医師からみれば往診専門の医者は少数派であり、報道のミスリードだなと思います。

デイサービスがそうですが「家庭的な雰囲気を」と言って、少人数の定数から開業可能としたものの
小さいと経営が不安定だから事業所がつぶれたときの利用者さんの行き先が無くなると言って、
小規模デイの報酬を削ったりしてますが
(あるケアマネージャーは国は 施設を大きくしたいのか小さくしたいのか
さっぱりわからないと言っていましたが、その通りだと思います)

在宅診療も、転々とあちこち散らばる患者さんをいちいち見て回るのと
ある程度の人数を施設に収容して 効率よく見て回るのと(あるいは医療職を輪番で拘束し
施設にずっと置いておくのと・・いやこれはまさに病院か老健施設ですが)
どっちがいいのか・・

今後どうなっていくのかまったくわからないというのが現状です。

北海道における在宅療養支援診療所、支援病院へのアンケート結果

結構興味深いです。

http://www.pref.hokkaido.lg.jp/hf/cis/chousa-zaitakusiensinryousho-byouin.pdf

http://komori-hp.cloud-line.com/

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居宅ケアプラン作成料の有料化について

2016-02-09 11:21:04 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

今年度からまた社会保障審議会介護保険部会の審議会が始まりますが
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000111298.html(直近の分)

以前から 介護費用削減のために居宅ケアプラン作成料について有料化(患者さん(利用者さん)の自己負担を発生させる、
現在は居宅ケアプラン作成における患者さん(利用者さん)の自己負担は無料)の話が持ち上がっており、
今後、その議論が蒸し返される可能性があるようです。

施設(ここでの施設は介護保険3施設、特別養護老人ホーム、老人保健施設、介護療養型医療施設を言います)
ケアプランがどうなっているかというと
施設ケアプラン作成料は入院入所費用に組み込まれているので、何枚(なんまい)
ケアマネが作っても 施設側にはお金は振り込まれません。

また患者さんは施設に入院ないし入所していることから、
患者さんは毎日 施設の観察の対象になっており、医師・看護・介護記録に残っていくことから
施設ケアプラン作成には居宅のように 3か月ごとだの
1か月ごとだのいうモニタリング(フォローアップ)、アセスメント(評価)作成の期間は定められていません。
もっとも当院ではアセスメントは、入院時、介護度認定更新時、要介護区分変更時には必ず行い、サービス担当者
会議を開催しております。
時おり、居宅サービスを受けておられた患者さんのご家族様にサービス担当者会議の案内を行うと
「ここはサービス担当者会議の開催がないなあと思っていたのですが・・」と言われることがありますが、
居宅と施設では介護保険法上の決め事が違うために、サービス担当者会議開催回数のずれが発生しています。

さて、居宅ケアプラン作成料の患者さんの自己負担についてですが、
いろいろご意見はあるでしょうが
管理人は「いいことだ」と思います。

自己負担無料だからご存知ない方も多いかもしれませんが、居宅ケアプラン作成料は一回につき、予防なら3~5千円
要介護なら要介護度や事業者によっては加算がつけば高くなり、1万~1万8千円はします。

少し古いですが、平成23年の資料
http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001tonu-att/2r9852000001tp3g.pdf


何でもそうですが、自己負担を発生させたら関心が向いて、現状とは違う方向に働くと思います。
またご存知ない方もおられるかもしれませんが、居宅のケアプランはセルフケアプランと言って
利用者の方々が作ることもできます。これは作成料は当然 無料になります。
ケアプランの見直しは利用者の方々でされればいちいち、訪問を受ける必要もありません。
ケアプランは難しい・・と思われるかもしれませんが、とどのつまり、ケアプランの本を買ってくればいいことです。
過去記事にあるごとく、ケアマネの実務研修は実にお粗末ですので、ケアマネが作るにしても
結局先輩ケアマネが作っているものを見るか(その先輩のケアプランすら研修がお粗末なので怪しいことが多いのですが)、
本を見て作るしかないのです。
もっとも、要介護度に応じて、受けられる介護保険サービス量が決まってくるので たとえば要介護3で
どれくらいのサービスが受けられるのか、どんなことをしてもらった方がいいのか
最初の頃は本を読みつつ、ケアマネージャー(住所管轄の地域包括支援センターにいます)か、
介護保険の担当課に相談されたらいいと思います。
管理人の居宅サービスを受けておられる外来患者さんとご家族様をみていると「この方、ケアプラン自分で作れるだろうなあ」と
思う方は結構居られます。
主体的にサービスを組み立てたい方には向いているのではないかと思います。

ただ、患者さんの病状や後遺障害の程度、サービス事業者の人員や他の患者さんや利用者さんの関係などで 
できることとできないことがありますので、そこは医療従事者やサービス提供者との話し合いになるでしょう。

ちなみに、請求事務は市町村になるので、担当課に嫌がられる可能性はあります。


全国マイケアプラン・ネットワーク
http://mycareplan-net.com/index.html

セルフ ケアプランについて(公益財団法人長寿科学振興財団)
http://www.tyojyu.or.jp/hp/page000000900/hpg000000804.htm

セルフケアプラン法的根拠
介護保険法第41条第6項、介護保険法施行規則第64条第1号ニの規定。

介護保険法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H09/H09HO123.html

介護保険法施行規則
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11F03601000036.html



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負の側面

2016-02-07 12:16:08 | 日記

古森病院@福岡市博多区です。

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確認せずに死亡診断書作成 医師法違反容疑で書類送検

記事:共同通信社
提供:共同通信社
16/02/05
No:16/02/05

 実際に確認をせずに死亡診断書を交付したとして、三重県警生活環境課は5日、医師法違反の疑いで、同県名張市の男性医師(73)ら3人を書類送検した。

 同課によると、医師は社会福祉法人東海宏和福祉会が名張市で運営する特別養護老人ホーム「名張もみじ山荘」の嘱託医。同じ施設で働く36歳と48歳の女性看護師も書類送検した。医師は「体力が衰え、夜間の診察ができなくなったため、事前に診断書を作成し、家族に渡していた」と供述している。

 書類送検容疑は昨年3月に90代の女性、同年6月に80代の男性の死亡診断書を死亡時の診察をしないまま家族に交付していた疑い。

 看護師は医師の指示を受け、診断書に日時を記入していた。「死亡診断に医師が立ち会わないのは違法だと分かっていたが、施設の存続のためにやった」と話している。

 医師は2011年5月にもみじ山荘が開設して以来、嘱託医を務めていた。県警は、もみじ山荘は診断書交付に関わっていないと判断した。

 もみじ山荘の田中慎二(たなか・しんじ)施設長は「詳しいことが分からないため、コメントできない」と話している。

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白衣で医師装い、臨終立ち会う…死亡診断書問題
その他 2016年4月29日 (金)配信読売新聞
コミュニティの投稿を見る 14件
 埼玉県春日部市の特別養護老人ホーム施設「あすなろの郷」で医師の不在時に死亡診断書が作成されていた問題で、施設職員が白衣を着て医師を装い、女性入居者(当時101歳)の臨終に立ち会っていたことが28日、県などへの取材でわかった。

 県は「遺族をだます行為。常態化していたら、大きな問題だ」として、経緯を詳しく調べ、厚生労働省に報告する。

 県によると、3月18日から危篤状態だった女性が同20日に死亡した時、施設に勤務する介護福祉士が白衣を着て、最期をみとっていたことを、県や春日部保健所が今月26日に行った聞き取り調査で施設側が認めた。

 施設を運営する社会福祉法人「あすなろ会」の斎藤美嗣専務理事は、読売新聞の取材に「職員が遺族の前で女性に聴診器をあて、脈を測るなどして死亡を確認する医師を装った」と説明。その場に立ち会っていた看護師は遺族に「(担当の嘱託医と)別の医者を呼んだ」とウソを説明しており、施設長が報告を受けたのは、翌21日だったという。

 女性の死亡を巡っては、施設の嘱託医が3月18日、日付を空欄にした死亡診断書を施設に渡しており、女性が死亡した後、この看護師が死亡年月日と発行年月日を記入していたことが、県などの立ち入り検査で判明。医師法では、死亡診断書の作成は、医師以外できないと定められており、県は、嘱託医から事情を聞くことも検討している。

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個人的にはこの医師と看護師が今後どのような刑事処分になるのかが興味があります。
こういう事例は今でも存在していると思われること(おそらく今回明るみに出たのは
内部告発によるものでしょう)、今後増えることが予想されます。

当院は医師が常駐しているので 今のところ関係ない話ですが、
死亡診断書は、死亡時に必ずしもリアルタイムに作成される必要はありません。
医師は死亡「確認」の時間を記入すればよいからです。
実際の死亡時間は看護記録に記載しておけば済むことです。ご家族には入所時に了承を取っておくことが必要でしょう。
翌朝まで待てばよかったのではないか(次の日が休日とか連休中とか正月休みとか盆休みとか真夏とかいう可能性はあるものの)、
一晩くらいならそうご遺体も痛まないでしょう。
仕方がないので警察に介入してもらえばよかったのではないか(施設側も警察も嫌がるでしょうけど、結局違法行為に走ったら
警察の出番になるわけですから・・・)
という気がしないでもありませんが・・・。
こういう場合に 苦肉の策で、危篤の際は看取り希望対象者であっても
救急車で救急病院に搬送している例もまったく珍しくありません。ただ、救急病院に搬送する以上
治療を行う必要があり、駆けつけたご家族が「治療は希望しない」と言われた場合
「じゃあなんでうちの病院に来るんだ!!搬送を断れ!!」と過労している救急医に怒鳴りつけられたという例も
よく聞きます。救急医の言い分はご尤もです。一方で嘱託医は常勤医ではないのにも拘わらず、いかなる時も呼ばれるとなると
24時間365日縛られることになり、引き受け手がいなくなるものと思われます。

こういう場合、一体だれが悪いんでしょう?

一方で、死亡診断書は死因の統計資料として使われること、
死因が外因死か内因死か 犯罪の有無にかかわる重要なことであり、
内部で勝手に処理することが好ましくないことは確かです。

今回は施設ですが、今後 在宅でも同様の事例が報道されるように
なることは想像に難くありません。

その辺の制度設計をどうつけていくのかも今後の課題と思われます。

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