古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

運動会における組体操の中止について

2016-05-23 08:59:17 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

最近の小中学校は 春と秋に運動会を催し
二極化しているようですが

福岡市教育委員会から 今年度より 小中学校における
運動会でのピラミッドなど 危険性の高い組体操種目を全面禁止にするとの通達が出ています。

文科省の記事

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産経ニュース

2016.2.22 08:07

揺らぐ組み体操、各地で禁止へ 文科省、年度内に指針

 「タワー」や「ピラミッド」などで知られる運動会の“花形”種目、組み体操が逆風にさらされている。学校での負傷事故が相次いだことで、組み体操の実施を禁止する方針の自治体が出てきたほか、馳浩文部科学相も「実施の自制を求めたい」と年度内に事故防止に向けた指針を示す。一方、専門家からは「有効性はある」「現場の判断に任せるべきだ」との声も。春の運動会シーズンを前に学校現場が揺らいでいる。(福田涼太郎)



「国民的議論を」

 「学校現場で自主的に行われていることを中止しろと言えないが、学校には子供に対する安全配慮義務がある」

 馳氏は21日、金沢市内で行われた講演でこう述べ、組み体操の事故防止に向けた指針の必要性を改めて強調した。馳氏は19日の閣議後会見でも、「ピラミッドやタワーの教育的効果とは何なのか。どう判断したらいいか、国民も一緒に考えてほしい」と発言。実施の是非が国民的議論に発展することを期待している。

 組み体操をめぐっては昨秋、大阪府八尾市の中学校で10段ピラミッドが崩れる様子の動画が注目を集めたことなどをきっかけに実施の是非の議論が高まった。

 2月には大阪市が平成28年度からタワーやピラミッドの禁止を決定。千葉県柏市は2人一組で行う「飛行機」や「サボテン」と呼ばれる比較的簡単なものも含め、組み体操を運動会の種目から外す方針だ。

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福岡市が組み体操禁止 市教委通知、小中高など231施設 [福岡県]
2016年04月29日 03時05分

 全国の学校で組み体操の事故が相次いでいる問題で、福岡市教育委員会は28日、「児童生徒の安全を最優先すべきだ」として、市立の小中高校、幼稚園、特別支援学校の全231施設に、組み体操の禁止を文書で通知した。近く保護者にも文書を配布する。

 禁止したのは、四つんばいになった人の背中に乗り重なっていく「ピラミッド」と、肩の上などに立つ「タワー」。いずれも市内では、5段ピラミッド、3段タワーなどが主流だが、一部では高層化する傾向も見られ、「現状では、安全が十分には確保されない」として禁止を決めたという。

 スポーツ庁の調査では、2014年度に組み体操を巡る事故が全国の小中高校で8592件発生。大阪市や千葉県の7市町、東京都の都立高校や中高一貫校などでも本年度、運動会でのピラミッドやタワーを原則中止にしており、各地で中止の動きが広がっている。

=2016/04/29付 西日本新聞朝刊=

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管理人にも子供が居りますが、
今回の文部科学省大臣の問題提起に
心から感謝申し上げます。また 諸般の批判(があったであろうと思われます)を乗り越え
決断された福岡市教育委員会の英断に 初めて?福岡市民でよかったと思いました・・(笑)

管理人は 過去記事にも書きましたが
一時、他県の教育委員会に非常勤医療職技師として
勤務していたことがあります。

先生たちの健康や安全への関心、認識は 押しなべて低く、
当時 プールの飛び込み指導がようやく全面中止となったのですが

「飛び込みがなければ プールという気がしない」
などという教員の方の発言もあって、唖然としたものです。

プールを学年によって、水位を替えれるような構造にしている
学校はまだ少数派です。
低学年のために飛び込み台付近は水位が低くなっていますが
それは低学年と違い、身長の高くなってきた高学年が飛び込むときに 
プールの底に頭部を打ち付け
頸椎損傷になる可能性が高くなるということを示しています。

安全な飛び込みについての指導もきめ細かいというよりも
「思い切っていけ」などという 安全面の確保という意味ではまったく
意味のない独りよがりの指導しかありませんでした。

思い切って飛び込んだ挙句、頸椎損傷になる生徒が後を絶たず、訴訟が起こって
ようやく飛び込みが全面禁止になったのに、前述のご発言・・・
ご自分の子供が頸椎損傷になっても、何も仰らないのだろうか・・

教育界は保守的で、外部から何か意見を言おうものなら
押しなべて「教育への不当な介入である」という風潮があり
本当に必要なことすら なかなか届かない面があります。

飛び込み禁止の後も、危険な組体操の継続、柔道剣道の必須化と
安全性を無視した体育教育指導が継続されてまいりました。
組体操も柔道も学校体育の中で、頸椎損傷を含む負傷が非常に多い種目です。
根性や気合だけで 何とかなる問題ではありません。

ラグビーも頸椎損傷が多い種目ですが
部活動などで選択制ならまだしも、教育の名のもとに全員に強制して 
仮に重篤な合併症を負っても
それは運が悪いの一言で片づけられ、賠償金さえ払えばいいという風潮は
どうにもならないのかなとずっと思っておりましたので、

今回の決定を機に、学校体育教育における
安全性の配慮に乏しい風潮に風穴が開くことを期待しています。


管理人は実は、県教育庁時代に得た知見をもとに
学校保健に関する論文を二回 医学雑誌に投稿しています。


参考文献

日本スポーツ振興センター 災害共済給付支払い事例
(学校管理下における保険で、私学を含め ほとんどの学生が入っています。
給付金支払い事例が載っており、学校でどの種目でどんな事故がおこっているか
一目瞭然です。)

学校の管理下の災害(平成27年度)
http://www.jpnsport.go.jp/anzen/anzen_school/tabid/1781/Default.aspx





病院ホームページ
http://komori-hp.cloud-line.com/


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成年後見とその周辺

2016-05-20 11:49:14 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

施設につきものの話題ですが
いよいよご自分で身の回りのことができなくなり
結構な密度で 援助が必要になった時

どなたも身寄りのない方
身寄りはあるけど、縁遠いとか遠方にお住まいとか
ご高齢であるとかで、なかなか援助人のつかない方がおられます。

収入がない、あるいは低ければ生活保護という形で
援助が付きますが、

収入がある方で どなたの協力も得られず
後見人も立ててもらえない場合

やむを得ず 施設側で財産を含む生活管理を行うケースは少なからず
存在します。

当院でも何人か やむなく財産管理している方が少数おられますが、

財産管理の方は、通帳と印鑑を別々の人間が持って
預金管理をしています。
また財産管理の方は 行政監査のチェックが毎年ある上
当院役員には監事さんがおられ、その方と管理人で年に一回 財産監査をしています。
監事さんは弁護士さんでもありますので「成年後見の対象じゃ・・」と言われ、まったくその通りなのですが
対象なのにも拘わらず、諸般の事情で成年後見を立てることが難しい方が世の中にはおられるのです。
我々が家庭裁判所に申請していいのなら、いくらでも申請いたしますが
施設には今のところ、その権限はありません。

また成年後見制度は、なぜか知的機能や認知機能が落ちている方しか対象ではなく
頭ははっきりしているけど、身体障害で銀行に行くことができない方は
対象ではありません。身体障害単独で身寄りのない方はどうしておられるのか 不思議で仕方がない
管理人ですが、今のところ如何ともしがたいのが現状です。

正規レールから外れて当院で財産管理している方は、財産管理にも気を使いますが
亡くなった時に相続財産の引き渡しに非常に難渋することがあります。
身寄りの方に連絡がとれればいいのですが、全員を把握しているわけではないので
(入院時にはできるだけたくさんの連絡先を聞くようにはしておりますが)
限界があります。

以前、身寄りの全くない生活保護でもない方の相続人追跡について、役所に相談したところ、
本当に当院ではどうしようもないケースは 死亡届と引き換えに職権で何とか
相続人を追跡してくださる「だろう」とのことでした。

そうして頂かないと困ります。。。。横領などと言われたくありませんので。

ちなみに 後見や保佐、補助の対象ではないけど、認知機能がそれなりに「ない」方は 厚生労働省事業である
社会福祉協議会の日常生活自立支援事業を利用することが可能です。
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/chiiki-fukusi-yougo/

福岡市はなにかと福祉制度が遅れており、福岡市出身の管理人に言わせれば、
全然住みやすいところではありませんが 後見制度については比較的進んでいます。

福岡市社会福祉協議会は日常生活自立支援事業を利用している人に限り、後見や保佐、補助の対象になった方で
(おそらく後見報酬の関係などで)どなたも援助人のなり手のおられない方を対象に、法人後見人をつける制度を持っておられます。
http://www.fukuoka-shakyo.or.jp/work_service/seinen-kouken.html

また過去記事(専門家って・・その2 http://blog.goo.ne.jp/komori-hospital/e/15f24b8adcab6e2e02fb8f42db955d1d)にあるごとく、
お葬式の手配すらろくろくしない後見人がつくと大変ですので

身寄りのない方で福岡市内の方は同じく福岡市社会福祉協議会の事業を利用されると宜しいかと思います。

ずーっと安心やすらか事業
http://www.fukuoka-shakyo.or.jp/work_service/anshin_yasuraka.html

色んな方がおられ、当院もいろいろ調べておりますので
成果を書いてみました。

過去記事もご覧ください。

成年後見制度
http://blog.goo.ne.jp/komori-hospital/e/68263ffecdf7c4361a10d1d7e8058c5b


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男の子は健診の際に、上半身は予め裸であるべきか

2016-05-02 19:19:43 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

管理人は、実は学校医でもあり、
今日 近隣中学校に学校健診に行ってまいりました。

この行事は春の風物詩でもあります。
ちなみに女の内科学校医は珍しいので、
お年頃の女子のいる学校側には喜ばれます。

そんな管理人がここ最近、学校健診で気になること。
それは男の子は有無を言わさず、健診時は全員、上半身は予め裸に 
なっていることです。

診察する側の立場で言えば、もちろん男女問わず上半身が裸のほうが
診察しやすいです。
乳幼児健診は裸にして全部診ますが、これは虐待痕や体表の先天奇形などを
早期発見することが目的ですし、また健診でなくても
乳幼児は発熱時は発疹が出ていたりして麻疹だの水痘だの
風疹などの診断の助けになることもあるので裸にするほうが有益です。

成人は、皮疹は自己申告が出来ることが多いので、そこまでしないことが多いですが
内科の教科書では患者さんは裸にして 逐一観察するようにという記事が残っておりますし、
年配の医師は今でもその通り診察されており、王道の診察方法です。
皮膚を観察することで一発診断に繋がる疾患もあります。
全然違うことで受診したのに、聴診をきっかけに乳がんの発見に繋がったケースなども
珍しくありません。

ただ、デリカシーとか人権という観点から見れば
少なくとも学生の健診で一律に「男子だから」という
理由で、他の同級生の前で
裸になることを強要することは どうかな・・と
思います。

養護教員の先生や校長先生とお話しして、来年度からは
管理人の健診の際は男の子にもTシャツかなにか着てもらって、
診察時だけまくりあげてもらいましょうか・・と申し上げてまいりました。
管理人は中年おばさんなので、思春期の男の子たちがどう思っているのか 
よくわからないのですが、実際に胸を隠して診察ブースに入ってくる男の子も少数ながらいますし
来年 実行できるかどうかわかりませんが、その方向でお願いしていこうと思っております。

「でも運動会では男子は上半身裸になるんですけどね」
ともいわれましたケド・・・(笑)
女子もいる前で、恥ずかしい子も
いるかもです。。


男性(男の子)のみなさん いかがですか?
考えすぎでしょうか?(笑)

病院ホームページ
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追記

平成29年の学校検診が無事終わりました。 
男の子は学校側とのお話で、Tシャツを着て
ブースに入って頂きました。脱ぎ着の時間が
短縮され、よかったと個人的に思います。

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