古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

思春期の保健

2015-06-30 11:31:01 | 
古森病院@福岡市博多区です。

管理人は内科医ですが、
以前 中国地方で所属していた大学の派遣先に県教育庁という
箇所があり、残念ながら私で大学からの派遣は終了したのですが
そこで3年ほど非常勤で技師として入り、学校保健に関わっていた時期がありました。

その時の経験は得難いもので、現在、福岡市立博多中学校の学校医を引き受けたり
急患診療所などで子供を診させられているわけですが、小児科の臨床経験はほとんどなくても
保健業務や一次救急なら何とかお役目は果たせるくらいの能力を身につけることが出来ました。
(実際の対応は、管理人の子育てを通して実践しておりました(笑)管理人の子供たちは保育園児ですから
3歳になるまでありふれた病気(感染症ばかりですが)は、ほぼかかりました)

思春期保健の中で重要なものの一つに性教育があります。

管理人は県教育庁の先生に、学校保健で取り扱われる性教育の内容が
実用的でない理由についてお尋ねしたことがあります。

すると「学生の間は性交渉はしないという前提で授業が組まれるため、
(後、保健の時間が体育との合同の授業時間数のため、あまり時間数としてもない)
性交渉のことよりも妊娠中のことや、結果 生まれてきた命についての授業、
せいぜい、男女の解剖学的な体の違いについての教育しかできない」と言った趣旨のお答えを頂きました。
従って、産婦人科医などが学校に性教育の講師として呼ばれ、空気を無視して
コンドームの使用などについて話されると非常に困るそうです。
婦人科の医師は婦人科で、10代の望まない性交渉やそれに伴う心の傷だったり、
HIVやクラミジア感染症などに感染して
将来の妊娠に影響が出てきている実情、望まない妊娠出産、
あるいは中絶などなどの現実に日々向き合い、心を痛めているので 家庭教育や学校教育には任せておけん!と
思っておられる方が結構いらっしゃるのも、同じ医者としてわからないこともありません。

最近は、今まで見て見ぬふり?寝た子を起こすなといった感じの
その手の分野の心を含めた教育にうってつけの本がじわじわ発売されておりますので
ご紹介いたします。

男子の性教育(保健体育教員の書かれた本)

http://www.amazon.co.jp/%E3%82%A8%E3%83%83%E3%83%81%E3%81%AE%E3%81%BE%E3%82%8F%E3%82%8A%E3%81%AB%E3%81%82%E3%82%8B%E3%82%82%E3%81%AE%E2%80%95%E4%BF%9D%E5%81%A5%E5%AE%A4%E3%81%AE%E7%A4%BE%E4%BC%9A%E5%AD%A6%E2%80%95-%E3%81%99%E3%81%8E%E3%82%80%E3%82%89-%E3%81%AA%E3%81%8A%E3%81%BF/dp/4759267395


エッチのまわりにあるもの(養護教員が書かれた本)

http://www.amazon.co.jp/%E7%94%B7%E5%AD%90%E3%81%AE%E6%80%A7%E6%95%99%E8%82%B2-%E6%9F%94%E3%82%89%E3%81%8B%E3%81%AA%E9%96%A2%E4%BF%82%E3%81%A5%E3%81%8F%E3%82%8A%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AB-%E6%9D%91%E7%80%AC-%E5%B9%B8%E6%B5%A9/dp/4469267600

思春期のこどもの読み手も想定して、丁寧に書かれています。

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創意工夫

2015-06-25 17:30:24 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。


少し前のことですが、ニュースで、介護ベッドの事故がちらほら報道されておりました。
当院にはいわゆる「寝たきり」の患者さんが多く入院されておられますが
一言で 「寝たきり」と言っても、動ける能力は本当に千差万別で、
予め予測できる方は、事故にならないようにこちらも防御できるのですが
ときどき、この人が?!という方に予想外のことが起きることがあります。


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介護ベッド事故、6割が死亡か重傷 NITE注意喚起

2014/9/12 23:00

日経ものづくり

 「介護ベッドによる高齢者の事故は、死亡や重傷といった重篤な被害につながりやすい」――製品評価技術基盤機構(NITE)は、介護ベッドおよび電動車椅子による高齢者の事故防止について注意喚起を行った。介護ベッドの事故について見てみると、2009~2013年度の5年間にNITEに通知された高齢者(65歳以上)の事故79件のうち、死亡と重傷がそれぞれ24件あり、約6割に達していた。

 中でも多いのが、サイドレールと呼ぶ転落防止柵のすき間や、ベッド本体と家具のすき間に体を挟み込むといった事故。細いすき間に頭部や頸部を挟み込むと窒息して死亡に至る。例えば、2013年3月には、90歳代の女性がサイドレールとベッドのヘッドボードのすき間に首を挟み込んで死亡した。リクライニング時にベッドとサイドレールの間に挟み込まれるといった事故も多いという。


 介護ベッドはかねて挟み込みの事故が多かったことから、2009年3月にJIS規格(T9254、T9205)が改定され、人の首や頭を想定した所定の治具が入り込まないことを確認することが求められるようになっている。改定以降に販売された介護ベッドはほとんどがJISに準拠しているという。そのかいあってか、高齢者の介護ベッドの事故は2011年度の24件をピークに減少傾向にあり、2013年度は4件にまで減っている。

 しかし、新基準に対応した介護ベッドでも、すき間に入り込むまでは至らなくても頸部がすき間に乗っかるような形で窒息して死亡するといった事故が起きているという。またサイドレールを逆に取り付けてしまい大きなすき間ができ、そこに挟み込まれるといった事故もある。そのため、NITEは、頭部や頸部、手足が挟まりそうなすき間がないか、ベッドとサイドレール、マットレスなどの組み合わせが適切か、家具との間に十分なすき間があるかなどを確認するよう呼び掛けている。

(日経ものづくり 吉田勝)


[日経テクノロジーオンライン 2014年9月12日掲載

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「火事場のなんとか」という言葉がありますが
こうしたい!!!!という思いが患者様を突き動し、こちら側が思いもよらない行動に
発展するのでしょう。
しかし、事故になったら大変なことになります。

当院でもベッドサイドレールには気を使っておりますが
首は挟まなくても、手や足をすきまから出される人はおられ、
低床にして緩衝マットを敷いたり、サイドレール業者の持ってくるガード用のプラスチック製の板を
レールとマットの間に挟んだりしているのですが、患者様によっては、
却って擦ったり、ぶつけたりしてけがのもとになることがあります。
年配の方は 皮膚が弱い方が多く ちょっとした打撲でも
すぐに皮がむけたり出血したりされます。

あまりにベッドサイドレールがらみで
手足にあざができる場合は、手製のキルトでカバーを作ったり
布団などをサイドレールにかけたりすることもありますが、
先般、他の目的で購入したお風呂マットが外傷であざができやすい方の
ベッドサイドに置くのに好評だったので、ご紹介します。

ニトリ 防かびバスマット
https://www.nitori-net.jp/store/ja/ec/%E3%83%90%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%88%E3%82%A4%E3%83%AC%E3%83%BB%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%89%E3%83%AA%E3%83%BC/%E3%83%90%E3%82%B9%E7%94%A8%E5%93%81/%E9%A2%A8%E5%91%82%E3%81%B5%E3%81%9F%E3%83%BB%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%88/8516003s


これは一枚700円程度で、かなり分厚くて軽く、この手の商品としては安い方だと思います。
ベッドサイドレールは介護のためによく外しますので、手軽に外せて丈夫というのが
一番です。見た目と、寝ている患者さんの視界を遮るのがいまいちなのですが・・・

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多職種連携会議

2015-06-23 12:07:08 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

今日も業界向けの話です。

地域包括ケアと関係ない?当院ですが
先日、某団体主催の多職種連携の会議に行ってみました。

グループワークがあるというので
期待していったのですが、、、。

テーマが退院前カンファについての話で、予想通り
当院とは全く関係ない話題でした。

しかし、そこで予想以上に医師以外の職種の方々が
主治医がカンファに参加しないことへの不満が強いことを知りました。

主治医と言っても急性期病院の主治医のことで、
在宅の主治医の話ではありません。

しかも多職種連携の会議には、忙しい急性期病院の医師や看護師は誰も
参加していませんでした。
つまり言いっぱなしということです。
せめて、アンケートか何かで集計をとって、急性期病院に
送ればいいのでは?と思いました。

退院前カンファで病状説明が終わると、カンファの途中で急性期病院の関係者が
「じゃあ、ここから先は在宅の方々で・・」と言って、席を立つのも
「私たちは介護はかんけーないから」という感じで、せっかく呼ばれた
在宅関係の方々はむっとするようです。しかも「明日退院だから」と急に言われ、
関係職種の方々を急きょ集めるのも在宅側から視たら、本当に大変(当たりまえですが)です。

そもそも退院前カンファは、地域包括ケアのためというよりも
報酬ありきのカンファだから理想と違う状況になってしまうという面があり、誰が悪いという
問題でもありません。(しいて言えば、仕組みに問題がありますが、、、)

急性期職員を擁護すれば、入院期間の短縮のため、患者さんの病状と名前を把握するだけで
精いっぱい、どんな家庭環境で、どんな在宅生活を望んでいるかなど聞く暇もないというのが
現状だと思います。。重症患者も多く(重症患者でないと点数が取れないので)
医師も看護師も外来と病棟、検査、(外科なら)手術で1日があっという間に過ぎます。

そういう意味では急性期の職員と在宅の人たちが連携して、病状以外の情報で本人の願いに沿った
在宅生活を実現することは困難な状況と言えます。

また昔に比べれば、ずいぶん少なくなりましたが、
未だ勘違いちゃんの急性期病院の医師も健在なようです。
子供レベルの話もちょっと?!聞きました。

多職種連携の道のりは遠そうです。というか、いちいち関係者全員が病院に行かなくても
紹介状とか、何かわからないことがあれば、電話で聞けばいいようにして点数をつけたら
いいんじゃないかと思います。まあ、多職種が顔を合わせることに意義があるのかもしれませんが、
現状ではブーイングだらけのようです。

また在宅関係者は急性期病院の医者に理想的な幻想を抱きすぎのような気もします。
(先生の一言は重いって言われますが、そうかなあ・・・?)
もっとも医者だけ多忙を理由にカンファに来なくても、特別扱いみたいなことが嫌なのかもしれませんが・・。
会議をスカイプとかラインでもオッケーにしたら、ずいぶん楽でしょうね。

ちなみに私たちもたまに、急性期病院からの紹介患者様が入院されますが、
紹介元からの紹介状とわからないときは電話で十二分で
退院前カンファに参加しなくても(というか療養病床に行くときは開かれません(笑、診療報酬がないから)、
特に何も困ってはおりません。

以上、古森病院でした。
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誰のための「院内」薬局なのか

2015-06-17 02:07:02 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

少し前のことですが、はあ?と言うニュースが飛び込んで参りました。

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病院と薬局の「敷地内併設」容認へ 厚労省が規制見直し
産経新聞より



 厚生労働省は9日、病院の敷地内に薬局を併設することを認める方針を固めた。これまで同省は「医薬分業」の一環として、病院と薬局を同じ建物や敷地内に併設することを認めない参入規制を省令で定めていたが、患者の利便性を考慮して、薬局の経営の独立性確保を前提に、敷地内に併設する「門内薬局」を認める方針に転じた。

 厚労省は薬の過剰投与といった薬漬けを防ぐため、病院の窓口で薬を受け取る「院内処方」より、医師の処方箋を受けて薬局の薬剤師が調剤する「院外処方」を推進してきた。構造的にも病院と薬局間に道路やフェンスの設置などを定めている。

 これに対し、政府の規制改革会議は病院で処方箋を受け取り、薬をもらうのに道を挟んだりした薬局まで行くのは不便で、高齢者や体の不自由な人の負担が大きいとの観点から見直しを求めていた。

 当初は反発していた厚労省も「高齢者らへの対応は配慮したい」と歩み寄り、「嫌がらせのような規制は見直す」(幹部)として、フェンス設置などの形式的な規制をなくし、利便性を改善する方向に傾いた。ただ、病院の建物内に薬局を併設するのは「母屋と店子(たなこ)の関係になり、薬局の独立性が保てるか疑問」と難色を示しており、敷地内の併設にとどめる見通しだ。
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現在、院外処方推進のため、外来患者さんの利便性はかなり損なわれています。(総合病院を除く)
利便性低下の理由ですが、とにかく時間がかかりすぎる、プライバシーが配慮されない
(性機能関係治療中、感染症の人、難病の人、悪性腫瘍の人など病歴を拡散したくない人はたくさんいますし
じいちゃんばあちゃんは耳が遠いので、勢い薬剤師さんの声も大きく、待合室の人も聞きたくもない話を
聞かされたりしています。)、院内処方に比べ、自己負担が高価と言うことが挙げられます。

当院は入院患者さんが居られますので、建物内に自前で薬局があり、
院内処方を行っています。薬剤師の立場も、医師から独立していますし、カルテがあるので
病歴を患者さんに聞く必要がありません。
しかもくどいですが(笑)、料金は院外処方に比べ安いです。
当院が院内処方だからという理由で、外来に来院される方も少なくありません。
他院の薬もカルテに手帳をコピーしたり、直接 当該調剤薬局にお伺いしたりして
把握していますし、残薬確認もしています。薬で儲ける時代はすでに終了しており、
特に院外薬局に比して、劣っているとも思いません。

院外処方の値段を下げる方向にも向かっているようですが、持ちこたえる調剤薬局が
どこまであることやら。。とニュースを聞きながら思う管理人でした。


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地域包括ケア時代の在野医師に求められること

2015-06-07 19:28:51 | 日記
こんばんは。古森病院@福岡市博多区です。

先日、某基幹病院の医師と地域包括ケアに於ける在野の(往診など
担う)医師に求められることについてお話しする機会があり、その内容を
ブログにアップすることとしました。

ドクター「いやー、最近頼まれて、往診の手伝いに行ってるけど
本当に大変だね~。何時もなら、はい、明日◯◯科に紹介しますねで
済むのに、在宅だとそうはいかないもんなー」
管理人「そうですよ。うちは療養型ですけど、ありとあらゆる病気の患者さんが
来ますもん。小児科とお産以外は全て降りかかってきますからね~。自分が見たことないからって
全部、外部に投げれるわけではありませんもんね。」
ドクター「(爆笑)ホント、ホント。出産は関係ないもんな。
でも内科だから、外科は見ませんというわけにも行かないし。
ちょっとした切開とか縫合とか当然出来ないといけませんよ。」
管理人「私もうちの病院に来てから、必要に迫られて
他科の勉強、結構しましたよ。最近は本もDVDも充実してますよね」
ドクター「そういう意味では、救急科のドクターとか向いてるかもしれんよね。地域包括ケアに。」
管理人「確かにあらゆる病気を見ますし、処置もしますからね~。ただ一期一会の科ですから
あまり長期的に患者さんを観たりされる事はないでしょうけど」
ドクター「 」管理人「 」(以下、延々と盛り上がる)


管理人も時々、往診などすることがありますが
在宅で特に留意しないといけない事は、
①往診という時点で、何らかの医療機関に通えない事情があり
自分でもある程度、見たことのない科の病気について勉強する必要がある。わからない事は
わかる人に相談する。
②疲労している家族に連絡その他で、過剰な負担を掛けないように留意する。いざという時の目安、
対応について十二分に話し合っておく。内服は簡潔処方とし、一包化する。
③診療の限界を決めておく。在宅と決まってなければ、必要以上に在宅で抱え込まない。
④家族やご本人の急激な治療方針の変更に寛容になる。
⑤完璧を目指さない。適当なところで目を瞑るコトも必要。
(内服忘れとか、飲酒とか喫煙とか、食べてはいけないモノを食べたとか(笑))
⑤は結構、内科医は得意かも?!少なくとも管理人は得意です。
⑥虐待の兆候に留意する。

今度、医師会主体で多職種連携の会があり、参加予定です。
地域包括ケアとは関係ない?!当院ですが、勉強してきます。


ホームページ http://komori-hp.cloud-line.com/

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