古森病院@福岡市博多区 病院管理者のブログ

ベイサイドプレイス近隣にある長期滞在型病院です。投稿記事は管理者の独自見解であり、医療法人の見解ではありません。

フルロナ

2022-12-24 23:01:56 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

コロナ感染も、インフル感染も
立ち上がりつつある今日この頃。

当院でも散発的に職員が罹患していますが、
皆さんの協力(動線分離、欠勤カバー、N95マスク、フェイスシールド、
早めの体調不良申告)で、クラスターには発展していません。今の段階では。

ワクチンも少なくとも入院患者さま方は 接種券が来ている方は
随時 着々と接種しており、備えはバッチリです。

中には一度も打たれてない方もおられ、来年三月までに打たないと
オミクロン対応ワクチンが打てなくなる可能性あり、患者さまはじめ
職員とご家族さまの協力をいただいております。

ところで、先日 管理人が調べたわけではありませんが、
当院外来で インフルエンザ抗原検査とコロナPCRが
陽性の方がおられました。

管理人はインフルエンザが陽性なら
コロナまでは調べない(治療方針に差がない、費用対効果も
ないため)のですが、確かにコロナは待機期間の事もあるし、、
全く意味がない訳ではないです。
かといって、全員調べるのはお金の無駄な気も。
タミフルで反応しなかったときに、考えよう。。と
思います。

ちなみにちょっと調べたら、大阪大学の感染症内科の忽那教授の
記事にフルロナの話が書いてありました。
論文を引用すべきところ、すみません。

https://news.yahoo.co.jp/byline/kutsunasatoshi/20221029-00320655

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今年はオーストラリアで新型コロナとインフルエンザの同時流行がみられました。

これらのウイルス性呼吸器感染症について「同時に感染したらどうなるの?」と周りの方によく聞かれるのですが、そもそも同時感染は起こり得るのでしょうか?同時感染するとしたら重症化しやすくなるのでしょうか?

ウイルス干渉とは?
複数の呼吸器系ウイルスが同時に流行している時期に、人が同時に、あるいは連続してウイルスに感染することでお互いの感染に影響を与えることがあります。

例えば、新型コロナウイルスに感染した人が、その後にインフルエンザに感染すると、新型コロナウイルス感染症の経過がインフルエンザウイルスによる影響を受けるということです。

これは「ウイルス干渉(Viral Interference)」と呼ばれ、1960年代から複数のウイルス間の相互作用について研究されています。

例えば、あるウイルスに感染すると一時的に自然免疫によりインターフェロンが誘導され、次に感染するウイルスの増殖を抑える作用が起こると考えられています。

すごく簡単に言うと、人があるウイルスに感染すると免疫が活性化するので、その時期に他のウイルスが入り込んできても追い払われることがある、ということです。

これは、マウスの実験や人でも証明されていますし、疫学的にもRSウイルス感染症とインフルエンザの流行時期がずれることはこの「ウイルス干渉」が関係しているのではないかという報告もあります。

新型コロナとインフルの同時流行は起こらないのか?
ではウイルス干渉があるから新型コロナとインフルの同時流行は杞憂に過ぎないのでしょうか?

残念ながら、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスとのウイルス干渉については研究がまだ十分ではなく、相互に与える影響については未知の領域です。

しかし、新型コロナウイルスとインフルエンザウイルスとの間のウイルス干渉は、少なくとも人にとって良い方向には働かなさそうという報告が増えてきています。

2017年から2022年までのオーストラリアにおけるインフルエンザ患者数の推移(オーストラリア保健省の資料より)
今年の5月から6月にかけて南半球のオーストラリアで新型コロナ発生以降初めてのインフルエンザの流行がみられました。

この時期、オーストラリアでは1日あたり2万〜6万人の新型コロナの感染者が報告されており、まさに同時流行が起こっています。

つまり、新型コロナとインフルエンザのウイルス干渉により同時流行は起こりにくい、という期待は現時点では楽観的すぎるかもしれません。

新型コロナが出現してからの数年間、ほとんどの地域でインフルエンザが全く流行しなかったのは、新型コロナの感染対策が徹底して行われたこと、海外からのウイルスの流入が激減したことなどが原因であり、感染対策も緩和が進み、海外からの旅行者が急増している今シーズンは同時流行の可能性は低くないと考えられます。

新型コロナとインフルの同時感染では重症化しやすくなる
ウイルス干渉には疾患の重症度や病原性を悪化させるものもあり、インフルエンザウイルスと新型コロナウイルスの組み合わせは、この悪い方のウイルス干渉に当てはまる可能性が指摘されています。

ハムスターを用いた実験では、それぞれのウイルスに単独で感染させた場合よりも、同時にあるいは連続して感染させた方が重症度が高くなるという結果でした。

イギリスでの調査では、新型コロナに感染した6965人について呼吸器系ウイルスとの同時感染を調べたところ、227人がインフルエンザウイルスと同時感染していました。

インフルエンザと同時感染していた患者は、新型コロナ単独感染の患者よりも4.1倍人工呼吸管理となりやすく、2.4倍死亡しやすいという結果でした。

これらの結果からは、新型コロナとインフルエンザのウイルス干渉は、悪い方に働く可能性が高いと言えます。

今シーズンは新型コロナ、インフルエンザの両方に備えよう
このように、今年は新型コロナとインフルエンザの同時流行が起こる可能性があり、また万が一同時感染ということになれば重症化につながるかもしれません。

すでに同じ北半球のアメリカでも増加傾向にあり、日本国内でも大阪府などで報告数が増えてきています。

これらが必ずしも同時に流行のピークを迎えるというわけではありませんが、それぞれの感染症についてしっかりと備える必要があります。

新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンとの接種間隔(厚生労働省資料より)
インフルエンザワクチンについては10月から全国の医療機関で接種が開始されています。

また、新型コロナワクチンについては、オミクロン株対応ワクチンが接種できるようになっています。

当初は新型コロナワクチンとインフルエンザワクチンは同時に接種することで副反応の増強や有効性の低下が懸念されていたことから、同時接種はできませんでしたが、同時接種を行ってもそれぞれのワクチンの有効性が損なわれることはないことが分かったこと、そして副反応についても特に増強することがないことが分かったことから、今シーズンから同時接種が可能となりました。

また、同じ日でなくとも、14日空ける必要はなく「接種間隔についても問わない」となりました。

例えば今日インフルエンザワクチンを打って、明日新型コロナワクチンを接種する、ということも可能になりました。

これにより、柔軟に接種スケジュールを立てることが可能となります。

同時接種にこだわる必要はありません。流行期の前にそれぞれのワクチンを接種して流行に備えましょう。

※大阪大学大学院医学系研究科では、新型コロナに感染したことのある方の後遺症の症状について継続的に調査を行っています。研究の詳細はこちらからご覧ください。これまでに新型コロナと診断されたことのある方は、こちらからアプリをダウンロードいただきぜひ研究にご協力ください。

記事に関する報告

忽那賢志
感染症専門医
感染症専門医。国立国際医療研究センターを経て、2021年7月より大阪大学医学部 感染制御学 教授。大阪大学医学部附属病院 感染制御部 部長。感染症全般を専門とするが、特に新興感染症や新型コロナウイルス感染症に関連した臨床・研究に携わっている。YouTubeチャンネル「くつ王サイダー」配信中。 ※記事は個人としての発信であり、組織の意見を代表するものではありません。本ブログに関する問い合わせ先:kutsuna@hp-infect.med.osaka-u.ac.jp
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参考まで。

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表現の自由か

2022-12-18 11:22:45 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

少し前のことですが、いわゆる「萌え絵ポスター」が大阪駅に掲示されたことについて
前衆議院議員さんが批判的に取り上げたことがニュースになっていました。そのことについて
弁護士ドットコムニュースで取り上げられた記事を読みました。

https://news.yahoo.co.jp/articles/2df2ce1a2e495eb943403e7900e56fc16bce2012

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大阪駅の萌え絵ポスター、憲法解釈論では「問題なし」 平弁護士と考える「表現の自由」

12/16(金) 13:00配信
弁護士ドットコムニュース

話題になった尾辻かな子氏の投稿

立憲民主党の前衆院議員・尾辻かな子氏のツイート投稿で話題となったJR大阪駅のポスター。対戦型麻雀ゲーム『雀魂』(じゃんたま)とテレビアニメ『咲-Saki-全国編』のコラボ広告だったが、一部ネット上では「性的だ」という声があがり、ジェンダー論や憲法論にとどまらず、燃え広がった。

【画像】話題となった尾辻かな子氏のツイート

今回の「萌え絵」をめぐる議論について、行政事件や憲法訴訟に取り組む平裕介弁護士に聞いた。

●広告の「表現の自由」>「見たくないものを見ない自由」

――今回の広告は「法的」に問題があるのか?

法的に問題はありません。問題となった広告は、刑法175条のわいせつ文書にも、自治体の青少年保護育成条例のわいせつ文書にも、いわゆる児童ポルノ規制法の児童ポルノにも該当しないことは明らかです。

また、電車内の広告放送に関する判例「とらわれの聴衆」事件判決(最高裁判所第三小法廷昭和63年12月20日判決)に照らすと、広告を見たくない人が広告を見たことにより精神的苦痛を受けたなどとして、広告の掲載者側に損害賠償を請求しても、そのような請求はまず認められないでしょう。

この判決の解説で、紙谷雅子教授(学習院大学)は、「見たくないものを見ない自由」の問題は「聞きたくないものを聴かない自由」の問題の場合とは異なり、「『とらわれの聴衆』の議論がなされない」と指摘しています(長谷部恭男ほか編『憲法判例百選Ⅰ 第7版』(有斐閣/2019年)45頁)。

この解説は、「聴覚よりも視覚の方が外部からの表現を回避しやすい」(同頁)ことから、視覚の場合には、より「憲法上保護されない自由」だと位置付けられることになるので、広告表現を含む「表現の自由」(憲法21条1項)のほうがより優越するということを意味しています。

この判決に照らせば、憲法は、駅など人々が行き交う公共の場所において「性的」な広告によって一瞬あるいは数秒でも不快な思いをせずに公共空間を出歩きたいとか、見たくない「性的」表現を一時的にであっても見たくないといった利益を手厚くは保護しておらず、他方で、開かれた公共空間においてこそ、効果的である「メッセージを聞かせたい聴衆の探索」(同頁)という広告表現(憲法21条1項)の価値を手厚く保護しているということになります。

これが「とらわれの聴衆」事件判決から導かれる帰結です。

●世間には「憲法解釈論」を軽視する風潮がみられる

――今回の議論について、どこに問題があると考えるか?

法的に問題がないということであれば、まず、国会議員等は憲法尊重擁護義務(憲法99条)を負っているのですから、憲法で保障された自由・人権の行使を合理的な理由なく妨げることを支持する発言をすべきではありません。地方議会議員も権力者側ですから、基本的には国会議員と同様に考えるべきです。

また、元国会議員であっても、同じ政党の現職の国会議員への影響力や支持者への社会的な影響力の大きさを考慮すると、そして特にこれから政界に復帰される意思があるというのであれば、憲法99条の理念を尊重して発言をすることが「立憲」的であるといえるでしょう。そうではない発言は「非立憲」的であるといえます。

私たち市民も、上記のような「非立憲」的な動きを有権者・主権者として監視すべく、国会議員等が憲法判例や憲法学の専門家の意見を尊重した政治をおこなっているのか見極め、そうでなければ萎縮することなく表現の自由を広く行使して批判すべきでしょう。

これは私たちの憲法やその価値を守ることに資する「不断の努力」(憲法12条前段)でもあります。

先に述べた「とらわれの聴衆」事件判決の伊藤正己裁判官は、補足意見の中で、(1)聞きたくない音を聞かないことにより「心の静穏を害されない自由」は表現の自由等のような「精神的自由」には該当せず、(2)「広い意味でのプライバシー」と呼ぶことができるとし、そのプライバシーも「公共の場所にあっては」家などにいる場合と比べて、より多くの「制約を受ける」ものだと述べています。

また、この伊藤裁判官は、別の判例(最高裁判所第三小法廷昭和59年12月18日判決)で、「駅前広場」など「一般公衆が自由に出入りすることができる場所」については「具体的状況によってはパブリック・フォーラムたる性質」を有することになり、その場合には「表現の自由の保障を無視することができない」と述べています。

すると、駅前などは、パブリック・フォーラムたる性質が認められうることに照らしてみても、公共の場所での表現の自由(広告の自由を含む)は憲法上、特に保護されるべきものということがいえます。

これらの補足意見の考え方に立つと、「公共の場所」「公共空間」「公共スペース」であるという事情は、むしろ、聞きたくない音を聞かない自由や見たくないものを見ない自由を主張する者の側に不利に働くはずのものです。

にもかかわらず、一部の国会議員・元国会議員、ジャーナリストなどは、この「公共の場所」概念を表現規制(法的規制・自主規制)を強める、あるいは表現を抑制すべき方向の議論の根拠として、特に問題意識なく当然のように使ってしまっています。しかしこれは問題です。

最高裁判決や学説の憲法解釈を活かす考え方を基本とするのが、立憲主義にも適合すると思いますが、世間の風潮は必ずしもそうなっておらず、逆に憲法解釈論を軽視・無視し、報道する側も安易な表現規制に乗っかってしまっている場合もあるように感じられます。

このように「見たくないものを見ない自由」は、「公共の場」においては、むしろ、広告表現を含む「表現の自由」に劣後する、というのが基本路線あるいは原則的な考え方といえます。にもかかわらず、「声の大きな」人あるいはクレームを増幅させられる人(議員や元議員等を含む)によって、原則と例外が逆転させられてしまっているという現象がみられ、これは立憲主義の精神との関係で問題だと思います。

なお、ゾーニングの話をしているのであって、表現の自由の話をしていないなどという旨の言説もあるようですが、これは間違いで、ゾーニングは表現の場所等の規制となるものですから、表現の自由そのものの問題です。

ちなみに、性表現のうち、ポルノグラフィティーについて「ジェンダー構造を再生産する」という立場から規制を求める動向もあります。しかし、たとえば宍戸常寿教授(東京大学)は、憲法の教科書で、現段階の日本においては「こうした動向は広く支持されているとはいえない」(渡辺康行ほか『憲法Ⅰ』(日本評論社/2016年)223頁)と解説しています。少なくとも現段階では、憲法学の専門家には広く支持されていない考え方だということです。

また、松井茂記教授(ブリティッシュ・コロンビア大学)は、ポルノによる性表現が女性の「人間性を傷つけ、その尊厳を損なう表現」だということで問題にするのであれば、「女性」の場合だけに限定すべき理由が乏しいことから、「およそ人間性を傷つけ、その尊厳を損なう表現はすべて禁止されうることになろう」とし、さらに「おそらく戦争の犠牲者やテロ行為の犠牲者の写真や映像も、公表できないことになろう」と解説しています(松井茂記『インターネットの憲法学 新版』(岩波書店/2014年)169頁)。

このように、「ジェンダー構造を再生産する」とか「女性の人間性を傷つけ、その尊厳を損なう表現」だといった理由で、表現の自由を制限する方向の議論を展開することは、表現の自由が広く制限されすぎてしまうことにつながりかねず、問題でしょう。

なお、国会議員等が、与党の解釈改憲や検察庁法の改正問題を批判した際には、憲法学や法律学の通説あるいは多数説によるべきとしつつ、別の局面では少数説の立場に立つという態度は、結局のところ、憲法学や法律学の専門家の意見を尊重して判断をするというのではなく、自分たちの立場と意見が合致するのであれば、専門家を都合よく利用するといった態度である可能性が高いといわざるを得ないでしょう。

ですから、そういった態度が国会議員等の権力者やこれから国会議員になる可能性のある者の発言等から見え隠れする場合には、市民としては、そうした政治姿勢を注視し批判すべきでしょう。

●事実上の圧力による「自主規制」はデメリットもあるので慎重に

――公共空間における「広告」のあり方はどう考えるべきか?

「不快」と考える人が相当数あるいは多数いるからといって、多数者の意見を重視して、公共空間から特定の表現を排除するというのは、そもそも少数者の人権を守るという自由主義・立憲主義の精神に反するものです。

そのため、公共空間における「広告」のあり方に関して「ゾーニング」などの自主規制を強化すべきであるという意見もあるようですが、安易な自主規制は(もちろん憲法判例や憲法学説等を軽視した法的規制も)問題です。

自主規制には、(1)被規制者・利害関係者の権利・利益の侵害、(2)民主政プロセスに対する特権性・閉鎖性、(3)非効率性・高コスト性というデメリットあるいは潜在的危険性があります(原田大樹『自主規制の公法学的研究』(有斐閣/2007年)232~234頁参照)。

そこで、自主規制を設けたり、強化する場合でも、最低限満たすべき許容条件として、6つの指針的価値、すなわち(1)公平性、(2)公正性、(3)正統性、(4)透明性、(5)有効性、(6)効率性を満たすことを要求すべきでしょう(同書243~244頁参照)。

たとえば、国会議員や元国会議員の事実上の圧力や、声の大きな団体の意見ばかりが取り入れられたような自主規制のルールというのは、これらの要件のすべて、あるいはほとんどを満たさないことから不適当と考えられます。

性表現に対する考え方は個々人の「性道徳」の問題とも密接に関わります。しかし「道徳」はその意味合いや外延が曖昧で不明確ですから、人々の利害を調整する場合には「法」を基準とする方が良い場合が多いといえます。「道徳」教育や「ジェンダー」教育も大事でしょうが、日本では、子どもだけではなく大人の「法教育」「憲法教育」が圧倒的に足りていないのではないかと思ってしまいます。

私自身も憲法の教科書を書いたこともありますが(齋藤康輝=高畑英一郎編著『Next 教科書シリーズ 憲法〔第2版〕』(弘文堂/2017年/共著・基本的人権の保障と限界等の章を担当))、より多くの方に憲法や法律の入門書や教科書を読んでいただきたいですね。

【取材協力弁護士】
平 裕介(たいら・ゆうすけ)弁護士
2008年弁護士登録(東京弁護士会)。行政訴訟、行政事件の法律相談等を主な業務とし、憲法問題に関する訴訟にも注力している。日本大学法学部・法科大学院、國學院大學法学部非常勤講師。審査会委員や法律相談員、公務員研修の講師等、自治体の業務も担当する。

事務所名:永世綜合法律事務所
事務所URL:https://eisei-law.com/

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コンビニにおける成人向け雑誌や青少年向けの漫画雑誌の表紙に よく女性が
露出の高い服装で写っているのを見かけます。街中での「萌え絵」と言われる
顔つきは子供だが、体型が成人で、露出の高めの服を着ている(多くは女性)の絵も
たまに見かけます。

これはビジネスや表現の自由として、あくまで個々人の契約その他 自発的に
なされるものなら 尊重すべきでしょう。

しかしこういう類の画像が 公衆の場に氾濫すると、

「女性は露出の高い服を着せて、公共の場に晒してもいい生き物である。」
⇨⇨女性に対するルッキズム(見た目重視)を増長する。

こういう風潮に 往々にしてなりやすくなりませんか?

一般に、そういう画像を街中に晒して 女性が何も言わなければ
男性は「文句がないんだから、そういうふうに扱ってもいい」と無意識のうちに
考えます。
(もっとも女性が 声高に文句を言うと、この議員さんみたいに炎上するのです。
この議員さんみたいな意見の方は 女性の中にも少なからず存在すると思われます)

世の中の人は(特に男性)は 露出している女性が自分の意思で露出しているとは
あまり考えていません。

女性は露出させていい。そして性的に消費して良い生物。

と 個人を超えて、なぜか女性全般のこととして捉える人も少なからずいるのです。

なので、全く関係ない女性が 男性から性的な嫌がらせや性犯罪に遭う機会が非常に増えやすくなります。
女性の中で、性的嫌がらせを一度も経験したことがない人はほとんどいないでしょう。
男性の性的嫌がらせを受けたことのある人の数と比べると、圧倒的に多いはずです。

女性への性的嫌がらせには、性欲だけでなく、
男性の支配欲や女性蔑視の概念も少なからず入っていることは
性科学や性犯罪に関わる人の間では 結構有名な話です。
こう言う公共の場で見かける露出の高い女性の画像は、女性蔑視を
少なからず 無意識のうちに増長します。


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(再掲)ちなみに、性表現のうち、ポルノグラフィティーについて「ジェンダー構造を再生産する」という立場から規制を求める動向もあります。しかし、たとえば宍戸常寿教授(東京大学)は、憲法の教科書で、現段階の日本においては「こうした動向は広く支持されているとはいえない」(渡辺康行ほか『憲法Ⅰ』(日本評論社/2016年)223頁)と解説しています。少なくとも現段階では、憲法学の専門家には広く支持されていない考え方だということです。

また、松井茂記教授(ブリティッシュ・コロンビア大学)は、ポルノによる性表現が女性の「人間性を傷つけ、その尊厳を損なう表現」だということで問題にするのであれば、「女性」の場合だけに限定すべき理由が乏しいことから、「およそ人間性を傷つけ、その尊厳を損なう表現はすべて禁止されうることになろう」とし、さらに「おそらく戦争の犠牲者やテロ行為の犠牲者の写真や映像も、公表できないことになろう」と解説しています(松井茂記『インターネットの憲法学 新版』(岩波書店/2014年)169頁)。

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管理人はジェンダー保護の立場から、公共の場での性表現は控えめに行うべきと思います。
性表現の自由について、上記のように「こうした動向は広く支持されているとは言えない」と強調されるのは
男性がほとんどです。女性の話ですから、女性に対し、意見を求めるべきです。上記に引用されている
憲法の専門家が、女性の意見を幅広く聞いてから 
本当に広く支持されているとは言えないと言われているのかは、甚だ疑問です。

男性の多い法曹学者だけで 決めつける話ではないでしょう。
複数の女性の憲法学者のご意見も、上下関係のない環境で
ぜひ聞いてみるべきではないでしょうか?

性表現の媒体がなくて困るのは、男性の方が多いと思います。
男性の専門家が性表現の自由について、「尊重すべき」と主張すると、
憲法とは関係ない、私情の話のように聞こえますから、

性表現に関わっている方だけでなく、関わっていない女性を含め、広く女性の意見を聞いて
ご意見を言っていただきたいと思います。

ちなみに他国では、女性の露出の多い広告を法律で禁止している国も
少なからずあります。

https://toyokeizai.net/articles/-/591916

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仕事人間の末路

2022-12-11 00:23:15 | 日記
古森病院@福岡市博多区です。

当院外来に次々と沸いてこられるアルコール依存症の方々。
圧倒的に男性に多いです。
仕事を退職して、「やることないから」酒浸り。
見事なくらいのワンパターン。

お酒って怖いですね。
合法であることが、怖さに拍車をかけます。

先日は「夫はお酒が好きなだけで、依存症じゃありません」
「手を挙げたこともない。穏やかな人です。」
とおっしゃる配偶者の方がおられました。

でもね。

朝からお酒飲みに行くって、やっぱりおかしいですよね。
手を挙げたことがないのは、夫さんのいいなりになっているからじゃないんですか。
いいなりになってたら 争いようがありませんものね。
何しろ、好きなようにお酒さえ飲めればいいんです。アルコール依存症の方は。

外来でお酒と心中している人を見るのは
つらいです。
何か他の楽しみをみつけて、社会に貢献できればいいのに。
せっかくの資源を無駄遣いしてるなあと思います。
プライドが邪魔して できないみたいですね。

男性でもコミュニケーション能力の高い方は アルコール依存にまでは
なっておられません。
コミュ障男性の悲しい性を見せつけられます。もはやお酒と一心同体で
強いのか弱いのか よくわかりません。

女性の活躍が叫ばれています。
もしかして、今から女性の管理職が増えたら
女性のアルコール依存症も増えるのかもしれません。
でも、医療介護機関には女性の管理職は結構多いけど、
依存症になっている人はあまり見かけませんけどね・・・
男性管理職で依存症になっている人は結構いますけどね・・笑。

管理人は幸か不幸か、お酒が飲めないので
アルコール依存症にはなりたくてもなれないです。

人は合理的な判断をするとは限らず
他人がアルコール依存症になろうが 管理人には関係ありませんが
どうにかならないのかなあ とよく思います。

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